夢見る汗牛充棟
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春の嵐と思しき一日。風雨甚だ激し。
会社からの帰りに、合羽着てだね、会社に置きっぱなしだった
長くてごついジャンプ傘持ってだね、自転車をひた漕いだわしだった。
合羽着ていたから傘を差す必要はなかったし、差したらおそらく
強風で壊れておったろう。安全のためと傘のためを慮り、私としては
そういう途を採らざるを得なかった。傘は長くて邪魔だった。
だが、道半ばにして、わしは前につんのめった。何故か?
自転車が急に前進をやめたからだった。わしは急に止まれない。
これを慣性の法則と謂うのだろう。
前輪に件のジャンプ傘がまきこまれてめきめき音を立てていた。
自転車無事でいてくれ!!と祈った。前輪と傘のガチンコ勝負だ。
双方とも無事、はありえん。傘が無事なら即ち前輪はおシャカである。
それなら、980円のジャンプ傘には心でグッバイ!!と叫ぶのに
なにをためらうことがあろうか。
祈りは天に通じた。前輪はどうやら無事だった。だが、チェーンが
外れてぶらさがっていた。雨は、以前さあさあ降っていた。
落ち着いて直せやしない、わしは自転車を転がしてとぼとぼ歩き始めた。
傘はS字になっていた。
S字の傘を手に持って、自転車転がして歩くのはどうにも恥ずかしかった。
傘が壊れていなければ、顔を隠して歩けるのに……。
そう思ってから、わしとはなんて手前勝手なわしだろうと苦笑した。
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