Leonna's Anahori Journal
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| 2003年10月18日(土) |
パーシモンホールの石川直樹 |
きのうのトークショーのこと。
場所は東京都目黒区、めぐろ区民キャンパス内パーシモンホール。東急東横線の都立大学駅から歩いて6〜7分の所。私はうっかり間違えてひとつ手前の学芸大学駅で降りてしまい開演時間の7時を5分ほど過ぎて到着。中にはいるともうトークショーは始まっていた。
正面にスクリーン、その左手にデスク。マイクを持った石川直樹氏がそのデスクに向かって座り、スクリーンに映し出されたスライド写真を見ながら話をする。写真(話)の内容は大きくふたつに分かれており、前半は今回上梓した写真集『POLE TO POLE 極圏を繋ぐ風』に関するもの。後半は今年の夏訪れた中東の国々に関するものだった。
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前半部分についてはつい最近『この地球を受け継ぐ者へ』を読み終えたばかりということもあり、映し出される大きな写真を見ながら「あー、これが!」とか「こういうふうな場所だったのか」などと一々感心しながら見た。
問題は後半で、この夏、石川氏が訪れたのはトルコ〜シリア〜レバノン〜ヨルダン〜イスラエル〜イラクという国々。つまりイラク戦争直後の中東を旅してきたわけなのだ。スライドを見せる前に「これらの場所はとてもリアルな場所で、詳しく語るととても暗い話になってしまう。なので、今回は写真をじっくりみてもらうことに主眼をおく」というような前置きをしてからスタートした。
私個人としてはその「リアルな場所の明るくはない話」をこそ聴きたかったのだが、こういう話題が“取り扱い注意”であることもわかる。そこで、頭を切り替えて新たな好奇心を自らに吹き込み、トルコの聖洞窟教会や、シリアのクラーク・デ・シュバリエ(天空の城ラピュタのモデルとなった町)や、エルサレムの旧市街やファイサルホテル内の様子などを興味深く眺めたのだった。
中東のことに関してはもう少し勉強してから本に書きたいとのことで、ウェブ日記に書かれていた戦車に威嚇射撃された話などにもまったく触れなかったのだが、パレスティナ問題についてはたった一言「世界最大級のイジメ」とだけ言われたのが印象的だった。
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石川氏は現在気球を使った冒険に興味を持っているそうで、ライセンスをとるために訓練を受けているとのこと。気球は風まかせ、その受け身のところがいい(面白い)と石川氏。
なんでも、早い気流に乗るためには高度8千メートルから1万2千メートルくらいまで上がらねばならないらしい。当然のことながら空気は薄いし、万全の装備が必要だ。しかもこの高さは航空機が飛ぶ高さでもあるので「ちゃんと避けなければ」なんて平然とした顔で言うんだよぅ。ヒィ〜
トークショーのあと、新しい写真集『POLE TO POLE 極圏を繋ぐ風』にサインをしてもらうとき、雪をいただいた山の大きな斜面を背景に立つ石川氏の写真の頁を開いて差し出すと、石川氏は「これはビンソン・マッシフという山の麓なんですよねぇ、うん」と半ば独り言のように呟いた。
ビンソン・マッシフは POLE TO POLE の到達点である南極にある山。この間読んだばかりだから覚えている。それでワタクシ「ええ、」と言いながら頷いたのだったが、それがあまりにも控えめだったので(だってこういうときに何と言ったらいいか、咄嗟にわからないじゃあないですか)、石川氏はまるで独り言を言ってるみたいになってしまった。アチャー。
そこで、サインしてもらった写真集を受け取るとき、ハッキリクッキリした声で「握手していただけますか」。そして、差し出された石川氏の華奢な手(石川氏はとてもをほっそりしていて、比較的小柄な方でした)をガシッと握り、グッと力を込めながら「アリガトウ!」とやってみた。
この“ばかに力強い握手”は知る人ぞ知る、私の強力なコミュニケーションツールなのだ。こういうときに使わない手はなーい(笑)。おかげで柄にもなく控えめな人にならずにすんだ。それに笑顔でお礼も言えし。エガッター。
写真集の入った紙袋を抱えたチマリスは、転がるように柿の木坂を下り、家路を急ぎましたとさ。メデタシ、メデタシ。
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