十夜一夜...Marizo

 

 

15回目の7月12日 - 2003年07月12日(土)


7月12日は 私の父の命日である。
15年前の7月11日の夜10時
「じゃぁ 帰るからね」と声をかけた
私と姉に小さいながらも はっきりと
「気をつけろよ」と言った父。
この言葉が この世で交わした最後の言葉であった。


胆嚢と腸を繋いでいる 胆管に腫瘍が出来ていると
わかったのが9月。
即入院をし手術をして 11月に退院した父は
すぐに職場に復帰した。
胃の全部と肝臓の一部を摘出した父は
みるみる痩せて 翌年の2月に再発した腫瘍は
父の身体に居座りつづけ
痩せた身体で5ヶ月間頑張った父も
最後は自力で「マバタキ」も出来ないほど
疲れてしまっていたのだ。



病名は告げなかった。
最初は胃潰瘍。二度目の入院は肝硬変。
しかし再入院した時には
きっとわかっていたであろう。
亡くなってから身の回りの物を整理していた時に
お財布の中から「遺言」と書いた
小さなメモ用紙を見つけた時
止まったはずの涙が また溢れ出した。



59歳であった
ずっと一家の大黒柱として働いてきた。
もう後少しで リタイヤして好きなゴルフをしたり
旅行に行ったりしようと思っていたに違いない。



父は間違いなく もっと生きたかっただろう。
生きたくても 生きたくても
死ななければならない人がいるという現実の隣で
五体満足でも 自ら命を絶ってしまう人や
簡単に子供を突き落とす子供がいたり
あまりに生きるという事を 簡単に諦めたり
命の尊さを感じない人がいるというのも現実である。





もうあれから15年たったんだね。
あの時と変わらず三人で仲良く暮しています。
でもあの頃より私も姉もちょっぴり成長しました。
えーっと心も身体も(笑)
母はちょっと痩せちゃったけど元気だよ。
ずっと変わらないのは父だけだよ。
Marizo



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