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■ 8月2日はパンツの日
「よい、しょ」 あー今日もいい洗濯日和だなぁ。でも私は洗濯しません。なぜかというと、今日の当番じゃないから。 「津田ちゃ〜ん、ドア開けてくれる〜?」 みかしーがドアの向こうで困ってる風の声を上げている。彼女こそが今日の洗濯当番。なんたって女子が四人もいるからね。洗濯物はなかなか多い。 「はい、どうぞ」 「ありがとう」 向こうから現れたみかしーは両手でかごを抱えていた。重たいのか、腕がぷるぷるしている。あれ一気に干すつもりなんだ。るみちゃんとゆかちん、みかしーが当番の時は容赦ないな。あ、洗濯一緒でいいよね、ということになったのはちゃんと全員の意志ですよ。家族同然とはいえ、最初は他人同士なのに洗濯まで一緒っていうのはどうよ、という意見がないでもなかったんだけど、みかしーがあまりに甲斐甲斐しいのでいつの間にか全員慣れちゃったんだよね。 「寮母か!」って何度突っ込もうと思ったことか。食料、日用品の買い出しから料理、洗濯までなかなか熱心に世話を焼いてくれる。 「手伝いますよ、三上さん」 「ありがとう〜」 どんなに量が多くてもとりあえず干せば、真夏の太陽がからっと仕上げてくれるだろう。ぼーっと自動的に手元のかごから洗濯物を渡していたら、みかしーがあれ?と声を上げた。 「これ、どっかで見たような」 「誰かしらの下着を天高く掲げないでください!」 あかりちゃんか! 「これ津田ちゃんの?」 「違います。もしそうだったら、今すぐ奪い取りますよ」 みかしーでもなく、私でもないなら後はあの生き別れの姉妹のどっちかのなんだろうけど。一応帰ったらみかしーに下着を把握されていることを警告した方がいいかもしれない。 「泊まりの時に見たんじゃないですか?」 「私、お風呂場ではメガネないからほとんど見えないんだよね」 見えなくて幸いです、と心の中だけで突っ込む。ていうか見えるなら見る気なんだろうか。 「なんだっけなぁ、もっとつい最近見た気がする」 う〜ん、と唸りつつ掲げていた下着をやっと干してくれた。人のパンツ持ちながら長考しない方がいいと思いますよ、三上さん。みかしーが洗濯を熱心にやってくれるのは、人には言えない密かな楽しみがあるからなのかもしれない。なんか不安だ。 「取り込んだ洗濯物、片付けますね」 「あ、ごめんね」 昨日取り込んだ分の分配がまだなので、そっちの山に手をつける。四人いるとどれが誰のなのか、最初の頃はわからず苦労した。そのうち傾向が見えてきたけど。たとえばゆかちんの持ち物は赤系、るみちゃんのはピンク系。みかしーは結構落ち着いた色が多いかなあ。 「津田ちゃん、それ」 「え?」 みかしーがふいに声を上げた。さっき長考していた下着と、今私が持っている下着を交互に指さす。 「それ、と、これ?」 「一緒じゃない?」 「あー」 ほんとだ。詳細を描写することはアレなので省くけど、確かに似てる。そっくりかも。ただ、風に揺られているそれと今手元にあるこれは、遠目に見てもサイズが異なることがわかる。 「おそろいかぁ」 なぜか妙に大きな声で、少しだけうらやましそうに。 「……おそろいかぁ」 つられて、私もつぶやく。 「ただいまー」 そしてタイミングよく帰宅した生き別れの姉妹が見たものは、ゆかちんの下着を指さすみかしーとるみちゃんの下着を握って感慨深そうにしている私の姿だった。
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「津田ちゃん」 「はい」 「津田ちゃんのこと、世界で一番の紳士だと思ってるよ」 「それはちょっと……言い過ぎじゃない?」 「でも時々さ、変態っぽいよね」 「それも……言い過ぎです。ていうか、アレは誤解だって」
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「ゆかちん、私ともおそろいにしてよ」 「いいよー」 「どんなのにする?今度買いに行こうか?」 「そうだなー、なんかみかしーっぽいのにしたい。大人なやつ!」 「え?私の下着、別に大人っぽくないけど」 「じゃあむりやり大人っぽいのおそろいで買お!すごいの!」 「す、すごいの!?そんなの着る機会ないんじゃ……」
2013年08月02日(金)
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