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2009年05月17日(日) プリンス東海 名古屋グランパス戦

09年05月17日 (日) 15:00開始 トヨタスポーツセンター
 JFAプリンスリーグU-18 2009 東海1部
 対 名古屋グランパス U-18 ※45分ハーフ
 天候: 雨

[前半]
清水エスパルスユース
 控え: 久保田、中原、矢守、進藤、酒井、伊東直、成田、山崎祐、影山
−−−−−−−−長島−−−−−−−−
−−深澤−−犬飼− 山崎教 −稲毛−−
−−−−−−田代−−柴原−−−−−−
− 伊東渉 −−−−−−−−−石原−−
−−−−−− 畑 −−鍋田−−−−−−

−−−−−−矢田−−奥村−−−−−−
−−小幡−−−−−−−−−−加藤−−
−−−−−−近藤− 三浦俊 −−−−−
−−安藤−−奥山−− 岸 −−岩田−−
−−−−−−−−古川−−−−−−−−
 控え: 三浦天、中野、野崎、水野、藤田、高原、大西
名古屋グランパス U-18

 23分、名古屋、警告: 加藤
 43分、清水RH伊東渉が戻っていない早いタイミングで、LH小幡がスローインで再開。LB安藤がフリーでボールを持ち、その左サイドに流れたFW矢田へロビングでパスを入れる。矢田にはCB犬飼が付いてきていたが、矢田は小さい体を犬飼の懐に沈めると、体を入れ替えて反転、突破、そしてフリーのままPA直前、左30度からシュートを狙うが、GK長島が何とか反応、バーを掠めてCKとなった (42分)。矢田の左CKはニアで清水DFがクリア、PA外中央で拾った近藤は、伊東渉のプレスを何とか浮き球で逃れ、下がってきた矢田にボールが渡る。矢田はワントラップから左足でインスイングのクロス。中央で稲毛と岩田の両者が潰れて誰も触われなかったボールは、ファーで一人余っていた三浦俊の元へ。トラップから右足できちんとファーへ蹴り込み、名古屋が先制する。0−1

グランパス     清水エスパルスユース
3(2) シュート 3(1) ×柴原、○畑、 ×柴原
2(1) 右クロス 3(1) ×渉、 ×畑、 ○渉
1(0) 左クロス 4(0) ×石原、×石原、×柴原、×柴原
4(1) 右側CK 1(0) ×柴原
1(0) 左側CK 0(0)
0(−)  犯OS  0(−)
8(1) ファウル 9(0) ・柴原、・教史、・稲毛、・深澤、・稲毛、・深澤、・鍋田、・鍋田、・渉

[後半]
清水エスパルスユース (51〜86分)
−−−−−−−−長島−−−−−−−−
− 伊東渉 −犬飼− 山崎教 −稲毛−−
−−−−−−田代−−柴原−−−−−−
−−石原−−−−−−−−−−成田−−
−−−−−− 畑 −−鍋田−−−−−−

−−−−−−高原−−奥村−−−−−−
−−小幡−−−−−−−−− 三浦俊 −
−−−−−−矢田−−近藤−−−−−−
−−安藤−−奥山−− 岸 −−岩田−−
−−−−−−− 三浦天 −−−−−−−
名古屋グランパス U-18 (68〜75分)

 48分、清水左サイドのパス交換から、FW畑のスルーパスに反応したLH石原の突破は、RB岩田が体を張って許さず。岩田が出したボールをCH近藤?が大きくサイドチェンジする。この一連の流れで清水CH柴原が倒れており、これに気を取られたか、サイドチェンジに対するRB深澤の反応が遅く、ボールはLH小幡に繋がってしまった。慌てて距離を詰める深澤だが、そこへLB安藤が小幡を追い越し、深澤の裏に抜ける。清水は全体に戻りが遅く、安藤の速いクロスに一人ゴール前に下がったCB山崎が必死に足を伸ばすが、足に当てたボールはゴールに吸い込まれ、0−2
 51分、清水、交代: 深澤→成田 (伊東渉RB、石原RH、成田LH)

 57分、清水FW畑をCB岸が倒し、中盤、40Mほどの距離を残した位置からFK。キッカー成田、この位置から弾丸シュートを放つ。と、ニアで跳び上がった畑がこのシュートに右足を合わせ、軌跡を変化。ボールは勢いを失わず、ゴールに突き刺さる。1−2
 66分、名古屋、交代: 古川→三浦天
 68分、名古屋、交代: 加藤→高原 (三浦俊RH、矢田CH、高原FW)
 70分、清水右サイドのスローインから、CH柴原が入れたクサビを右サイドに流れたFW鍋田が受け、戻したボールをFW畑、静止した状態でトラップするや急加速してDF間を割って入った。そしてPA内へ、前を塞ぐ相手に対し、独特の細かいステップを踏んでボールを動かし、タックルさせる隙を与えない。PA内中央で左足に持ち替えたところでシュートコースが開くが、そこでパス。フリーでPA内左に走り込んだLH成田が、ゴール右に蹴り込んで同点!、2−2

