夢見る汗牛充棟
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| 2006年06月21日(水) |
暁の寺 豊饒の海(三) 三島由紀夫 |
新潮文庫 購入
読了。
というわけで、ようやく読了。時間かかった。途中浮気も……。 次に進むためにもうだうだと感想を書く。
文章はやっぱり好きだー。なんか、うっとりする。 食べ頃を過ぎて、ねっちょりどろどろして発酵し、甘ったるく 匂うような官能的な雰囲気も割と好きです。
でも哲学書か宗教書かと思える詳細な記述は難しかった。 唯識って何さー。思想ってつくづく難解です。 阿頼耶識なんて言葉、私は昔サルのように遊んでた同人ゲーム 星矢の拳のカードでしか見たことありませんでした。ふはー。
本田さんメイン話ですよ。でも、メインのくせに傍観者。 この人は、本質的に観察する人なんだなぁ、きっと。 変わっちゃったのね、本田さん……。などと悲しんでみるのは 簡単ですが、感情の吐露の少ない、ひたすら理性的にふるまって いた人だけに、「昔からあんなこと考えていましたが、何か?」 と平然と言われたら、「そうなのかー」と納得してしまいそう。 ……しょんぼり。
思うに春の雪より映画化したらよっぽど不思議で不気味で面白そう。 焼け跡で、嬉しそうに生卵をすする老婆とか、本棚の奥の覗き穴から 隣室の情事なんかを覗く中年の男とか、いい絵になりそうだ。
映画の春の雪は見ていないのですが、原作通りならきっと 清顕に共感を覚えるのは私には無理なわけで……。 全部読み終わったら見てみようと思っている。
覗くという行動への欲求は、わからないものじゃない。 支配欲が満足しそうな気がするし、誰も知らないあの人の姿を私だけが 知っているという後ろ暗くさを凌駕する高揚感を味わえそうだなとか 考えることができるから。
じゃなきゃ「壁に耳あり障子に目あり」なんて諺もできるまいし。 覗きも盗聴も盗撮もありますまい。
ですから本田さんの行動には、一定の理解を覚えることができます。 おおっぴらには、褒めたり、同調したりはしないけど、内心で うん、気持ちはわかるよ。気持ちはね。 と考える程度には。
常にそういう自分を冷静に判断してしまう本田さんは、なんだか、 難儀な人だなーと思わなくもないけれども、本人がそうあろうとして そうあるのだから幸せっちゃ幸せなんだろう。呪いのアイテム (清顕の日記)に呪われっ放し……とか考えちゃだめなんだー。
のぞき穴から少女を覗く脂ぎった中年男の深遠な精神。 マニアックで難しい世界です。
本当のことを言えば、弁護士に金を払えないような人間に法を犯す 資格はない、とか本田さんの考えっていちいちご尤もだと思う。
傍観者、本田さんは、この後またどうなるのか。 すっごく気になるところです。けっこう面白かった。
さあ、最終巻へ行くぞー。
ティーツリーはがしゅがしゅ刈り込み。雨で稲穂のようにお辞儀を するのは、どうにか回避できた。幹がやわらかいので、すぐしなって しまうんだな。 これ、もしも露地植えにしたら、こんなに柔らかいのに大木になるの だろうか。気になる。
ラベンダーは、みーんな元気。 植え替えした子も、さし芽の子も。 ミントを大食いする夜盗虫は、日々の捜索のかいあって、2匹は 捕獲した。恨むなら、恨め。だが、スペアミントの新芽はやれない。
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