白虎草紙
『遙か』の白虎組についての四方山話、SSなどです。

2006年07月18日(火) 青い、鮮烈な

 
文芸雑誌、『あとん』の連載、
『青い、鮮烈な、いっぽんの水』が
毎号楽しみで。


現在、第三話目であるのですが、
初回で「これだ」と感動した、
みずみずしくてふくらみのある、
豊かな優しい文章と、
優しくあるのに凛とした、
真実の提示の方法に、
読んでいる時、じんとし続けています。



生活とは、目のくらむようなくりかえしでできていた。
ゴミを捨てる、買う、食べる、またゴミを捨てる。
食器を汚す、洗う、また汚す。
毎日たまるほこり、毎日汚れる身体。
ああ面倒だと思って、そのひとつを飛び越すと、
何かがそこからほころび始める。
死んだ母も、ばあちゃんも、誰もがそれに堪え、
あたり前のことのように乗り越えてきた。
呆然とする。圧倒される。

『あとん』 7月号 小池昌代 pp43-44 p/bアートン


「塚本壇(まゆみ)さんです」
蓉子が男を紹介した。
「まゆみの木の、まゆみさんですか」
ばあちゃんが聞く。
「はい、弓をとる木です。
木はうごきませんが、この木でつくった弓は、
遠くまでとんでいくというわけです……」
「木の願いがこもったような名前じゃねえ。
ピンクの小さな花がつく」
「ばあちゃん、さすが、よく知ってるわ」
蓉子が言って、橡は笑った。

同 pp48-49


今月のお気に入りシーン二箇所です。

でも、全文こんな風で本当は選びがたいのです。



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