| バカ日記★心のウラン。 |
今日はダーリンとちゃんと話し合いました。 話のきっかけは一つのライター。 それがラブホテルのライターだったのです。 で、私は決定的な証拠か、はたまたただ単に誰かからパクってきた物なのかと頭を悩ませ、心臓バクバクさせながらダーリンに電話。 「あのさ、この○○ってライター、誰かにもらってきた奴?」 「ライター?さぁ。いちいち覚えてないなぁ。貰ってきたやつじゃないかなぁ。」 「あのね、ラブホのライターなんだよね。」 「そうなんや。」 「うん・・・最近リカが不機嫌なのは気づいてるよね?なのにこれ。隙があり過ぎというか・・・なんかさ、もうようちゃんが信用できないよ。」 「そうかー。今度からわけのわからんライターもらわんようにするよ。」 「そういう事じゃなくって・・・。」 「じゃあどうすればいいのー。」 「わからん・・・。何言われても信じることが難しくなってきてるよ。すべてを疑ってしまったらキリがないけど、疑ってしまうよ。」 「うーん・・・本人がわからんことを、俺はどうすればいいの?」 「・・・考えて。言われた事をはいはいって聞いて実行するだけじゃなく、どうしてそうなったのか、考えて欲しい。」 「だから、ライターが嫌なんやろ?」 「それだけじゃないでしょ?こないだのテレカだって、テレカの話はしても、あのメモの話は話をそらして話してくれなかったでしょ?」 そう言うと、ダーリンはそのメモの話をしてくれた。 「うん、解った。でもどう信じればいいの?」 「・・・俺が行った先々で領収書とかもらっていちいち話せばいいの?」 「・・・そう出来るならして欲しいけど、結局そんな事したって信じられないと思う。」 「じゃあどうすればいい?」 「わからん・・・」 とかなんとか言ってるうちにダーリンは家に到着。しばらく無言で、私はTVを見て、ダーリンはご飯を食べる。 TVで、デカルトの「方法序説」という考え方の話をしていて、その考え方っていうのが、例えば物が落ちる事もその当時は「物にも意思があってそこに落ちるのだ」と考えられていたものをすべて疑い、自然現象を数学的に解明すると言う考え方で、TVの司会者(?)が 「究極の愛を追求するあまりに、恋人の携帯を覗いたりする。これも『すべてを疑う』デカルト的発想ですね」 みたいな事を言っていて、 「タイムリーな話やな。はは。」 と苦笑いした。 ダーリンもご飯を食べ終わったので話再開。 「どうしたもんかね。どうすれば信じられるようになるのかな。(←他人事)」 「・・・疑って信じられないなら、話しても無駄じゃないか。」 「そんな事はないよ。話してくれなかったら、疑ってる部分だけになるもん。話してくれたら、信じる信じないは別にして、もう一つの「案」も出来るわけだし。」 「でも結局信じられないなら一緒やん。」 「うん・・・別れよっか。」 あんまりスムーズに言ってしまって自分でもびっくりした。 口が滑ったとはまさにこの事である。 禁じ手を使ってしまった。 この場に出すにはあまりにも重い言葉だ。 「だってほら、今すごい行き詰ってない?私達。」 ダーリンはタバコに火をつけ、こう言った。 「今リカは、貰う事ばっかり考えてない?」 まさにその通り。この人は何故いつもこう的確なのだろうか。 「・・・そうやな。」 「できない・してもらえない事ばっかり考えるとそりゃ行き詰るし、しんどいでしょう?」 「うん。しんどい。でも、じゃあどうすればいいのかな。もうこの気持ちは起こってしまったよ。もうなかった事にはできない。でもようちゃんも私が嫌だと思う事が仕事だから、どうしようもないし・・・。ようちゃんは、私が嫌な事をしたらどうする?そしてそれが仕方のない事だったら?」 私にとって負の気持ちというのは厄介なもので、一度起こってしまうと、ウランのように体内から排出されず、蓄積されて行くようなものだ。 プラスの考えによって薄まる事はあっても、その想いは消えることなく、心の片隅に留まっている。 記憶が消える事でもない限り、それは一つの「案」としてこちらの心につけいる隙を窺っているのです。 「うーん、俺はそういうのないからなぁ。」 で、結局、あーだこーだと話し合い、ダーリンが私に対してしてくれてることなんかを再認識した。 「今、ようちゃんは、私に精一杯の事をしてくれてるんやんな?」 「まぁ、他を削ればもっと出来るんやろうけど・・・」 「今、出来る限りで。」 「うん。」 「そっか・・・。じゃあ・・・じゃあって言うのもアレだけど、私も我慢・・・というか理解するように努力する・・・うーん、性格的に無理かも・・・うん、でも、理解してる振り位はする。今回みたいにいちいち騒いだりはしないよ。」 「それだと辛いでしょ。精神的に。」 「うーん・・・そうやけど・・・そうしないと進めないし。でもね、ようちゃんがそういうとこに行ったり、怪しげな物持ってたりするのは仕事で仕方ないと思う・・・事にするけど、フリをしてても、私はそういう事が嫌だって言うのは、忘れないでいて欲しい。それだけで、私は楽になれる。ようちゃんはしんどいかもしれんけど。」 「うん。忘れないよ。」 「ほんとはね、ずっとフリしててしんどかってん。理解してるフリが辛かった。」 「そういうのは小出しにして言ってくれないと。」 「そうやなぁ・・・」 「あれ、リカ血がついてる!」 「え?」 と、見ると私が風呂上りに着ていたバスローブの袖口にちょっと血がついていた。 ダーリンは慌てて私の手や手首を確認した。手首を切ったらこんなもんじゃ済まないだろう。 大体、手首なんか切る訳がない。私はリストカットの話や写真を見るだけで、自分の手首や足首や首筋が気持ち悪くなって押さえてしまうくらいなのだから。 「どこの血?」 「どこやろう。・・・あ、唇。」 唇が切れていた。私は考え事をすると唇をいじってしまう癖がある。 今回は、考え事が過ぎたようだ。 「もうー。びっくりするやんか。ちゃんとリップ塗っといて。」 と、リップを渡され、それを塗り終わると、ダーリンが笑顔で 「仲直りのハグをして。」 と言った。 ダーリンと抱き合った。 「・・・私は、求める事は悪いと思わないから、きっとこれからも言うよ。言わなかったら、留まっている事はできるだろうけど、前には進めないから。」 「うん。俺も悪いとは思わないよ。それに重きを置くと、叶えられない事ばっかりになって不幸な気持ちになるからだめだとは思うけども。今あるもの、現状に満足しつつ、って事ならいいと思う。」 「うん・・・。」
こないだまで、話し合いが不十分だったからずっと引きずっていたけれど、今日のこの話し合いでかなりスッキリした。 この後、軽々しく「別れよう」と口にした事で拗ねたダーリンに「罰」を受けた。 他愛もない「罰」は私の心を軽くした。 いつだってこの人は、私の心のウランのありかを隠してしまう天才なのだ。
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2003年11月13日(木)
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