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2006年07月30日(日) クラブ選手権 全国大会 アルビレックス新潟戦

06年07月30日 (日) 15:00開始 Jヴィレッジ Pitch 5
 adidas CUP 2006 第30回日本クラブユースサッカー選手権 (U-18) 大会
 対 アルビレックス新潟ユース ※40分ハーフ
 天候: 晴れ

▼試合展開

[前半]
清水エスパルスユース (〜26分)
 控え: 吉田、渥美、桑原彬、神田、柴原、鍋田亜、藤牧
−−−−−−− 山崎晃 −−−−−−−
− 望月卓−望月恭−佐野克 −小出−−
−−−−−−−−池田−−−−−−−−
−−−−小泉− 桑原卓 −前田−−−−
−−−−−−長沢−−町田−−−−−−

−−−−−−小谷−−磯本−−−−−−
− 長谷部 −−−−−−−−−斉藤−−
−−−−−−清水−−川嶋−−−−−−
−−大野−−松本−−岩渕−−古寺−−
−−−−−−−−松下−−−−−−−−
アルビレックス新潟ユース

 12分、新潟、CB佐野克→DH池田→RB望月卓→CB望月恭と繋いだ清水の自陣PA前での細かいパス回しを、望月恭からRH小泉にショートパスが出たところでFW小谷が体を投げ出したスライディングでカット。拾った長谷部が左60度から右足インに掛けたミドルを放つと、綺麗に巻いてファーに吸い込まれる。0−1。
 26分、清水、交代: 町田→藤牧

新潟ユース     清水エスパルスユース
5(2) シュート 3(1) ○桑卓、×藤牧、×恭平
2(0) 右クロス 4(0) ×小泉、×小泉、×小泉、×小泉
1(0) 左クロス 6(1) ×小出、○長沢、×小泉、×桑卓、×小出、×前田
0(0) 右側CK 2(1) ○小泉、×小泉
0(0) 左側CK 1(0) ×小泉
0(−)  犯OS  0(−)
6(0) ファウル 3(0) ・長沢、・小泉、・長沢


[後半]
清水エスパルスユース (〜29分)
−−−−−−− 山崎晃 −−−−−−−
− 望月卓−望月恭−佐野克−桑原卓 −
−−−−− 桑原彬 −前田−−−−−−
−−小泉−−−−−−−−−−柴原−−
−−−−−−長沢−−藤牧−−−−−−

−−−−−−小谷−−酒井−−−−−−
− 長谷部 −−−−−−−−−斉藤−−
−−−−−−−−川嶋−−−−−−−−
−−大野−−松本−−岩渕−−清水−−
−−−−−−−−松下−−−−−−−−
アルビレックス新潟ユース (27〜39分)

 HT、清水、交代: 小出→柴原、池田→桑原彬 (上図参照)
 12分、新潟、警告: 小寺
 19分、新潟、交代: 磯本→酒井
 27分、新潟、警告: 小寺
 27分、新潟、退場: 小寺 (上図参照)
 29分、清水、交代: 藤牧→岩本 (岩本CB、佐野克LB、桑原卓LH、柴原RH、小泉FW)
 39分、新潟、交代: 小谷→千葉

新潟ユース     清水エスパルスユース
4(1) シュート 5(0) ×桑卓、×藤牧、×桑彬、×克彦、×長沢
0(0) 右クロス 2(1) ×卓馬、○卓馬
1(1) 左クロス 4(1) ×前田、×桑卓、○克彦、×柴原、×克彦
1(0) 右側CK 2(0) ×小泉、×小泉
0(0) 左側CK 3(1) ×小泉、○小泉、×小泉
3(−)  犯OS  1(−) ・前田
11(4) ファウル 6(0) ・藤牧、・小泉、・藤牧、・卓馬、・長沢、・小泉


▼試合結果

清水エスパルスユース 0−1 アルビレックス新潟ユース

 立ち上がり3分、佐野克から長沢へのクサビを起点に小泉、前田、再び小泉とクロスが3本入る清水らしい攻撃を披露。今後に期待を抱かせたが、細かいパス回しを不用意に自陣PA前で見せて失点すると、俄然元気づいた新潟のプレスの網に清水のパスは引っ掛かっていった。だが、新潟の運動量が落ちた前半残り10分からは相手を押し込み、後方の選手が高い位置で攻撃参加。34分には佐野克から長沢へのクサビを起点に、桑原卓を経由して前田が左から右へサイドチェンジ、望月恭が前に出てミドルを放つ。相手の攻撃は散発のミドルに抑え込み、順風となる後半に期待を抱かせた。
 しかし、後半はユースデビューとなった中2の柴原がフィットしないまま、運動量を一時回復した新潟の前に再び中盤で繋げなくなる。それでも27分、新潟が一人退場。極めて優位な立場を得るが、敗者のメンタリティに犯された今のチームはこの優位性に気づけなかった。時間を気にしてゴール前を固める相手に縦にロングボールを送るばかり、むしろ跳ね返されてカウンターでピンチを迎える始末。結局、後半は20分の小泉の左CKから藤牧の頭、29分のクイックで狙った桑原彬の直接FK、38分の望月恭の長いFKに佐野克の頭、40分の佐野克のFKに長沢の頭と、セットプレー以外にろくなチャンスもなく、しかもその全てが枠外。清水の敗戦と大会敗退が決定した。


