毒茄子
レガお君



 感無量の最終日

実習最終日。

春からの長い長い領域別実習が今日で終了。
ついに終わりだなぁとしみじみ気分で
ぼんやり窓の外なんて眺めてみたりして
学生に「先生、目ぇ遠いで」って
突っ込みを入れられたりして。

今日のメインは最終カンファレンス。
実習中にへそ曲げてた学生も
何とか気分が戻ってきてる。
もともとへそを曲げてた原因が
自分の意見が通らない事が発端だった。
患者のケアについては
彼女なりに一生懸命考えてて
それが的外れだった事もあるから
時には教員とも衝突するんだけど
患者に対する気遣いや気がかりは
十分持ってたと言う事は私たちにもわかる。

で、その受け持ち患者というのが
こないだ書いた「甘えてADL低下」という人で
学生は怒ってる患者と
患者を頑張らせようとするスタッフとの間で
見事に板ばさみになってた。
学生がとても辛い状況なのは教員も患者も
患者の家族もわかってた。

自分たちの怒りを分かってくれて
一緒に巻き込まれながら考えてくれる学生は
意図的に巻き込まれるという
高等な技は使えない。
だから巻き込まれて混乱するしかないんだけど
患者や家族にしたら彼女は
何よりの味方だったんだと思う。
その学生とも今日でお別れで
一緒に挨拶に行く。

学生は部屋に入る前から泣いてて
「この先のことを考えたら
患者と別れるのが辛い」という。
家族は家族で中に入ったらもう泣いてる。
娘さん、化粧ぐちゃぐちゃ。
「本当にようしてもらって」
「あんたやったらええ看護婦さんになれるわ」
「頑張って試験とおりよ」
「あんたがおってくれて良かったわ」
口々にお別れの言葉を頂いて
学生は患者と握手してまた泣いてる。

もともと知識は足りないし思考も浅い学生。
それでもこの患者と家族にとっては
本当に救いになってたんだろう。
やっぱり脳味噌だけでは
人の心は動かないんだと実感する。
脳味噌がなくて良いわけはないんだけど。

実習が終われば打ち上げは必要。
高校教師におつきあい頂いて
美味しいものを食べよう。
三宮に向かう道中で
ケーススタディで担当してる学生に
受け持ち患者の事で連絡。
その学生も今日で実習が終わって
グループで打ち上げをしてる最中に
私が連絡したらしい。

そのグループは私が夏前に指導したグループで
話のわからないスタッフに対して
私も学生もとても苦労した実習だった。
毎日毎日スタッフへの不満や怒りを
つらつらと話す学生につきあって
私はひたすら彼女たちの思いを聴いて
学生が泣こうが罵ろうが怒ろうが
否定も肯定もせず受け止める事に徹した。
俗に言うカウンセリング的関わり。

そのテンションと言ったら
怒りまくるガンの患者さんとほぼ一緒で
実際私は途中から
「学生を患者だと思おう」としたし
学生も実習終了後に「私たちって患者でしたね。
先生に話し聞いてもらって楽になりました」
って私の関わりの意味を分かってたらしい。

そういう「一緒にしんどい所を乗り切った」
という連帯感があるのか
そのグループの中での私の評価は高いようで
自称「レガおストーカー」まで現れる。
ストーカーと言う割に私の苗字の漢字を
同音の別の字と間違えてたりするんだけど。

その学生たちから一年の実習の最終日に
「先生がいてくれて良かった」とか
「先生みたいな看護師になりたい」とか
「ターミナルの授業が最高」とか
嬉しすぎる事を言ってもらえるなんて幸せ。

毎日の手ごたえってなかなかわかんないけど
自分のした事についての評価はいずれ
きちんと帰ってくる。
毎日手探りだったけど頑張った甲斐はあった。
しんどい事も多いけど教員になってよかった。

打ち上げはエビスビールと、とろける神戸牛。

2003年10月30日(木)
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