しゃぼん暮らし
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| 2006年09月21日(木) |
精製される日溜まりの |
渦
いちばん近所でいごごちのいい喫茶店が 昨年ふゆ一時閉店していて
《喪中》の貼り紙
隣の散髪屋さんにきくと
なくなったという 足がわるくて背がまるい独特のくぐもった声の御主人、
奥さんは朗らかなさっぱりしたしたおばさんで ふたりでやっていた すきな御夫婦だった
閉まったお店の前を通るたび
どうしただろう 泣いただろう どうするのだろう
とこころが落ち着かなかった
五月頃から
店内が改装されはじめ、壁を貼り替え床を整備して ちいさなお店なので男達が動くだけで店内がかくれてしまう
ここで お店をやってゆくのだろうか、と
どこをみても亡きひとを思い出すようなところで ひとりで
と思い思い いた
夏に 新装開店してもみると
おばさんは痩せて髪を切っていきいきと働いている
わたしは一杯のお茶を飲んで出てゆくだけだけれど
お馴染みさんがあらわれると おばさんは亡きひとの事を話す
どういうわけかそんな場面によくでくわして なきことを共有してしまう
知らず知らずにしらなかった事を聞いてしまい それもみんな優しいことばかりで困る
そんなとこだらうねと傍白を捨つそのそんなとこ意外にふかい
(岡井隆)
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