しゃぼん暮らし
DiaryINDEXpastwill


2004年08月04日(水) 赤い犬

うまく眠れない

昨夜
最終で帰ってきて駅から歩いていると
闇夜に赤い犬が見えた

いる
ちょうどひとの膝のあたりだ
茂みのなかに

怖かったけど

なにかすごくなっとくしてしまって
いるいる、と思ってみていた

近くには寄らなかった


わたしより劇団のみんなは
眠っていない
直前の様々にこまかい仕込み
裏手の配慮
回廊に透明なテープを貼ってゆく
靴音だけが生きるシーンは真暗闇になる
危ないので
木と木のすきまをすべてふさいでゆく



フェスが始まろうとしている

今回三団体の照明をすべて手がける
宮向さんが客席で眠っている




それにしても
ドラマ工房の空間のうつくしいこと

もと紡績工場跡の劇場に
わたしたちは無数のラジカセをもちこみ
コードを舞台上に縦横に這わせ
紙ヒコウキを一機ずつ投げてゆく
回廊からしろい、かるい、うつくしいものも
降ってくる
この
降ってくる音もいいのだ

白煙

フラッシュ



いのちなきもののなんてうつくしいことだろう


ニンゲンいらないんじゃないかと思えてくる

すくなくともこころのあるニンゲンは





この日は
もうどの日でもいいんだけど

終電に乗り遅れ
神社で蝉の脱皮をみてるから大丈夫、と言ったが
うろうろしてると危ないと、演出家その他にとめられて
駅前のファミレスで始発を待つ事に

夏休みファミレス
旅人達や恋人達がおしゃべり
若者達が受験勉強とかしていました
ぼんやりと
わたしは進行表を熟読したり
いっしょに朝まで蝉のだっぴをみてくれそうな幾人かのひとを想ったり
しました

夜明けのころ
女の子ふたりが店を出ながら
「ちょっとあかるいよ」「あかるいねぇ、ごめんね」
と言った



夜明けの金沢駅改築中の
きらきらとガラス張り

実家につくと
娘達はぐっすり
おまえたちの悪夢のなかでおかあさんおどる、でもすこし横になるよ、
と埃っぽい物置の暗い廊下のすみで隠れるように
眠っていたら案の定すぐ見つかって

「ママーなんでこんなとこにねてんのー」
さんざん笑われる

しかたがないので起きあがって読経を

こちらへくると毎朝
お勤めする

三人で読むと面白い


ひろたえみ |MAIL