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2004年06月26日(土) プリンス東海 名古屋グランパスエイト戦

04年6月26日 (土) 16:00開始 長良川球技メドウ
 JFAプリンスリーグU-18 東海 2004 第6節
 対名古屋グランパスエイトユース ※45分ハーフ
 天候:曇

▼布陣
先発:                終了間際:

−−−−−−長沢− 篠田悠 −−−−− −−−−−−石垣−−町田−−−−−−

− 鈴木真 −−−−−−−− 山本真 − −−岡村−−−−−−−−− 山本真 −

−−−−−−枝村−−池田−−−−−− −−−−−−枝村−−池田−−−−−−

− 桑原卓−佐野克− 村越−−渥美−− − 桑原卓−佐野克− 村越−−渥美−−

−−−−−−−−風間−−−−−−−− −−−−−−−−風間−−−−−−−−

控え:晃太、石垣、岩本、桑彬、上埜、柴田、岡村、小泉、町田
交代:前半35分:篠田悠→小泉 (山本真をFW、小泉を右SHに)
   後半00分:鈴木真→岡村 (そのまま左SHに)
   後半15分:長沢 →町田 (そのままFWに)
   後半30分:小泉 →石垣 (山本真を右SH、石垣をFWに)

名古屋グランパスエイトユース:

−−−−−−津田−−上村−−−−−−

−−永芳−−−−新川−−−−高橋−−

−−−−−−稲垣−−福島−−−−−−
                   交代:後半30分:稲垣→根津
−−−−小寺−−森本−−吉田−−−−    後半20分:上村→酒井
                      後半37分:吉田→唐沢
−−−−−−−− 森 −−−−−−−−    後半38分:永芳→久保


▼試合展開

 清水はクラブ選手権静岡予選での退場による出場停止から、遂にDFリーダーの村越が戻ってきた。四中工戦はお休みだった真司も復帰。GK前田、DF美臣 (新たに怪我?) を除けば、ほぼベストメンバーが揃った。3年生4人、2年生2人、1年生5人。それでもDFラインが、岩本→村越以外は昨年Jrユースのままというのが、恐ろしい。
 名古屋はサテ+ユースの韓国遠征で10番の遠藤が負傷、更にU-16代表の青山が出場停止で外れたのが痛い。吉田と高橋のポジションを動かし、代わりに1年生の森本と新川を起用した。正統派クラッキの新川は、グランパスサポの評価が特に高い選手。3年生6人、2年生1人、1年生4人の学年構成は、清水と比べなければ、かなり若い部類に入るだろう。昨秋・高円宮杯 (U-15) 東海予選の再対決が早くも訪れた。しかし、これを見ると、清水は本当に昨年Jrユースが主力になってるのな。

[前半]
 序盤の流れを掴んだのは清水。村越−枝村−悠輔と、今大会初めて昨年のレギュラー選手で一本縦に軸を通した清水は、彼らを起点に小気味よく左右に捌く。7分にロングボールを受けた真希が中央にクサビ、悠輔が軽く右に戻して枝村がDFの股を抜くミドルは、GK森が好セーヴ。9分、池田の粘りで得た右CK、真司が入れた速いキックを、村越がタイミングよくファーゴール直前で合わせたが、僅かに上。


(9分、プリンス東海復帰戦の村越が巧みに小寺に競り勝ち、GK森の前でヘディングシュートを放つ)

 12分、村越が真司に入れたロングフィードは前でDFがカットするが、それを桑卓が拾ってアーリークロス、中央の長沢には合わなかったが真希が拾い直し、シュート性の右クロスがニアサイドネットに突き刺さる。ここまで中盤を清水に制圧されていた名古屋だが、14分。ボールをカットして持ち上がった村越を、高い位置でFW上村がドリブルブロック。村越のいないDFラインは上村のドリブルに対してリトリート (後方に下がる) 、その間に村越が戻り、上村に近い渥美に当たるよう指示を出す。が、上村は、渥美がバック走から前進へ切り替える一瞬の隙に急加速、抜き去って上げたグラウンダーの左クロスに渥美同様、他のDFも足が止まる。PA内で津田?がポストになって右に流すと、PA右角からフリーの高橋が狙い澄ましたシュート。さすがにU-19代表候補が外すはずもなく、0−1。名古屋が最初の好機で先制してみせた。

