東柴屋古書店出納帳...東柴

 

 

本 第2回 世界の中心で愛をさけぶ - 2004年05月15日(土)

DATE
タイトル 世界の中心で愛をさけぶ
著者   片山恭一
出版社名 小学館
出版年月 2001年4月
税込価格 \1470
頁数   206P

(要旨)
十数年前。高校時代。恋人の死。好きな人を亡くすことは、なぜ辛いのだろうか。落葉の匂いのするファーストキスではじまり、死を予感させる無菌状態の中でのキスで終わる、「喪失感」から始まる魂の彷徨の物語。

(東柴@管理人REVIEW)
売れてますね。
柴崎コウさんの推薦文、映画化の波に乗って遂に200万部を突破し、その記録はまだまだ伸びるでしょう。ウチの書店でも大量に入荷したのですが品切れが続いています。文芸書籍ではハリーポッターを除くと、近年稀に見る大ベストセラーになりました。

恋愛小説。中学時代から高校時代までの朔太郎とアキの純愛を描いています。要旨をみればわかりますが、彼女は帰らぬ人となります。ネタバレとかじゃなくて、冒頭から彼女が死んでしまうことが書いてあるので結末を書くなと怒らないでください。彼女が死んでしまうのが前提です。

『好きな人を亡くすことは、なぜ辛いのだろうか』
このキャッチコピーに惹かれて読み始めました。何故なら、同じ喪失感を扱った村上春樹さんの『ノルウェイの森』が僕にとって一番の小説だから。読み終えて気付いたのですがこの二作品は、似ているけれども決定的に違う点があるということ。それは恋人(大切な人)を失った後の主人公の心境、行動、吹っ切れ方の描写にあたります。『ノルウェイ』では主人公は自暴自棄になり放浪の旅に出て、彼女を亡くしてもこれから生きていく決意をする心情まで描かれています。それに対し『世界の』ではあまり描かれていない。エピローグであっけなく大人になってしまって、僕は正直拍子抜けの感がありました。主人公が彼女を亡くしてから大人になるまでの間の葛藤、後悔、どうやって立ち直ったかを知りたかったのに。映画版ではその辺りが詳しく表現されていることを期待します(見てません)。

とは言え、中学校、高校の頃はこんな恋愛をしてみたかったなぁ(今もか)と読者に思わせるなかなかの良作です。今時珍しいぐらいの純愛と切なさ。時代がこういうものを求めている点でも興味深いです。ベストセラーは読まないという人に時々出会いますが、200万人に買いたいと思わせる本です。ある程度の普遍性というか、何というか…読んでハズレだと思うことは普通の本より少ないと思いますよ。

そしてこの本を読んだ後は是非『ノルウェイの森』を読んで頂きたいと。


オススメ度 ★★☆☆☆ シバcafe在庫×








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