 75分、名古屋、交代: 奥村→大西
 77分、パス回しの中で名古屋CH近藤にファウルがあって、中盤左寄り、ゴールまで45Mほど離れた位置からFK。またも蹴り込むのは成田。が、今回はニアの壁を越えずにPA外へ跳ね返され、しかしクリアにいち早く食いついた田代が、前に出ながら頭でボールを右サイドへ流す。RHのポジションに戻ろうとしていた石原が、DFにブロックされながらも前のスペースへボールを送ると、そこに柴原。ボールを拾ってからの加速が鋭い。寄せてきたDFの予想を上回るスピードでPA内へ切れ込んでシュート。GK三浦天は反応したが、弾いた方向が自らゴールを空けているPA左側。そこに駆け込んだ畑が、ダイビングボレーに近い格好で空のファーサイドに突き刺した。3−2、逆転!!
 80分、名古屋、交代: 安藤→藤田 (小幡LB、藤田LH)

 85分、名古屋、警告: 大西
 86分、清水、交代: 石原→中原 (中原RB、伊東渉RH)
 88分、名古屋FW高原の中盤でのファウルで、中盤右寄り40MからのFK。蹴るのは調子に乗っている成田。速く、だが小さく曲がってPA内で落ちるボールを入れると、DFを背負いながら畑が高く跳び上がり、高い打点で頭で擦らせてゴールに流し込み、4−2。畑、ハットトリック達成!!!
 89分、名古屋、警告: 矢田
 90分、清水、交代: 鍋田→影山
 90+4分、清水、交代: 伊東渉→矢守

グランパス     清水エスパルスユース
7(3) シュート 10(7) ×畑、 ・鍋田、◎畑、 ◎成田、○柴原、×柴原、○柴原、◎畑、 ○柴原、◎畑
3(1) 右クロス 4(1) ×渉、 ・鍋田、・渉、 ○石原
2(1) 左クロス 3(0) ×柴原、・稲毛、・鍋田
0(0) 右側CK 0(0)
2(0) 左側CK 2(0) △柴原、△柴原
0(−)  犯OS  3(−) ・畑、 ・教史、・柴原
16(1) ファウル 8(0) ・柴原、・鍋田、・鍋田、・鍋田、・成田、・教史、・鍋田、・影山

[雑感]
 雨中の試合は集中力の乱れから2点を先行され、自ら苦しくしなるが、瀬戸際に立たされて前に出ざるを得ない状況を力にして、鮮やかな4得点。勝点を8にして4位に浮上し、残留争いから抜け出すとともに、既に1位・藤枝明誠高 (勝点13)、3位・ジュビロ磐田ユース (同10) との対戦を済ませている清水は、2位・静岡学園 (同10) との対戦次第では、上位3チームに与えられる全日本ユースの出場権を狙える位置に付けてきた。

 鍋田、成田、犬飼といった選手が戦列に復帰し、ベストメンバーが出揃ってきた清水だが、この日は青木が欠場。序盤戦を支えてきたゴール前4人 (柴原・青木・田代・山崎教) のブロックでも中心と言える存在なだけに、これは痛い。果たして大榎監督は犬飼をCBに起用して田代を一列上げ、更に2節前からサイドに配置していた柴原をCHに戻して田代と組ませた。「青木の代役」ではなく、根本的に戦い方を変えようとの意図だろう。事実、柴原は守備での奮闘も目立ったが、意欲的にFWを追い越してゴール前の場面に加わっており、田代にも青木とは違うボランチ像が求められる。先発は3年生5人、2年生4人、1年生2人。一方の名古屋は3年生4人、2年生5人、1年生2人と、僅かながら清水より更に若いチーム。CB金編が累積警告で出場停止のため、昨年Jrユースの全国優勝メンバーながら1年生の奥山が代役を務めた。

