本日の感想文。

2002年11月29日(金) 人が落ちていた……

今日は会社のクリスマスパーティだった。
なぜ今ごろ? と、思われる方も多いと思うが、本当のクリスマス前後はカキイレ時で、毎年この頃することになっている。

寝不足のせいで、1次会退散。
星がきれいだ……。
長い間、空を見上げないうちに、すっかりオリオンが夜空の主役になっていた。
惑星は、木星と火星か? あぁ、もうぜんぜんわからない……。

などと思いつつ歩いていると、線路のガード下に、ふとんのようなものが落ちている。
でかいゴミだなぁ……と思っていたら、動いた。
人だった。

星がきれいということは、夜冷え込む可能性が高い。
翌朝凍死していたら、大変と思い、揺り起こした。具合が悪いのかもしれない。
おじいさんで、なんと上半身裸。
「大丈夫ですか? 救急車呼びますか?」
と聞くと、開口一番
「いや、スーパーへ買い物に行く」
11時までやっているスーパーが近くにあるけれど、もう11時半を回っている。
「閉まっていますよ」
というと、怪訝そうな表情を見せた。
かなりの時間、そこに倒れていたらしい。

住所もはっきりいえるようだし、顔色もそれほど悪くないようだ。病院に行くほどのことはないが、足腰が立たず、起き上がれない。
とても一人では起こせそうにないので、たまたま近くを通りかかった人に助けを求めた。
主婦らしき二人連れだったが、事情を話すと、一人がそのおじいさんの様子をみて嫌そうな顔をした。
「あなた、よっぱらっているのでしょ? 飲んでいるのでしょ?」
おじいさんはうんうんとうなずいた。
すると、その奥さんは私にこういった。
「あなたも、かまわないで帰ったほうがいいわよ。寒くなったり、具合が本当に悪かったら、自分でどうにかできるんだから……」
そういって、奥さん二人は行ってしまった。

何か説教されたような、悪いことをしているような気がして、
「はい……」
とは言ったが、おじいさんを見捨てるわけにもいかず、覚悟を決めて引っ張り起こした。
「私一人では支えられないので、そっちの壁に捕まってください」
どうにかこうにか、起こして、うんうんうなりながら引っ張った。
しかし、そのうち軽くなった。よく見ると、もう壁にも捕まっていない。
おじいさんの家は、近くの公共住宅で、エレベーターのない2階らしく、階段を上がれるのかも心配だったが、何の問題もなくさささと上がった。
たぶん、寒さで頭もすっきりになったらしい。
「一人暮らしなんですか?」
と聞くと、
「いいや」
と言って、鍵のかかっていない玄関を開けた。中から明るい光が漏れた。
おじいさんは、そのまま何事もなかったように、私の方を振り返ることもなく、家の中に消えていった。
たぶん、このような状態で、送られたことが恥ずかしかったのだろう。

家に帰る道、やっぱり星がきれいだった。
リゲルとベテルギウス……。今日は同じくらいに明るく見える。
なんだか、悲しい気分になった。
やっぱり、人なんか落ちていても、拾うものではないのかもしれない。
でも、こんなきれいな星の下、人が倒れていたら、やっぱり助けてしまうかもしれない。


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