 プロ予備軍とはいえ所詮は高校生の選手たち、清水に動揺が見られ、にわかに名古屋が攻め込むようになる。20分には枝村が異議で警告を受けるなど、苛立ちを隠せない。それも10分、真希のFKをDF小寺が離れずにブロック、「C6:距離不足」で警告かと思えば、何故か真希のファウルとなるなど、微妙な判定が続いたせいでもある。何度かサイドを崩されるが中央で村越が存在感を発揮、また悠輔も前線で巧みなキープを見せて、この時間帯を耐えると21分。これまで完全に消えていた真司が、ヒールスルーパスのファンタジーア。桑卓が飛び出して上げた左クロスを、悠輔が巧みにGK森と左DF小寺の前に位置取り、身長差10cm以上を覆すヘッドを放ったが、僅かにファーに外れた。復活した真司は23分に佐野のクサビをまたもヒールスルーパス、飛び出した桑卓を上村が倒し、PA左角外から枝村の直接FKは枠上。24分、真司からのパスを、悠輔が踏みつけるように勢いを殺す神トラップ、真司にリターンを送るが、惜しくもオフサイドになる。
 だが、その後、前線の起点になっていた悠輔が、足下にスライディングを食らって負傷。自ら外に出た後、軽く治療を受けて復帰するが、その間に名古屋に反撃の機会を与えるようになり、望月監督代行はすっぱりと悠輔を諦め、小泉を投入した。この時の監督代行の指示は「前に長沢と真希の2枚、その下に枝村」というものだったが、枝村はゴール前に飛び出す機会こそ多いが低い位置で試合を創っており、FW真希は時にPA内からその両横までカバーしたため、四中工戦と同様に4−2−3−1に見えた。なお、悠輔の負傷した際のファウルは見逃され、また名古屋の主将・稲垣も負傷交代したが、清水にファウルはなかった (正当な競り合いなどで痛めた可能性もあるが) 。枝村の異議あたりから燻りだした審判不審が高まる。
 それが爆発したのが、36分。右サイド40Mほど距離がある位置からの真希のFKは、長すぎて佐野が頭で逸らすが左に流れる。それを真司が拾うと即反転、そして股抜き! たまらず高橋がオブストラクション、左CKに近い位置からFKを得る。ここまではいい。枝村が蹴ったボールは、GK森が問題なくパンチングで跳ね返した、に思われた。が、主審が猛然とペナルティスポットを指差す。PK。全く意味不明である。

  
(問題の場面の連続写真。さて、どこにファウルがあったでしょう? GK森のハンド? (苦笑)
なお、筆者のデジカメはこれでバッテリー切れ。電池のないデジカメは、ただの箱だ)

