しゃぼん暮らし
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2008年11月13日(木) 「もっとゆっくりと、」




「首をふって、」

という伊津野さんの声を頭のすみにとどめたまま
暮らしをくらすと

なんだかくるしいことです。




歌人・伊津野重美さんの朗読会
『フォルテピアニシモvol.3 涯の歌』、三度目のソロライブ
にいってきました、

おおくのひとがやられたまま暮らしているんじゃないかな、今も

と思うと




今回は二階の席で
天井のダクトや明かりの境目で声を体験


冒頭から、はじめて聞く断章『精霊流し』にはっとする、

数年前、長崎ではじめてみた火のいくつかの思い出が、
街中を幼い子の手をひいて山車をおいかけて歩いたことなど、それらが海に渡された夜のことなど、それこそ断片の、感覚がよみがえってきてしまった


伊津野さんの言葉は私的なものをつつんだやわらかい膜みたいのがあってそのかさなりの中にはいりこめる



賢治『やまなし』のたゆたい、会話の語尾の、そっけなくも可愛い感じ面白い

チェロ奏者mori-shigeさんの姿がフェイドアウトしてゆくときの明かりに泣けてしまいました、手を止めたときではなく、音が消える寸前ではなく、

その絶妙な瞬間の、

容暗がまだ眼の中にあります。






今回は迷いのなさと思いきり、みたいなものを感じた
ライブだった

あのラストだって伊津野さんしかできない、と思う




『Grace』の音楽の出だしの音量が大きすぎることや
与謝野晶子はまた違う構成で聞いてみたい
などは思ったけれど



いい意味でまたわたしたちを裏切るようなものをみせてほしい



伊津野さん、mori-shigeさん、スタッフのみなさん
おつかれさまでした。




ひろたえみ |MAIL