夢見る汗牛充棟
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2000年01月02日(日) うたまとめ2

戯れうた数えうた  2002/12/20(金) 17:37:52

ひとつ伸び
ふたつ伸び
みっつめにあくび
よっぴいて君の便りを待ち
いつまでも床の上 浅はかな女
むだだと知っているよ どこかで
ななめで頑なになってるだけ
やくそくなんて本当はあてにしない
この場所でずっと待ってるわたしを
とおくから笑ってるの わたしも



夜  2002/12/22(日) 03:34:04

冷気を纏う月にうたう鳥
青白く繕う星にたゆたう魚
漆黒の虚空に踊る幻想のものども
戯れ深々とした夜に何を騙ろうか



しるべ  2002/12/23(月) 17:19:25

ささいな夜は流れている
ほしが無言で天をわたり
ちいさな家を朝へと導く
たゆまず僕を朝へと導く



夜  2002/12/27(金) 12:23:39

四角い部屋には蝋燭が置かれ
小さなほのほが頼り無く揺らめく
器にはった水が溢れそうに
震えるのを見つめながら
両手を組み合わせ天に真摯な眼差しを向け
艶やかな唇で神への愛を騙ろうか

夜  2002/12/28(土) 23:11:11

冷気を纏う月にうたう鳥
青白く繕う星にたゆたう魚
漆黒の虚空に踊る幻想のものども
安息の小箱と君を緑の小舟に流す
境界にて混沌を抱き揺れながら
静寂を掻き分け水に似た空に浮かぶ
戯れ深々とした夜に何を騙ろうか
穢れ赤き淵底に澱む凝りを指で弾き
暮れ蒼陰に清らに遊ぶものやもののけ



[25] 今日  2003/01/07(火) 01:55:14

今日は山の頂に映える
薄橙の夕日がきれいでした
それはあったかい色なので
雪の下の草にも届きそうでした

そのうちあたたかくなって
そのうちあかるくなって
そのうち花が目覚めるように
今日は夕日が咲いていました



少しづつ  2003/01/24(金) 23:21:46

蝋梅がきれいに咲いている小路
つくりものめいた黄色に
和みながら行き過ぎれば
抹茶色の小鳥が隣家の垣から
ちょちょと飛び出してくる

堅い芽をつけた枝が囁く声
もうじきだよ もうじきだよ
応えて風が笑う
まだだよ まだだよ



雨降り  2003/01/27(月) 20:21:18

雨ふり合羽と自転車
夢中で走りひとりきり
ぶつかる水滴と自転車
ただこぐ私だけリアル
だだ広い世界をすべる



対処療法  2003/01/30(木) 21:04:46

温度や風や光や音に一喜一憂しながら
何かとぶつかって概ね暗い気分だとしても
こんな寒い日はたまらなく星が美しいし
風の強い日は木々の歌が止まないでいるし
お稲荷さんはやっぱりさざめいているし
かみついてもへこたれてもくさっても
痛み止めのような些細な光を見つけては
苦笑いして「また明日ね」と挨拶する
ちいさな 呪い



目盛  2003/02/22(土) 13:42:43

透明の物差しに普遍の
目盛りを刻まなくては
手渡された
小刀を右手に私は思案する
ここに一筋の尺度を刻み入れ
疑いなく変わらなく
これを信じ続けられるような
目盛りの位置は何処だろう




あれこれ  2003/02/23(日) 20:42:48

空飛ぶ鳥が日を映す光
同じ時 舗道の路肩に
凍りついた冷たい雀
誰かが弾くおはじきが一枚
陣地から取り除けられる

いつもの朝



声無き 2003/02/26(水) 01:17:34

草や花や木や苔
黙してひとをうつ
ひとだけの魂を揺する
叫び多く語るゆえに
沈黙にうつくしい意味を聞く
ひとの耳



夢見る木  2003/02/27(木) 00:30:01

あらゆるわたしは
土や水や風によって
幾千万と色を変じ
掌の温もりによって
また色を変える

もしもひとつの木ならば
囁く風に感じては
枝を解き
ちいさな葉や花びらを
世界に降らせてゆこう

ひとつの葉がひとの
掌におりる
さいわいの夢を見て
木であるならば歌おう


恵 |MAIL