言葉の果てに雨が降る 再考

2003年06月04日(水)
必要最小限。
という言葉がまったく似合わないバンド。
Hermann H.&The Pacemakers
「ウルフ」という名の男が堂々と中央で踊っているくらいだ。
必要以上のものを、もともと抱えているバンド。

彼らのメジャーデビューシングル「言葉の果てに雨が降る」は
そういった彼らの基本形から大きくはずれた作品なのだと
最近気がついた。
彼ららしくない点がふたつある。

ひとつは楽曲において。
七五調で展開する歌詞。
確実に身体を揺さぶるらせるリズム。
キラキラと光る鍵盤。コーラス。
感情の扉をぶち破る一歩手前、
ぎりぎりの衝動を有したボーカル。そしてギター。
シンプル。
楽曲自体には確かに鳴っている音も多いし
やっぱり必要最小限とは呼べないのかもしれないけど。
シンプル。
ひとつの気持ちを一気に歌い上げるような。
 
 声になれば夢さえ幻

と唄いながら、やっぱり声をあげている。矛盾。
あがいている、ひとかけらの、迷い。叫び。
そういったものが岡本の声に集約されている。
シンプルに、心に響く曲なのだ。

この曲の何がもうひとつ彼ららしくないかというと。
ウルフがあまりにも活躍していないのである。
ライブではサビ部分でタンバリン叩いている程度。
PVでは楽器を持っているメンバーの中で
足にギプスを付け、松葉杖姿で踊り狂っている始末。
まったく意味のわからない扱いである。
むしろデビュー直後に包帯を巻く羽目になったのは
ドラムの梶山である。(←腕に怪我をしたため)
一種、梶山の怪我を予知したかのようなウルフの衣装。
そして初めて見る者の感覚を狂わせるウルフの扱い。

これらすべてひっくるめて
Hermann H.&The Pacemakersというバンドへの
興味をかきたてるための策略だとしたら
彼らは相当な大物であるような気がする。

言葉の果てに雨が降る

シンプルかつ余分なものの結晶と共に
彼らはプロミュージシャンとして歩き始めた。

冒頭の発言を少し撤回させていただく。
ヘルマンは今、5人で必要最小限。
それ以上でも、それ以下でもないはずだ。




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明日6月5日は志穂ちゃんの誕生日らしい。
おめでとう。いつか志穂ちゃんの書いた曲も聴いてみたいなぁ。




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