 清水は鍋田、柴原、伊東渉という足下に自信のある選手を軸に、ボールポゼッションを高めていく、いつもの展開。対する名古屋は前監督のように組織的に第三の動きを導いてフリーの選手を作るのではなく、オーソドックスな4-4-2に選手を配置し、サイドに展開して突破を仕掛けてくる。序盤こそ清水が優勢だったが、名古屋側は1年生RH加藤がしばしば潰されながらも積極性を見せ、拮抗した展開に。そして名古屋の方が前へ向かう分、CKなどセットプレーの機会を得ることが多く、そこから徐々にリズムを掴む。清水は縦に攻め急ぐことが増え始めた。
 それでも36分、RH伊東渉のクサビをFW畑がポストに入ってサイドに戻し、RB深澤のロビングパスからライン際で粘った伊東渉のクロスに合わせたCH柴原のシュートがネットを揺らす、…がそれは外れたシュートが跳ね返ってゴール「裏」に絡まったもの。両チーム、攻め倦ねたまま折り返すかと思われた43分、CB犬飼の軽いプレーが与えた決定機は防いだものの、そこから与えたCKの、更にセカンドボールに対してマークが甘くなり、失点。犬飼個人は上級生相手にも能力では全く劣っていなかったが、昨年全日本ユースを決勝まで勝ち進み、自分より能力を上回る相手から如何に隙を突くか、名古屋の経験にやられた格好だ。これも良い勉強だろう。しかし、前半終了間際の痛い失点でリードを許し、後半へ。

 後半開始直後、RB深澤が頭でボールを前に繋ぐとRH伊東渉がスルーパスを送り、FW畑がサイドスペースに抜けてシュート。続く46分にも畑が潰れた裏に伊東渉が抜けて右クロスを入れるなど、清水が積極性を見せる。ところが48分、複数が絡んで左サイドに攻め込んだところ、柴原が痛んでチームが動揺、気にせずに攻めきった名古屋がオウンゴールを誘い、追加点を重ねた。失点の仕方も悪いが、前半終了2分前と後半開始3分後という非常に悪い時間帯での失点。ベンチは深澤に代えて成田を投入、MFの伊東渉をRBにコンバートする積極策に出たが、負け慣れたチームならば、ずるずると落ち込んでもおかしくない展開であった。だが、選手一人一人が自分のポジションを無視して前に向かう姿勢を見せ、怒濤の4連続得点で大逆転勝利。その途中の62分、成田を起点に稲毛の左クロスをPA中央に飛び込んだ畑が更に右後方に流し、石原が決めた同点ゴールが、微妙なオフサイド (畑の時点) で取り消されたりしたのだが、それをものともしない「反発力」を見せつけた。
 その直接の原動力になったのは3得点1アシストの畑と、1得点2アシストの成田の爆発力であることは間違いないが、彼らの活躍は得点場面を見てもらうとして、彼らを支えた選手も素晴らしかった。まず鍋田。彼が戻ってくるまでは、畑はポストプレーを受ける際に、成田はボールを中盤で運ぶ際に爆発力を使い果たしてしまい、肝心のゴール前では消耗してしまっていた。それを鍋田が巧みなポジショニングで繋ぎ役となり、時にはドリブルで時間を稼いで、彼らをゴール前へ導いた。鍋田という格好の見本を得て、皆がボールをキープすることを恐れず、そしてキープする味方を信頼して追い越して前で受ける、その積み重ねが流動的でありながら有機的な清水の攻勢を導いた。対して守備で支えたのが田代。総攻撃状態でMFから前の守備のポジションがバラバラになりなると、田代も中盤の底に固執することなく、広く空いたスペースを膨大な運動量で前に出ながらカバー。空中戦以上に、長い足を苦しい体勢からも柔軟に伸ばす、地上戦の粘りに目を奪われる。その姿は180cmの伊東輝悦を見るかのようであった。

 試合の流れに戻れば、勝敗を分けたのは同点後の攻防。同点2分後の72分、柴原のパスにポストに入った鍋田が背後から押し潰しに来たDFすら利用して、一緒に倒れながら反転、裏にスルーパスを送ると、信じて追い越した柴原が単身抜け出し、左45度からドリブルシュートを放つが、GK三浦天の「足」が一気の逆転を許さない (個人的には完璧なスルーパスで「仕事を終え」てDFに潰されながら、すぐに立ち上がってゴール前のポジションに駆け上がる鍋田の集中力が目を引いた)。すると73分、名古屋は成田の戻らない右サイドをRB岩田が攻め上がり、何とか柴原がカバーに入るもFW矢田がサイドに流れて繋ぎに入り、PA右角のFW高原にパスが入ると高原は山崎教に潰されながらボールを残し、それを拾って入れ替わった岩田がPA内でシュート。完璧に崩された清水はGK長島もボールに触れられなかったが、ゴールポストが失点を防いだ。その4分後の77分に清水の逆転弾が生まれたわけだが、ここで失点していれば展開は全く違っていたはずで、熱戦に相応しい、紙一重の攻防を象徴する7分間だった。


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ひかる。 @H.P. [MAIL]

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