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■ やわらか海峡
もし声優、セクハラ編。 主人公が●イム所属ルート(名前は糸里さつき)
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「やっぱり、ほら、ちゃんと確認しとかないと」 責任持って応援する方としては、と真剣な顔で前置きする麻衣さん。きちっと正座して、膝に手を置いている。いつになく真面目な雰囲気に飲まれて、隣に座って同じように神妙にしてみた。 ナボちゃんのことで大事な話があるんだけど、一緒に来る? 二つ返事でついてきてしまったけど、よかったのだろうか。それにここは……このクーラーの効いた部屋は、麻衣さんの家ではないし、ナボさんの家でもなかった。なんでナボさんのことでこの人? 「……それ、OKって言うと思う?」 きちっとした麻衣さんに対面しているこの家の主が、やっと口を開いた。麻衣さんの用件を聞いてからたっぷり5分。なんかもういやになったのか、足を崩してぺたんと座っている。 「佳奈は優しいし、ナボちゃんのことは大事でしょ?」 「それと麻衣に胸見せることのつながりがわかんない」 そりゃそうだ。こっち側についてはいますが、思いっきり埋田さんに同意します。そう、ここは埋田邸。勝手知ったる“うちの”埋田さんに傍若無人なハラスメントを働くために訪れました。本当にごめんなさい。 あきらかに失敗の気配が漂うのに、麻衣さんは動じない。今、ラジオでナボさんをDにする企画をやっていること、そのナボさんが目標としているのが埋田さんの胸であること、応援団長としてはちゃんとその目標がいかほどのものなのか確認しておきたいこと……等々を一気にしゃべった。さすが声優。立て板に水の見事な説明。全然論理的じゃないけど。普段から異星人なんじゃないかって時々疑うけど、やっぱりこの先輩、今日は一段とぶっ飛んでるなぁ。 「まぁそりゃ、褒められて悪い気はしないけど」 「でしょ?」 「……なんで麻衣に見せなきゃいけないの。百歩譲ってイメトレが必要なのは仁美でしょ」 「大丈夫。余すことなく伝えるから安心して」 「いや、そこ安心するとこじゃな」 「さつき! 今よ、今!!」 え、今!? 合図が出たらある行動に出ろって言われてたけど、まさかの今!? っていうか無理無理。腕力だって人並みだし、今まで人をそんな風に襲ったことないし、しかも先輩相手に!? 「早く! うまくいったらナボちゃんの胸触らせてあげるから」 その報酬で釣られると思われていることが悲しいです……。
結局すったもんだの末に、麻衣さんにだけこっそり触らせてあげることで落ち着いた。あんまりしつこいから折れたらしい。今、二人は埋田さん家の洗面所に行っている。「覗いちゃダメよ」なんて可愛らしい声で言われたけど、言われなくても覗きませんよ。そんな度胸ないし。 耳を澄ますと、二人の声が聞こえてきた。養成所では耳がいいことをよく褒められたけど、今のところその能力は盗み聞きにしか活用してないなぁ。あ、ほらまたこんな風に。
『麻衣、私の胸好きでしょ』 【うん】 『少しは遠慮がちに答えるとかしてよ』 【だって嘘ついてもしょうがないもん。佳奈にはどうせ全部ばれてるし】 『まぁね』 【うわぁ、やわらかい】 『そんなに感動する? 初めてじゃないんだから』 【久しぶりだったから。え、でも佳奈大きくなってない?】 『さぁ。どうだろ』 【なってるよ。絶対なってる。え、誰のせい?】 『誰のせい? その発想おかしくない?』 【じゃあ自分で揉んでるの?】 『それは違うけど』 【じゃあ誰? あ、そっか。ラジオの相方だ】 『あの子はそういうんじゃないよ』 【じゃあ誰よ】 『ご想像におまかせします』 【またそうやってリスナーの妄想を煽るようなことを】 『貴方しか聞いてないでしょうが』
おおー。先輩方、長い付き合いの親友だとは聞いていましたけど。そういうんだったんですね。 それからしばらく麻衣さんのやわらかい連発が埋田邸に響いてましたとさ。覗く覗かない以前に、声をもう少し抑えてほしい。聞いてるこっちが恥ずかしくなる。
2011年07月19日(火)
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