君たちは、この会社に入ったからといって決して勘違いしないように。 君たちは全然たいした人間ではないんです。会社の名刺を持っていれば、取引先のかたがたや、著名な方、初めてお目にかかるかたもきっと親切にして下さることでしょう。 それは、会社の名前に対して親切にしてくださっているだけなんですよ。しかも、この会社の名前だって、先輩方が作ってくださったもので、君たちはまだ会社のために何もしていない。それでも給料はでるし、ボーナスも出ます。いい気になってはいけません。会社に入れば、仕事が始まります。人間はおろかにできていて、まるで最初からここにいたような気分になってきます。きみたちは会社の名前がなければ何もできない人間なのです。それを決して忘れてはいけない。
『いらっしゃいませ』より
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