カタルシス
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2007年03月03日(土)  ランドスライド 

今日は何も予定を入れていなかったのだけれど 昨夜妹が

「明日のプレゼン私がトップバッターなんだー・・・」

とボソッたので 何の話だ?と突っ込んで聞いてみたら この金土日で彼女の通っている職業訓練校が 年度末の作品公開というか 一年間の成果を一般の人たちが自由に見られるように門戸を開放しているとのことだった

それは例えば 子供を通わせている親御さんがわが子の作品や発表を見に行ったり これからこの学校に入学を考えている人やその家族が 授業の様子や実際に制作されたものの実物を見ることができるようにとの 学校側からのアピール期間みたいなものだ

本来今の時期には普通 進路が確定しているものだと思うが そこは“職業訓練校”ということで 出願や受験の時期が一般の普通校より遅めに設定してある 初めからここ!と決めて来る人の他に 迷いに迷って決心が遅れた人や 希望の学校に受からなかった人など 入学時のベクトルはさまざまなことであろうが いずれも他より余裕のある進路決定が可能という特典を得るわけだ

妹がパワーポイントでプレゼン用の資料を作っていたのは知っていた 宿題を自宅に持ち込んで作業することは珍しくなかったし ときどき煮詰まるのか私に客観的意見を求めてきたりするので 各作品の進み具合は意識せずともある程度把握できた
今回 公開の場で“発表”することになっているのは キャラクター・デザインのプロット〜制作〜完成までの紙芝居(プロジェクターでスライドを見せながら講釈する)だそうで 「プレゼン用」とは聞いていたが それを一般客も観覧できるという話は前日の夜になって初めて知るに至った
聞けば母はその発表を見に行く気満々で トップバッター(9時開始)という時間設定にひるむ様子も見せず 本人以上に気合が入っているらしい 今週は本家を訪ねていなかったので そんな算段がなされていることなど知る由もなかったが 軽く聞いただけでも盛り上がる母の様子は目に見えるようだった(苦笑)

そんなわけで 今朝は朝から登校の準備をしている妹を横目で見ながら 私も何となく身支度を開始 母にメールをしてみたら「8時45分に車で迎えに行きます」という返信がきたので ちゃっかりくっついて行こうという腹づもりだ もののついでだったので「見学後ヒマなんだったらランチご一緒しませんか」と母を誘ってみたら「○○ちゃんが来るからパス〜」と叔母の名前を口にした あら 来るんですか?

「○○ちゃん来るんだって?」と妹に振ったら
「何か発表一緒に見に来るとか言ってたから 大したもんじゃないからヤメテ!って言っといたけど・・・ 来るのかな」なんて苦笑いな返答が返ってきた

ここでいう「叔母」は私たちの叔母さんのことで 母にとっては妹にあたる人だ 独身の頃から頻繁にわが家を訪れ我々は随分と可愛がってもらっていたので今でも親しく付き合っている親戚の一人 今は川崎に住んでいて この春高校に入学する女の子と 現在中1の男の子の 2児の母であり 車椅子生活の義母の面倒看る日々に奮闘する嫁でもあった
そんな母として嫁としてのよもやま事があるようで 今でも時々うちの母を訪ねては半日腰を落ち着け 茶請け話に花を咲かせては帰っていくらしい
今日の訪問は昨日だか一昨日だかに突然「日曜に行ってもいい?」と連絡があったのだそうで いつになく急なアポイントに“何かあったかな?”と様子を察した母が 全面的に受け入れ態勢をとってあげたという流れのようだ

で 発表見学に話を戻すと まぁ 常識で考えたら川崎から電車で東村山まで来るのに9時から公聴というのは ちょっと現実的じゃない 子供が大きいとはいえ仮にも彼女は主婦なわけで 義母の目だってないわけじゃない 朝の一通りを済ませてから出かけるのが普通だろうし それを考えると公聴は見送りが妥当なセンだろう

昨夜事情を話したことと私の予定がなかったことで 私が公聴に来るであろうことは妹も察したようだったが 叔母の参加は全く読めないといった風情だったので「多分来ないよ」と気休めに言っておく 理由は上に述べた通りだ
一足先に出発する妹の「いってきまーす」を「んじゃ あとでねー」と返して見送った

遅れること十数分 迎えに来た母の車に乗り込んで道中は世間話 叔母はやはり昼頃の到着とのことで 私の読みは間違っていなかったようだ
去年その叔母からの伝言といって 母から文章原稿と新聞の切り抜きが納められた封筒を預かった 新聞の切り抜きは出版社の広告欄で 彼女が言うには「絵本をつくりたいので絵を描いて欲しい」という話らしい

