しゃぼん暮らし
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伊津野重美さんの第一歌集 『紙ピアノ』をようやく
ゆっくりと読む
静かなところで
どこにふれても あのいつのさんの声が 聞こえてくる
おそろしくうつくしい本
手のあぶらが
表紙の紙に じぶんのにんげんの指紋が たくさんついてしまって
緊張する
このように 魂が
本というかたちになって
たくさんのひとにそのままに届けられることを とても嬉しく想います
花びらの死骸
ということを 想った
そして声
おもいのほか言い切りのかたちが すっくとしている
文字のひとつひとつ をじっと見つめる
わたくしは小さき海であるらしく凪も嵐も併せてもちぬ (伊津野重美『紙ピアノ』)
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