十夜一夜...Marizo

 

 

長い影 - 2002年09月25日(水)

直接 聞かれたこの言葉は心をえぐった。
「本当に何もなかったのか?」


何があったと言うのか?
電話の向こうで話をする人と・・・
カウンターの向こうで話をする人と・・・


手紙が来た。
「あの時 僕の右耳の上の方で声がしたんだ
この子だよって。でも今はまだダメだよ。
あと3人待たないと。」
「僕のことを慕っていた子が行方不明なんだ。
僕が君に夢中だから傷ついて君の事を恨んでいるんだ。
会社からの帰り道に君の後をナイフを持って歩いてたんだよ。」


「本当に何もなかったのか?」
だんだんと 本当は何かあったのかもしれないと
思い始めた。
「いらっしゃいませ」と声をかけた時に
笑顔だったのがいけなかったのかも。
何度も後ろを振り返って歩いていた。
何かスキがあったのか。


23歳のこの経験は 長く長く影を引いて
やっと最近 過去のものになりつつある。
たくさんの手紙の束をそろそろ捨ててもいい頃だ。
Marizo





-



 

 

 

 

目次
過去  未来

 裏十夜