カタルシス
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前もって申請しておいたと通り13:30で仕事を早退 帰路の道すがらランチを済ませ帰宅したのが15:30 フロ入ったり身支度を整えたりで家を出たのが16:45 17:00発の電車に乗り一路吉祥寺を目指した 所要時間約30分
17:30吉祥寺駅南口(公園口)改札にて愛知から遠征して来ている友人と合流 有志によるカンパで用意する予定の花束づくりを依頼しに 駅に隣接した花屋を訪ねると「今日明日は予約以外の花束はお作りできません」と言われたので ありもので済むならそれでもいいと店頭を見渡したものの カーネーションの花束と鉢植えの花しか置かれていなかった
・・・そうか 母の日か!
この時期は見事なまでに花屋の書き入れ時 色を合わせた花を束にしてもらうどころの話ではなく 選択は「カーネーション」と「あじさい」の2種類のみ さすがにこれではイカンだろうと慌てて他の店を巡ってみたが どこも状況はさして変らぬものだった
巡り巡って数件目 最終的に線路を挟んだ駅の向こう側の東急百貨店に入っていたフラワーガーデンで やっと「その他」の花の選択権を得る そして予算と数と色のイメージを伝え花束の制作を依頼すると 「1時間ほどかかります」という店員の言葉 ただ待っていても時間が無駄なので支払いを先に済ませ一旦店を離れることにした そろそろもう一人愛知から長旅の友人が到着する頃だ
ガードをくぐって線路の反対側へ 公園口からつづく細いバス通りへと入り友人の到着を待っていると 程なくして彼女が姿を現した そしてその彼女の「ラーメンが食べたい」という一声で 目の前のラーメン屋に入ることになった 味噌 醤油 豚骨 三人三様の注文をしてイソイソと食べ進める 時刻は18時を回ろうという頃合で18:30の開場までには店を出て本来の目的地に行かねばならない
本来の目的
そう 仕事を半日休んでまでして臨んだ今日の目的とは
3年間聴き続けてきたバンドPOWDERの 解散ライブだ
Vo.スージーを追ってこのバンドに辿り着いた我々は 彼の前身バンドからのオーディエンスだから「バンド解散」の憂き目に遭うのはこれで2度目ということになる 前回はライブに行ったら「今日が最後です 解散するんだ」とステージの上から涙目のスージーに告げられて 皆ショックでうろたえずにはおれないファイナルライブだったが 今回は事前に告知があり 今日のこの日を迎えるまでに多少なりとも心の準備ができる時間が与えられた
それが良かったのか悪かったのかは 正直わからない でも 私の中ではもう既に 破裂して 粉々になって 頭の上から体中に降り注ぐ銀色の紙ふぶきのような存在に 彼らはなっていた
掴もうとしたって掴めはしない でも私から離れずに 漂う風に乗って
いつまでもキラキラと 宙を舞いつづける 銀色の 光
悔しいとか悲しいとか そういった感情は今 抱いていない ただちょっと しばらく寂しくなるなぁと残念に思うだけだ
しかし 私自身がそうだからといって 他のオーディエンスたちが同じ心境であるとは限らない 掲示板で思いのたけを訴えたり 今日という日を迎えるのが怖くて いっそサボタージュしてしまおうと考えていた人もいる 最後のライブに参加しなければ「解散」という現実から逃げられるんじゃないかという切実な葛藤なのだ 今 私の目の前にいる2人は 特に彼らへの思い入れが強かった人たちだから 一見落ち着いているようには見えていても心中穏やかでないことくらい私にも解る 他愛もない会話をしながらラーメンをすするお気楽な情景には タロットカードのように正位置とは真逆の意味をもつ逆位置が隠れているに違いない
伏せられたカードを 私は敢えて裏返さずにおく そこに描かれているものは 本人だけが知っていればいいことだ
時間になったので店を出て すぐ隣にあるライブハウスの階段上で待機した 程なくしてモギリのスタッフがチケットの番号順に並ぶよう指示してきたのでそれに従い 開場と共に場内へ
私の持っていたチケットは6番だったが 1・2番の所持者が未着だったので実質4番手で入場することができた イスが並べられないであろうことは予測ができていたので 左右の壁に作りつけられた隅のベンチに陣取った 正面に立って聴くのもいいが 正直なところそういう気分ではなかった サイドからこっそりと 彼らの晴れ舞台が見届けられればいい
場所を確保してから友人と花屋へ取って返し 出来上がった花束を回収し再びライブハウスまで 花束を渡すタイミングを一応マネージャーに相談する ステージの流れを崩すようなら終演後各自に渡すけど?と言ってみたが マネージャーさんは「大丈夫 アンコールの前にお願いします」と調子よく言って仕事に戻ってしまった まぁ マネージャーがいいと言うのだから いいんだろう 我々は花束を指示されたカウンター内に預けて各々の席に戻った
そして ライブが始まる
最初で最後のPOWDERフルワンマン 2時間演奏しずっぱり
向かって右サイドからステージを見ていた私からは 左サイドにいるベースのさなやんの表情はほとんど見えていなかったが(そもそもグラサンしてたら顔がわからん)目の前で歌っているスージーと 後ろから支えるクリさんの顔はよく見えた 2人ともショボけた表情などこれっぽっちもなく 楽しそうで晴れがましい様子だった それを見たら ちょっとホッとした
きっとやめない
この人たちは 音楽をやめたりしない
それだけで充分に思えた
花束を渡したあと2度のアンコールに応えてくれた彼ら 有終の美は飾れたんじゃないかと 親馬鹿ならぬファン馬鹿な我々は喝采を贈った 全てのプログラムを終え 人々が散開する もうしばらくは会えそうにない人もいる でも湿っぽい別れはしないでおこう 夜明かしで飲みに行くようならトコトン付き合う気で臨んでいたが そこまでの勢いが皆にはなくなっていて ライブハウスを出てから軽く飲み食いをし 各自の終電に遅れぬよう解散となった
みんな お疲れ様
POWDER お疲れ様
『青春リアル』POWDER
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