切り抜きの出版社をWEBで検索し 絵本製作に関する案内をザッとさらってみたところ 絵を描く前に規格や形式の確認をした方が無難なように思えたので 取り敢えず出版社を確定して欲しい旨を聞いてたアドレス宛てにメールしておいたのだが 一向に返事がないのでどうなったのかな?と何となく気にしていた 十中八九パソコンに触っていないのだと思われたが それだって本人がその程度の気分でいるのなら こちらが変に頑張ることもなかろうと 少々苦笑いの体である

極端な話 画用紙に絵を描き手書きの文章を添えたような原稿を持ち込んでも 出版社はそれを絵本にする手配はしてくれるだろうと思う そういうシロウト客は星の数だろうから セオリーも規格も全く無視して勢いだけで当たってみても なんだかんだで形にできるだろう ただし面倒をかける分だけ費用はかかる 絵だけをまかせれば挿絵画家を斡旋し編集を通してソレらしい本が作れるのだろうし 作品のデキが良ければもっと細かいことまで出版社側の口出しを受け利益折半という話に発展するかも分からない いずれにしても出版社を通す段階で多かれ少なかれの出費は覚悟せねばならず その辺の現実が分かっているのか?との薄ら不安は若干残った

ま 叔母の原稿を見た限りでは そんな大げさなところまでは行かないと思ったけれども(苦笑)

ケースが様々過ぎて目安になるような料金設定ができないのだろう どこの出版社の広告にもサイトにも 費用の目安は掲載されていなかった 実際に原稿を見せて見積もってもらうしかないんだな思った その辺を明らかにしてからでないと 作業にかかっても無駄骨になるかも知れず 他にすることのない閑人でもない限りそんな時間の無駄遣いは御免こうむりたいと思うのが心情というもの

なので この後叔母に会うと言う母に「絵本の件でメールしてあるんだけど見たかどうか聞いておいて」と言伝ておく

9時妹の通う学校に到着
妹の発表は9時開始
ちなみに 妹の学科は駐車場から一番遠い建物に教室がある




走れッ!




普段は15分あれば余裕で到着できる道のりだったそうだが 今日は信号で右折の際変に待たされた数分が命取りになって 連立する建物の間を2人で駆け抜けるハメになった これで妹の発表に遅刻したら何しにきたのだかわからない なんとも間の抜けた話だ

教室に到着 時刻は9時を3分ほど過ぎていたが 発表はまだ始まっておらず イソイソと隅の席に腰掛けた我々 落ち着いて周囲を見回すと 並べられた椅子に揃っているはずの生徒たちが バラバラと集まっている最中だった 予定時刻を5分経過しても発表を始められる気配がない
業を煮やした担当教諭が「もう5分過ぎてるんだから急ぎなさい」と促しても 彼らの動きに変化はなかった

・・・・・・

結果的にはそのおかげで多少遅刻気味だった我々も発表を見逃すことなく公聴できたので あまり言いたくはないが 正直遅れたのは我々のミスなので本来時間通りに始まっているはずのプレゼンに間に合わなかったとしてもそれは仕方ないことだった 職業訓練校というものはあくまでも就職のための即戦力を養う場であって 美大やありがちな専門学校とは性質が違う 基本的に「実戦を想定」した教えを授かるべき場なのである

ではその「実戦」をこの場に置き換えてみよう

会議の始まる時刻に出席者の半分が集まっていない という状況だな

例えばこれが研修期間の若手社員だったとする
おそらく遅刻者は一人残らず1ペナルティ もしくは時間に遅れた段階で切り捨てられる どっちにしても本採用の実現が遠のく要素にしかならない

例えばこれが取引先での出来事だったとする
良くてお叱りを受ける 普通は担当換えを言い渡される 最悪の場合は取引が打ち切られる

締切や約束が守れない人間と仕事をしたいと思う人間はいまい 逆に言えば多少能力的には不出来でも 言われたことを遂行できる者は社会的に生き残っていけると思う それが実戦社会というものだ

自分自身大概アバウトな人間なので 年がら年中キッチリしてろとはサラサラ思っていない そんなのぶっちゃけ無理だ それも実戦社会の現実だと思う ただ 実戦には「要所」というものが存在するので そのポイントさえハズさなければ何とかその場をクリアしていける その「要所」を見極めることこそが 身につけるべき能力ではないのか

