カタルシス
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青山スパイラルホールで開催されているデザイン系のイベントSICF(スパイラル・インディペンデント・クリエーターズ・フェスティバル)を見に午前中から外出 渋谷からではなく原宿まで出て 徒歩にて表参道経由で目的地を目指す 一度スパイラルの様子を確認してから青山通りを挟んだ反対側の地区へ踏み入れ ポール・スミスのショップを覗きに行った この界隈にはブランドの直営ショップや小さなギャラリー 小洒落たカフェやレストランが点在しているのに 何故か喧騒とは無縁のような雰囲気を醸し出している“裏通り”にあたるところだ 立ち並ぶ建物の造形そのものまでもが斬新で面白い 頭上には晴天 まさに散歩日和
目的のポース・スミスを発見 …したものの何やら奥まっていて入りにくい雰囲気 恐る恐る覗いてみると店内には客足がチラホラしているようだったので ホッとして和風に整えられたこぢんまりとした庭を進んで行った 飛び石の小道を抜け切ったら
正面口だった
あれ? 私たちが入って来たのって 裏口??? 若干頭の地図設定に誤差があった模様 しかし 目的地に辿り着いたのだからこの際結果オーライだ 明るく開けた大きなガラス張りの正面口から堂々と入店
1階は雑貨メイン 2階がレディスのアパレルで地下がメンズのアパレル 3階は多目的ギャラリーになっていた
現在3階では『セブンチェア』の企画展示(入場無料)が行われているということで サクサク階段を上がる我々 インテリアプロダクトで有名なアルネ・ヤコブセンデザインの「セブンチェア」を 様々なブランドがコーディネートするという企画で ポール・スミスの他 エルメスやロイヤルコペンハーゲンなど 世界に名だたる14ブランドが参加し それぞれに個性的な「セブンチェア」を創作していた
⇒●アルネ ヤコブセン/Arne Jacobsen
【イベント参加ブランド】 Birger Christensen, Bisazza, Camper, Diesel, Georg Jensen, G Star, Hugo Boss, Hummel, Kris Ruhs, Louis Vuitton, Mandarina Duck, Missoni, Paul Smith, Royal Copenhagen (アルファベット順)
正直自分はプロダクトの人間ではないので これらの作品の善し悪しだとか 技術的にどうこうだとか 詳しいことは一切解らなかったが 各々のブランド色を出しながら1つの“イス”を演出するという企画自体は面白いと思ったし 呆れるような手の込み具合のものには 好き嫌いを通り越して純粋に賛辞を送りたい気になった とはいえ基本的に興味のない分野なので(ブランドそのものにも興味がない)見学はサラっと呆気なく終了 この3階から屋上庭園に出られるようになっていたので こちらもチラリと見学 見渡す限りの ビル ビル ビル 空は時折建物の合間に見えるだけで 他は真上を仰がなければ青には出会えない 足元には半端に手入れされた庭花が 季節の彩りを見せ オブジェのような屋外チェストやテーブルが 不思議なバランスで配置されていた 正直“配置”というより“放置”という感じだが…
それでもポール・スミスのすることだから
しばらく庭でのんびりしてからギャラリーを降り すぐ下の階のレディスアパレル売り場をフラフラしていたら 店員に声をかけられた 「上の階の展示はご覧になられましたか?」 もちろん「はい」と返答 すると 「地下には洋書のコーナーもあるんですよ 見に行かれますか?」と勧められた 洋書や雑貨には興味なくもないので 喜んで案内について行ったが 内心「我々 アパレルには無関係だと思われたんだろうか?」と首を捻る気持ちもあったりなかったり そんな無頓着な格好していたつもりも なかったんだけどなぁ… まぁ センスが良いとも言い難いので その辺は敢えてスルーすることにした
案内された洋書のコーナーにまんまと大ハマり どっぷり時間を使ってしまう だってだって 写真集だとか 得体の知れないコミック雑誌だとか 面白かったんだもの!! 本に紛れてブッククロック(本に擬態したデザインの時計 もちろん売り物)があったりしてイチイチ芸が細かい やるなポール!! 案内されたのとは別の階段を使って1階に戻り 再度雑貨を見回してから店を出た うん なかなか面白かった!