▼選手寸評

[私撰MVP] なし
[私撰MIP] 佐野 克彦、前田 陽平
[相手方好印象選手] 長谷部 彩翔

 個人で見れば、佐野克は良かった。体を張った守備と素早い出足で攻撃をカットし、ロングフィードで一気に前線へチャンスボールを送る。終盤、相手のカウンターにも、一人で走って追いついた。攻撃面でも彼のセットプレーが最も得点の臭いを感じさせた。もっとも、守備陣の統率だとか、DFラインから繋いでビルドアップするだとか、そうした組織的な面では不満が残る。前田はよく走って守備に貢献。繋げないチームにあって、よくボールをキープし、奪われることは多かったが、自ら運んで局面を打開しようとしていた。注目の柴原は、やはりろくにプレーをさせてもらえず。だが、最初はボールを受けたところを強く当たられて失っていたのが、1回フェイントを入れてボールを持ち出すなど、短い時間の中で工夫を見せていた。新潟の長谷部は体格では恵まれないが、よく走り、ボールを止める/蹴るの基礎技術がしっかりした選手。



 昨年冬の王者、しかもその決勝のスタメンに2年生8名が並んだ若いチームが、7ヶ月後の大会で1勝もできずに敗戦となった。王者の慢心、と捉える向きも多いだろう。実際、その運動量は当時の面影はなく、パスを受けた選手を追い越して縦に速い攻撃を仕掛ける動きは皆無であった。技術の不足を走りで補った昨年の良さは、すっかり消えている。しかし、私は敗因はそれだけではないと思っている。以下はチーム事情の知らない第三者が、あくまで試合を通して感じた感想であるので、その点を割り引いてもらいたい。

 残留争いの常連からようやく抜け出したトップチームだが、選手が口を揃えて言うのが「今年は立ち戻るべき基礎がある」ということだ。長谷川体制2年目を迎え、春先のキャンプで自信をもって昨年の戦術を徹底したチームは、不調に陥ったときに基礎となる戦い方を思い出すことができる。それがユースにはない。いや、違う。選手は立ち戻りたいのだが、行徳監督は立ち戻らせたくないのだ。
 選手が立ち戻りたいのは、どこか。それは当然、優勝したJユースカップの戦い方だろう。そして同時に、今年の3年生がJrユース時代、夏冬共に4強入りした時の戦い方でもある。その布陣はそれぞれ、↓であった。

 03冬 山崎晃−桑原彬・岩本・佐野克・桑原卓−小泉・池田・神田・杉山−町田・長沢
 05冬 山崎晃−桑原彬・石垣・佐野克・桑原卓−小泉・柴田・神田・八木−町田・長沢

 06夏 山崎晃−望月卓・望月恭・佐野克・小出−池田−小泉・桑原卓・前田−町田・長沢

 一目で分かるだろう。昨年のJユースカップは03年のJrユースのチームを基本に、行徳監督が戦術の熟成度を高めて優勝したのだ。今年、石垣・柴田・八木は卒業したが、岩本・池田が健在で、杉山は昇格しなかったものの中3夏までのレギュラー、小出もいる。プリンスで結果が出なかったとき、選手はこのチームに戻れば勝てると思ったのではないか。実際、このチームをベースにした冬の練習試合では、内容の伴った結果を積み重ねていた。
 しかし、行徳監督はそれに戻るつもりはなかった。当然である。育成を考えれば、決まった戦術、決まったチームメイトでなければ輝けない選手など、プロには必要ない。だから、行徳監督の考えには理解できる。ただ悔いが残るのは、ならば冬に今年のチームがスタートした時から、新戦術に取り組んでおけば良かったのではないか、ということだ (新1年生の合流が受験後になるなど、仕方のない部分も大きいのだが)。

 しかして、選手はかつてのチームに未練を残しながら、新しく変化したチームで戦うことになる。特に中盤から後ろはワンボランチシステムの採用した上、メンバーも完全に分解されていた。全く中盤を繋げなくなったチームは、僅かなかつてのチームの残照…佐野克・小泉・町田・長沢…に依存していった。CB佐野克からのロングボールが長沢や小泉の足下に収まった時にはそれなりにチャンスになっていたが、ロングボールがそうそう通るものではない。まして、自分たちがロングボールを駆使して縦に間延びすれば、相手にも縦に速い攻撃を許しやすくなる。背後に残された守備陣は、1年生2人と今年長いリハビリから復帰してLBにコンバートされた小出。彼らをカバーする佐野克のスピードはさすがだが、限度がある。
 結局、6月にプリンスが再開されて以来、このチームは磐田東に1勝、浜名に1分、残り7試合は全敗だった。それも当然の帰結のように思える。かつてのチームへの拘りを捨て、新たに立ち戻れる基礎を8月・9月の公式戦のない時期に築き上げること。それが求められるリスタートなのではないか。


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ひかる。 @H.P. [MAIL]

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