妹のプレゼンを聞きながら 彼女が作ったスライド 説明の内容と口ぶり スクリーンを前に語る佇まいなど 全てが完璧ではないにしろ 一度は社会に出た人間の動きは まま理解の範疇だった それに対する教諭たちの批評もごもっともな意見ばかりで 至極当たり前のことを念入りに修正しているような雰囲気だった 発表から批評までがワンセットになっていて 1生徒につき数分の考察で次の生徒に入れ替わる

そう 一人にかかる時間は ほんの数分

なのに だ

私語が多いなーキミたち!(苦笑)

遅刻の件もそうなんだけど 自分一人が困るだけのときは勝手にすりゃ良いと思うよ だけど他人に迷惑がかかる場合にはも少し緊張感持たんかね? お喋りもさ するなとは言わないけど周囲にも少し遠慮してくれ 少なくともすぐ横で我々は発表や先生の批評を聞きたくて耳そばだててんだからさ 状況把握してくんないかな 小学生じゃあるまいし 発表のためにリクルートスーツなんて着ちゃってるクセに何やってんの

と心底思った でも妹のクラスメートなので何か言うのは角が立ってイカンと思い グッと堪えた そのとき感じていたのは「怒り」ではなく「情けなさ」と「呆れ」 日頃から妹が「悪い子たちじゃないけど やる気がなさそうだし 実年齢よりも中身が幼くて時々ビックリする」って言っていたが まさにそんな感じだった

「“幼い”って思うのは自分が年上だからなのかなぁ・・・」と妹はよく嘆いていたが 私自身も「いい年齢して・・・」と呆れた反面「イヤこの感覚が年寄り視点なのか?」と瞬時に思ったので 私と妹の感じ方は似たようなものなんだろう そも 自分が18歳やそこらの時はどうだったろうか?と思い起こせば 今目の前にいる緊張感のカケラもない子供たちと 何ら変わらぬ生き物だったかも知れないわけで

うーん まぁ あと何年かすれば この子らの感覚も変わってくるのかも知れないしなぁ・・・ と矛を収めるに至るわけだ

実社会を連想する“スーツ”姿でいるのがかえって中身の空っぽさを際立たせているようで それを着こなすことの難しさに今更ながら気がついた

妹のあと数人の発表を公聴するのに1時間ほど居座ったが 隣で母が退屈してきている様子だったので キリの良いところで隣の教室へ移動した そちらでは立体作品の展示と映像作品のループ上映があったので しばらくそこでも足をとめ 生徒たちの作品を眺めてみる

FLASH作品とCGアニメーションの短い作品が順繰りに映し出されるモニターを見ながら 母と二人でコソコソと批評会 同じ環境で制作しても出来上がるものはバラバラ そんなの当たり前のことだが でもそこが面白い
手数が多くても見栄えしないものがあれば 単純で簡単そうなのに目を引く作品もあった 目に見えない「センス」という能力を感じる瞬間

そうこうしているうちに 隣の教室が休憩タイムに入った さきほどまでいた妹達の教室だ 生徒たちがめいめい席を離れた様子だったので 妹に一声かけてから帰ろうと思い 来た道を引き返す

「そろそろ帰るね」と妹に声をかけたらすぐ横に先生がいて 「わざわざ来てくださってありがとうございます」と声をかけられた この先生は母が漆器を習っている先生(この学校で時間外に漆器教室を開いている)なので母とは面識があるし 私も文化祭のときに何となく紹介されていたので 気に留めてくれたのだろう 「なかなか面白かったです」と返したら横から母が

「でもせっかくの先生方のコメントが聞き取りにくくて勿体無かったですわ」とニッコリ
私と妹は苦笑したまま硬直

暗に「“発表のときにはしっかり喋れ”と言ってる割にモソモソ喋る先生」と「他者の発表中に耳障りな私語をやめない生徒」を詰っているのが分かるので 微妙な雰囲気になった 愛想の良さでは評判の母のニコニコ笑顔も この場ではかえって不気味に見える

先生の方も母が意図したことを的確に受信したようで 苦笑しながら「面目ない」と頭を掻いた

この先生は悪くないんだけどね というか 声がモソモソしてた先生は1人だけで この場の全員がどの人だか言わないでも分かってたんだけど その辺を濁したまま話を進めるのが“大人の会話”ってものであり(苦笑)

私が「先生もマイクを使ったらどうですか?(←発表する生徒はマイクを使っている)」と提案したら 「マイクが1本しかないんですよね(苦笑)」と言われたので それ以上はツッコまずに帰って来た 今日すぐには無理でも 2本目のマイク用意するとか 生徒たちをもそっとどうにかするとか 次回の課題にしてもらったらよろしいんじゃないのかしら 的感覚

妹はこの後も発表を聞かねばならないし それが終わってからは着替えて別の作業で居残りをしたいと言っていたので 特にランチに誘うこともなく我々だけで退散することになった

