しゃぼん暮らし
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2006年01月04日(水) 『紙ピアノ』


伊津野重美さんの第一歌集
『紙ピアノ』をようやく

ゆっくりと読む

静かなところで

どこにふれても
あのいつのさんの声が
聞こえてくる

おそろしくうつくしい本

手のあぶらが

表紙の紙に
じぶんのにんげんの指紋が
たくさんついてしまって

緊張する

このように
魂が

本というかたちになって

たくさんのひとにそのままに届けられることを
とても嬉しく想います


花びらの死骸

ということを
想った

そして声

おもいのほか言い切りのかたちが
すっくとしている

文字のひとつひとつ
をじっと見つめる





   わたくしは小さき海であるらしく凪も嵐も併せてもちぬ
           (伊津野重美『紙ピアノ』)


ひろたえみ |MAIL