「隙 間」

2009年03月18日(水) かっぱどきゃと「ブーリン家の姉妹」

 そうだ、ギンレイに行こう。

 と思いついた。
 金曜で今の作品が入れ替わるのだが、二本のうち片方をまだ観ていない。

 携帯で上映時刻を確かめる。

「ゴンッ」

 暗転――。

 ここはまだ品川駅の港南口である。
 ギンレイでも、上映前の予告編がはじまるわけでもない。

 脳天をおさえる。
 ジンジンしている。

 柱とはち合わせてしまったのである。
 せせらぎの石にくるりと回る花弁のように、である。

 せせらぎの音は、衝突音すらも飲み込み、サラサラと流れてゆく。

 誰も笑うものはいない。
 いたのかもしれないが、とうに下流へと流れ去ってしまっている。

 あちち。

 わたしがもしも河童であったなら、皿が割れて致命傷になっていたに違いない。

 つむじの奥の真ん中を、そっと指先でなぞって無事を確かめた。

 そして。

 秋葉原で乗り換える。
「お茶の水、新宿」方面だから、と溢れかえる人の波に揺られながらホームを歩く。

 あっと、こっちだ。

 てくてくと階段をのぼってゆく。
 段には、駅名が順に書いてある。

 浅草橋、両国、錦糸町。
 ふう、やっとのぼりきった。

 んむぅ。
 なにやら懐かしい視界である。

 逆のホームに、わざわざ確認しながのぼってきてしまった。

 河童の川流れ――。

 よちよちと、また階段をおりてのぼって、ようやく本来のホームにたどり着く。

 車窓から見下ろす神田川が、黒くキラキラと光りながら併走していた。

 さて。

「ブーリン家の姉妹」

 をギンレイにて。

 会社帰りに名画座だなんて、なんておすまし野郎だ。

 すましてなんかおりません。

 さてこの作品。
 エリザベス�祇っ太犬砲泙弔錣襪蕕靴な�語。

 はい、それだけです。

 さびしいのでもう少し。

 愛と権力と身内の欲望に翻弄され、翻弄して、とてもイタい物語。

 学ぶべきことがひとつ。

「男に主導権があるようにみせること」

 が、

「女の奥義」

 であるということ。

 この奥義を知ったところで、いったいどこで駆使すればよいのだろう。


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