2003年07月08日(火) 涙よとんでけ

取締役の父親が亡くなって、初めて取締役が出社してくる。
葬式の後、いろいろ手続きをしていたのだろ言う。
年金受け取り用口座の更新。資産凍結の解除。死者の身分証明書の確認、などなど……。

取締役は、笑顔で言う。
「ったく、こっちも死ぬなんてわかってないから、何も準備してなかったよ」
「印鑑証明つくろうにも、身分証明書がないから、作れないんだよね。しかも、免許も一切持ってない人だったから」
そうやってしゃべる様は、いつもの『大学入試の勉強に明け暮れ、人間関係の構築がへたくそな取締役』そのものだった。
でも、どこか、空元気のようなものが感じられる。
そりゃ、体調悪くなったと思ったら、二、三日で逝ってしまうような、急な出来事だった。
心の準備をしているというほうがうそだ。
けれど、それを出すまいとして、必死に振舞っているのがなんとなく見て取れた。

本人には聞いていないからどうだかはわからないが、迫りくる悲しみを、いつもの早口の言葉をぶつけ、コースを変えているように思えて仕方ない。

そんな中、仕事で本社にかける用事があったので、電話をかけた。
でも、そこで一発ギャグをかまそうと、二メートル先の無線番のばあちゃんの電話にかけてみた。
取締役は、狂ったように笑ってくれた。
それだけでちょっと役に立てたかな、とおもう。
言い訳は『手が覚えていたから』。
まあ、当たり障りのないいいわけですな。
でも、そんなちょっとしたことで、笑いが戻ってくれば、それに越したことはない。

現在8.5円の一発芸でした(^^;


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彩葉 [MAIL]

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