二十数年前のうちのガス馬車会社。 地元密着の売り文句のとおり、地元密着だったようだ。 近所の商店から物を買い、ガス馬車御者が自炊をする。 その一方で、その商店の店主が外出するときにはガス馬車を使う。 業種こそ違えど、持ちつ持たれつの共生関係ができていた。
なるほど。 自分のところは金を使わず、相手には金を使ってもらう。 商売としてはごく基本的なところの問題だが、昔の社会からすると ナンセンス極まりないらしい。
聞いてはいた古きよき時代。 誰しもががんばれば財をなせた時代。
そんな時代は確かにあったようだ。
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倅がおいらにいう。 今のままだと居場所がないと。 親会社と事務所を共有して、日報管理や無線ができないとなると、おいらの居場所がないというのだ。
ふーん。 おいらの危機感をあおったつもりなのかな。 でもさ。 おいらが仮に無線ができるようになったとして、無線に張り付いた状態になると、なんかあったときに動く人間が居ないんだよね。 無線番のバーちゃんがやめた後の話。 はげとおいらの二刀流で無線をやらせようというのだろうけど、それなら固定費だけですむ。人件費は新しく発生しない。
でも、それは机上の空論。 何かあったときに、人員が割けないということだ。 そうなったときに、じゃあ代わりに誰か動いてくれるのか。 今の大型ガス馬車の金庫故障だとか、そういうのだってこっちに振ってくるくらいの人手の会社が、かわりに動いてくれるわけがあるまい。
倅はどこまでうちの会社の事務を理解しているのか。 確かに事業者は業務の展望は考える必要はある。 しかし、業務の展望と必要なコストさえも削るのとはわけが違う。 今も事務所は三人の最小限人数でやっている。それを二人にするということは、そもそもがまちがっている気がする。
月曜日、次男坊に話をするつもりでいる。 これでいいとおもうかどうか、と。
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