⇒●PAUL SMITH SPACE
昼時を過ぎていたのでスパイラルホールの前にランチを済ませることにする 来るとき目をつけていたレストランは ランチには遅めの時間であったにも関わらず長蛇の列 しまった さっきはガラ空きだったから「帰りでいいね」と油断していた 大失敗 今更その列に並んでまで入りたいとは思わなかったので しかたなく諦める 入口から見える壁に大きなポップアート風のイラスト(シルクスクリーンだったかも)が飾られていて そこに描かれていたのがトム・ヨーク(RedioheadのVo.)なのに興味は引かれたけれど
青山スパイラルホールに戻って『第7回SICF』に一般入場700円也 会場は板でいくつもの小部屋に仕切ってあって 1部屋ごとに1アーティストの展示場が繰り広がっている状態 去年の秋に見たデザインフェスタと展示形態は酷似しているが 規模がコンパクトで集中して見られる度合いは今回の方に軍配が上がる デザフェスはピンキリの落差激しいし 出展数が多過ぎて途中で疲れを感じてしまうのが難点 スゴイ作品を見ても感覚が麻痺してきて感動が薄れていた気がする それでも全部残らず見なきゃ気が済まなくて後半は心身共に疲れきってしまった ありゃマジにしんどかった… そのときに比べたら1展示に時間をかけて見ることができる今回の方が 規模としては見る側には親切に思ったが ピンキリの割合は大して変わらないもんなのだと 何となく感じた 更にその中で自分のツボを突く創作となると 結構数がしぼられてしまうもので 見応えを感じた反面 イマイチと感じるものも少なくなかった
⇒●第7回SICF
えー… ぶっちゃけると自分は基本的に 無意味なものを理解する頭がない 無意味の定義が微妙ではあるのだけれど ベースになるコンセプトがしっかりしていないものが苦手というか よく解らない そのコンセプトはディティールさえしっかりしていれば どんなバカげたものでも現実味のないものでも構わないのだけれど 創り手が何をしたくて創ったものなのか とか 何を伝えようとしているのか とか 表現しているのか とかが 伝わってこないものがときどきあって そこに細かい技術や高度な作業があるのだと見て解っても 内面にピンと来ることがない “アート”と“デザイン”で創作物を選り分けていくとすれば この現象は前者に多く感じてしまう感想であったりする アートは直感的に「イイ!」と思ったもの意外 大抵が難解だと思う センスのない自分には理解が難しいのだよ…
そんな自己分析をしながら 見ていて面白いもの わけもなくツボを刺激されたものばかり 何度も何度も見て回って来た 帰りじなにスパイラルのホールショップをグルリと一周 ここのショップは扱っているものがデザインチックで見るのが楽しい 中にはやり過ぎて実用性を怪しむものが混じっていたりもするが 基本的には唸らせるセンスの良さ さすがは青山スパイラルホール
実はその昔 とあるフライヤーにスパイラルホールの案内図を入れる仕事をしたことがあって クライアントの印刷物にイメージを合わせたタッチで地図を作成したら 直接のクライアントではないハズのスパイラルホールからも校正が入り “青山 SPIRAL HALL”という表記は“青山スパイラルホール”か“AOYAMA SPIRAL HALL”にするようにとのアカをもらった スパイラルホールからの発行物じゃないのに細かくチェックするもんなんだなぁと感心しつつ 案内図自体が一発OKだったのが意外で驚いた記憶があったりなかったり 以後「青山スパイラルホール」というと その時のことがフッと思い浮かぶ 今や懐かしい思い出だな
帰りは元来たルートを逆行して表参道を抜け原宿まで 休日の賑わいを見せる「表参道ヒルズ」には 全く一片の興味も湧かず 小虫のような人だかりと 歩道の脇に寄って誰かを待っている男性陣のくたびれた表情に 半ばうんざりする 買い物したい人だけが来れば この街もう少し歩きやすくなるんじゃね? と内心だけで悪態をつき通り抜けた
原宿からは電車に乗らず 明治神宮を散歩がてらの通り抜け 歩みすすむ中 和太鼓や雅楽の音が耳をかすめたので 今日が憲法記念日だったことを思い出す そうか 奉納行事やってんだ… 行く先に子供が叩く和太鼓の舞台が見えて来たので 歩調をゆるめて眺め歩きをしていたら事務服姿の女性が数人かたまって演奏を見ていたので これまたフッと ○○ちゃんは今日お仕事かな? ととある友人を思い出した 彼女は明治神宮で事務の仕事をしている
次の瞬間 見覚えのある面差しを発見
眺め歩きの歩調のまま近づいていって すぐそばまで来てから軽く袖を引いた こっちを向いた彼女は見事なまでの二度見をかまして「あれ!なんでいるの?!」と声を上げる たった今思い浮かべていた友人が 本当に目の前にいたので 思わず構いに行ってしまった 驚かし甲斐のある子で好きだな 私は「ちょっとお散歩(笑)」と返してすぐに手を振り退散した 彼女は勤務中であろうし同僚数人も一緒にいたので 長話はせずにおいたのだ そういえば彼女とは事務所が移転する前の仕事帰りにも偶然会ったことがあった その時は向こうが“お茶”帰り と言ってもここでいう“お茶”はティータイムではなく茶道のことなのだが 神宮に勤める女性はお花やらお茶やら日舞やら詩吟やら とにかくたくさんあるお習いごとのうち いくつかは必ず嗜まなくてはならないらしく 彼女は茶道をそのうちの1つにしていた 私が勤める事務所は移転前には信濃町にあり ここは茶道会館の最寄り駅でもあった 故に駅でバッタリ なんてことが起きたのだ よくよく思い起こすと そういう偶然の多い子だわ 先月会ったときに発覚した彼女のマイブームが これまたマニアな私の友人とかぶっていて 滅多にいないだろうと思っていたド狭いポイントで まさかクロスするとは思っておらず そうと知ったときには驚きを通り越し可笑しくなってしまったという一件があった 「*pnish*」なんて普通の人知らないでしょ? 解らないでしょ? 彼女が彼らのことを知っていただけでも驚きなのに ファンだなんてビックリさ しかもまた通なメンバーがご贔屓だというので 更に笑いが止まらなかった
本当 恐ろしい子!
ちなみに歴史つながり その集まりの中では貴重な同年の友人であらせられます ⇒●*pnish*
明治神宮を抜けて代々木に出 更に歩いて新宿まで 電車に乗る前にウェンディーズへ入りソフトクリームとコーヒーゼリーフロート?で小休止 数分足を休めてから私鉄の駅まで再び歩き 電車には座って地元駅まで約30分間のおやすみタイム ZZZ…
連休初日はこんな感じ
『スパイラルコード』2002年/カナダ・アメリカ
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