GRAPEVINE tour 2017@国際フォーラム

2017年12月01日(金)
師走。
仕事は午後休みを取って有楽町へ
ジャニ事でしかこない街でバインですってよ

国際フォーラムのAでライブ観るの初めてだった
広くて天井高くて綺麗
ロビーに帝国ホテルの売店が出てて
スパークリングで乾杯しちゃった。お祝い最高。
席は1階の半分より少し前くらい
ちょっと傾斜ついてて見えやすい。

19時ちょうどにスタート
おおきな歓声、拍手
いつものライブハウスとは違う響きに背筋が伸びる

10月以来の約2か月ぶりでツアーは最終日。
あの初日、誕生日なんて感情も吹っ飛ばす衝撃の初日以来。
ほとんどセットリストなんて変えてないんだろうと
いつものように予想していたけれど
案外そうでもなかった

20周年でもトリビュートもベストもゲストもなく
ただ、いいアルバム作ってツアーしてきました
とMCでも言ってたけど
ほんとにそれだけかな

特別な時間だった

絵画のような「ROADSIDE PROPHET」は
ツアーを経て、陰影が濃くなったというか立体感を以て
過去曲たちと織り交ざりながら
色濃く迫ってくる。
ホールならではのライティングがそれを際立たせる
LEDかな、スクエア型のパネルの幾何学っぽさ
ステージ後方の低い位置にミラーボール
時に水中のような、宇宙のようなゆらめき
まるで小さなライブハウスのような単色の射し込み
陽の光のような暖かさをたたえる空間も
自在にかわっていく明りの下

視界の広さなのか音の響きなのか感傷なのか
いつもより鮮明に歌詞が沁みこんでくる

 声にならないわずかなエコーを 拾いあげて
 こわれそうなそれをどうやって うたうのだろう


歌に合わせて、小さく自分の口を動かしてみる
音は出さずにその言葉を追う。
いつでも、言葉にできない気持ちの小さなかけらを
うたってきてくれたのは彼らだった。
歌詞カードを見ることの減った今でも
いつのまにか憶えて、辿ることができるのは、
ことばが近くにあるから、だと私は思っている。

これは水です、なんかもタイトル意味わからんのに
絵画の中に入り込んでしまうようなトリップ
息が詰まるような、酸素だけを求めるような集中力を要す

初日にはなかったCORE
やりやがりました。むしろ一生やってくれ頼む
この金戸さんのグルーヴは一生かけて浴び続けたい
浴びる、ていうより足の裏から腹の底へ響き上げてくる
今日はホールなので床からの振動がなくて
ひしと前の席を掴んだら、手から振動がきて、これだ!と

高野さんがギターを抱えがらアンプにもたれかかり
わざとハウリングをさせるというお遊びが加わっていたカーブ
変なハウりがかかったとき
タナカさんと金戸さんが同時にズコってコケてて
「ドリフみたい」と本人は言ってたけど違うよ新喜劇だよ
それは西の人にしかできないコケの文化よ

初日にも思った、リーダーのこと
バンドを去って10年以上経つ彼のことが思い浮かぶのは
20周年の仕様だったよね、やっぱり

カーブを楽しくやりきって
リーダーのこと「バフバフいうてる人」とイジって
がんばる大人に捧げるちあ!と、聖ルチア
たまらない多幸感

 「負けるもんですか」 きみが云った
 その一言で泣きそうで


ここへ、辿り着いたのだと思っていた
大きな天井の高いホール、たくさんのお客さん
着地じゃないんだよ
だってこんなに楽しい
あとハッピャッキョクやる?

Shameも楽しかったー
お遊びもたくさんあって楽しさが
目からも耳からもあふれる
Buster Bluster
西川さんがソロタイムに入るときに
両手を挙げて「やるよー」みたいなポーズしたの!
もう!やったー!いいんですかー!
と文字通り諸手を挙げて迎える客
かわいかったな。両手上げの西川さん
そのあとのプレイも、特別サービスや!て感じで

本編ラスト3曲に、本当に想いが詰まってると感じた
BLUE BACKはホント、リーダーのイメージが強い曲
リーダーが最後に作曲した
西原誠節が効いているといってもよくて
痛快で癖があって

その未来は、一聴してあんまり今のバインぽくはないというか
尖ったストレートな速い曲が少なくなったから異質な感じもするけど
だからこそ、ここにある

 その未来も過去もそのまま そう 見ろ

メッセージ性とか、高い音楽性とか、シーンでの存在感とか
そんなものはどうでも良い
ここにある音だけが正解なんだって思う
理屈じゃないでしょう

正直言って、広い会場もたくさんの客もどうでもよくなる
彼らの道の上に、私は居る
ずっと、ここに。
見てきた、聴いてきた、ここに
この道の上

Arma
 見ていたのは 今居る場所のまだ向こう
 向かい風がやさしく頬を撫でた


旋律に沿って言葉を追う
涙が溜まっていく
いつ零れたっていい、だれも笑う人はいない

 物語は終わりじゃないさ 全てを抱えて行く

このまま、まだここにいていい
この幸せな景色が、終わりの場所ではないと
あと20年よろしくと笑って言ったのは冗談ではなく
マイクからはずれた場所で
「ありがとう」と言いあたたかな笑顔をこちらに向けた
どんな景色を見ていただろう
ありがとう、この道を、守ってくれて

どんな派手な演出も勝てない特別な時間
一番新しい曲を演奏し
特別な気持ちをこめて選曲していることが伝わるライブ
これ以上ない。

アンコール
缶ビール持って登場。ブルックリンなんとか。
ありがとうありがとうと拳をぎゅってやって
なんども大きなおにぎりを握るような動作を見せるタナカ
おにぎりにしか見えない。愛をこめて握ってくれたのかも。
ツアーのお礼を言い、たくさんの人に会いに行ってきましたと
会いにいく
これは15周年の夜もやっていた
ほんとにストレートに胸に落ちる曲

20周年の夜は、あのころより距離が近いような気さえした
絆ってことばはあんまり好きじゃないけど
お客さんを見る目のあったかさとか
やけにツボをついてくるセットリストを組めるのも
素直なリアクションを出せるようになった客側も
長い時間をかけて、心地いい関係性になってきたような
そこに照れみたいなものがなくなってきたような

最後の最後は、今日は泣くアレじゃなくてアッチだろ!
の予想も的中で覚醒

20周年ありがとう
新しい音を作り続けて
道を途切れさせなかった彼らに、大きな拍手。
捌け際に、高野さんと金戸さんが
メンバーに向かって拍手を送っていた
もうメンバーも同然なのに
3人の20年を思って
こういうことをしてくれる2人の気持ちにグッときたよ

仲良し感とか全然出さないけど、いいバンドだよね
GRAPEVINEも。

ただの日常をすくいあげてくれる
ただの積み重ねを、
特別なプレゼントは10年先でいい、
この先もここに居させてほしい
この日常の、この道の上に、すべてを抱えて
あなたたちの音楽を
これからも。


<GRAPEVINE tour 2017 extra show@東京国際フォーラムホールA>
1.The milk(of human kindness)
2.EVIL EYE
3.Suffer the child
4.ソープオペラ
5.COME ON
6.こめかみ
7.RAKUEN
8.Chain
9.世界が変わるにつれて
10.Silverado
11.Our Song
12.これは水です
13.楽園で遅い朝食
14.CORE
15.カーブ
16.聖ルチア
17.レアリスム婦人
18.Shame
19.Buster Bluster
20.BLUE BACK 
21.その未来
22.Arma

E1.会いにいく
E2.光について
E3.豚の皿
E4.覚醒



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