当初 叔母へは伝言だけで済まそうと思っていた絵本の件で 詳しい話を直接した方が良いのか?と聞いてみたら それなら一緒にゴハン食べに行く?と言われたので「行く!」と即答 叔母の都合そっちのけで勝手に仲間に入ることにした いや 雰囲気見てヤバそうだったらすぐに退散するつもりだったし てか多分嫌がられない自信あったし!(昔から叔母に対して良い子だもん私)笑

それで叔母が駅に到着する時間まで 近くのスーパーで母のお買い物のお供をし ドサクサに紛れて自宅の買い物もして(会計は別々) 頃合を見計らって叔母の着く駅へお迎えにあがった
顔を合わせるのは2年ぶり?くらいの叔母だけれど お互い少し老けた程度の違いしかないので違和感なく合流 そのまま3人で母行きつけの寿司屋へ向かいランチを済ませて本家へ帰る 途中わが家へも寄ってもらって 借りていたノートパソコン持参で私も本家へ同行した

本家へ行ったら弟がいて 彼がいることに驚いた私に 叔母が驚いていた(笑)
お茶をしながら叔母と母は話をして 私はその横で絵本に関する情報を収集 彼女からかかってきた携帯に対応しながら 私の使うノートパソコンで銀座界隈の道の説明をし出す弟

ははぁ 彼女の地元の友達が遊びに来てるんで家に帰って来てんだな?

分かりやすいというか そんなことでもない限り帰って来ないのが常になっているので今更どうこういう気も失せてきているらしい母 特に今日は叔母がいることだしお小言はなし方向でヨロシク

基本は母と叔母の世間話(世間というか主に家族の話) 合間に私と叔母の絵本話 更に隙間を縫うように私と弟のノーパソ購入話 そうこうしているうちにあっという間に夕方になり 叔母が帰宅の途に着いた 元来た駅まで母が車で送っていく

・・・てか私 昼間から夜までずっと本家にいた? うわー久々!!
まぁ していたことといえば ノートパソコンでネットとかネットとかネットだったので 自宅にいるのと大差ない状況だったのだが(苦笑)
少しでもノートパソコンに手を慣らそうと 絵本の原稿を打ち込んだり 日記を書いてみたりしていた 母から借りているNECのダイナブックは 少しキーが大きめで指が引っかかる・・・ ううーん(考)

私がWinでノートを買おうと思ってる と言ったら 母が「半額で売ってあげようか?」と持ち腐れていた自分のノートを引っ張り出してきたのが先週のこと 自分で買うつもりだった条件と比べると CPUが少なめで重量がちょいオーバーで余計なソフトがわんさか入ってる くらいか PXだし15.4型だしクリスタル液晶なので発色が綺麗 あったら嬉しいけどその分値が張るので除外視していたTVチューナーがついているので ちゃんとセッティングしたらDVDに録画とかできちゃうのか?みたいな薄ら期待もあったりなかったり まぁ厳密にはなくても良い機能なのでダメならソフトごと捨てるけど

半額というのは買値だった13万の半分のことらしいので単純計算すると6万5千円 でもCPU増やすんだと4・5千円上乗せになるので 思ったほどお安く済まないかも知れない
ちょっと調べたらDELL1501というのが6・7万代で買えちゃいそうな気配で 自分条件には割とそぐっている上デザインや操作性が魅力的に見えていたりする
実際にモデルを見たところだとGatewayやSotecも悪くなさそう つか CPUがCore2Duoだったりしてて 贅沢心を揺さぶられるんだな いや そこまで性能良くなくていいんだ 私音楽とか映像とか 基本的に降ろさないし ノートで画像処理とかする気ないし 最新FLASHやWinのみ対応のサイトが利用できたり チャットで弾かれないためのセカンド機使用のつもりだから
なのであまりお金をかけたくない というのが重要ポイント

これをお下がりで買い取るなら 5万くらいで抑えたいな・・・ なんて
母親相手にあこぎだろうか いや 娘相手に型落ち機種を売りつけようって向こうさんも どうしてなかなかだろ まぁ ほとんど使ってないだけあって新品同様なんだけども

・・・ううーん

もう少し考えよう

母帰宅 妹も本家へ合流 父を迎えに弟を出して その間で食卓の準備 久しぶりに家族勢ぞろいのお夕飯をいただき 食後に叔母のお持たせでもらった「半熟プリン」でお茶して やっと帰宅

ずっと地元にいたのに自宅にいた時間ほんの数時間だったな・・・
 

『ランドスライド』1992年/イギリス

 


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