十夜一夜...Marizo

 

 

青紫色の花 - 2003年11月05日(水)



不自然に隆起している為に
皮膚が薄く 伸びているのであろう。

その薄く透き通った皮膚の下に
青紫色の花が咲いていた。

青紫色の花びらが何枚も何枚も
重なっているように 見えた。



これは 私が まさこさん(仮名)の
乳がんを見た時の 印象である。



まさこさん(仮名)は隠しに隠していたが
左胸のしこりに気づいてから たった三ヶ月で
もともと外人体系の グラマーな彼女の胸の上に
もう一つの胸が出現していた。


そして その綺麗で可憐な花びらは あっという間に
まさこさん(仮名)の命を奪い去っていった。






毎日新聞のWEBサイトで
乳がんの治療を拒否している 宮田さんの
投稿を読んで 思い出したのだ。


私は 乳がんを見た事がある・・・と。




そのWEBサイトでは
宮田さんに対しての 賛否両論の投稿が
たくさんなされていた。

賛否両論なのだから

「宮田さんの生き方に賛成」の人もいれば
「一生懸命生きている人に失礼だっ」という
語気の荒い投稿もある。



私の意見としては

幼い頃の家庭環境の歪みの為なのか
失恋の後遺症なのか
生きる事の意味を見出せない人に
片方の乳房をなくし、その後の抗がん剤治療、
そして 再発の恐れを抱えながらの
「生」というものに
執着はないと言われれば
もっともかとも 思ったりする。



「生」に対する執着心がないと言う事に
同情も共感も畏怖もないけれど



青紫色の花を抱えてしまった事は
望んでいなかっただろうなぁと
ぼんやりと思う。
Marizo



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