 枝村が蹴るが、低く速いシュートは、しかしほぼ正面でGK森に見切られ、弾き返されたのを自ら横向きにバイシクルする格好でボレーを放ったが、これも右に外れた。PK失敗。実は枝村、昨年末からの3回連続PK失敗である。とはいえ、私の観戦歴でPK失敗したのは、村松、仁科、浩太、阿部、大瀧、枝村、桑卓、小泉、滝戸 (JY) 。一度、PKとスローインを繋ぐ練習は、本気でやった方がいいと思う。
 プロ予備軍とはいえ所詮は高校生の選手たち、再び名古屋の時間帯に。40分にはFW津田がPA手前で切り返して村越を外し、渥美と村越の隙間からシュートを放つが、GK風間が好セーヴ。逆に44分には、長沢のスルーパスに左から真司が抜け出し、更にもう一度中央へと送り出す。そこに枝村が走り込んで右足を合わせたが、そのままニアに真っ直ぐ外してしまう。45分、今度は名古屋。永芳?の突破をFW真希が、PA内で食い止めて奪い返す。が、真希のドリブルを更に津田が奪い返し、真希が再び食いつくも体勢を崩さずにシュート。が、GK風間が横っ飛びのスーパーセーヴでゴールを許さない。
 ロスタイムの46分、ルーズボールを拾った枝村が反転したところ、DF小寺が後方からタックル。FKと小寺には警告が与えられる。右サイド距離40Mほど、36分と似た位置からのFK、今度蹴るのは枝村。右足で大きく緩く巻くボールに、真司が驚異的なジャンプ力で水平に「浮かび上がり」、スーパーボレーを狙ったその時、地面に面した背中側のユニフォームが、船の帆のように膨らんだ。今度は明快なDF吉田の反則、そしてPK。主将が一度失敗したPKを決められるのは、この男しかいない。真希の蹴った強烈な低い弾道のボールは、左ポストに衝突してゴールに吸い込まれた。1−1。四中工戦に引き続き、終了直前に追いついて前半を折り返した。

名古屋       清水エスパルス
5(4) シュート 10(3) ○枝村、×長沢、×村越、×悠輔、×枝村、×枝村、○枝村、×枝村、×枝村、◎真希
5(0) 右クロス 3(0) ×真希、×真希、×真希
5(1) 左クロス 6(3) ○桑卓、×桑卓、○桑卓、×真司、×長沢、○真司
0(0) 右側CK 1(1) ○真司
3(0) 左側CK 2(0) ×枝村、×枝村
0(−)  犯OS  3(−) ・真司、・真司、・長沢
10(6) ファウル 3(0) ・桑卓、・真希、・悠輔

[後半]
 序盤は清水が岡村・小泉を使った横幅のある流れを掴んでいたが、11分。佐野が津田?に空中戦を競り負け、桑卓が中央に絞るが名古屋は右に展開。フリーになった高橋からファーの永芳に絶好のクロスが入るが、渥美がカバーする。直後にも吉田のクサビから再び高橋、素早い反転から桑卓を置き去りしてドリブル。佐野が寄せきる前に右クロスをPA手前に送ったが、新川のシュートミスに救われた。12分にも名古屋は巧みに右の高橋にパスを回すが、これを逆サイドから走ってきたFW真希が信じられない運動量でカット。しかし、繋いだボールをがFW上村が池田を弾き飛ばして奪い返し、ドリブルからPA内左60度の津田に決定的なパスを送った。しかし、再度GK風間が超反応でシュートを枠上にディフレクトする。
 その後、後ろ向きのまま長沢が巧みなボレーで裏に流して岡村が、渥美のクイックリスタートから小泉が、それぞれ左右を崩す場面が生まれ、名古屋の時間帯を凌ぎきったかに見えた。ところが21分、左から回してPA手前中央の新川、PA内右角の高橋の足下にクサビを入れる。高橋は重心を低くした桑卓に対面すると、フェイントを入れた後に桑卓に突っ掛け、勝手に倒れた。それがPK。桑卓呆然。大人しい性格の桑卓は、理不尽な仕打ちに対する怒りをどう表現すればよいのか分からない感じだったが、それで良かったかもしれない。闘争心溢れる村越や真希なら主審を殴りかねない、1つめのPK同様、どうしようもない判定だった。高橋のPKをGK風間は読んでいたが、正確なコースを止めきれず、1−2。名古屋が清水を突き放した。

 失点直後の23分。反撃の口火を開いたのは、怒りの桑原卓哉。猛然とフリーランで飛び出し、左クロスに枝村が飛び出すが、僅かに合わず。元々カウンター (速攻) を得意とする名古屋も、途中投入のFW酒井を使って対抗する。25分には津田の左クロスを頭で合わせるが、僅かに左。27分にはバイタルエリアから左に開いた酒井へクサビ、胸トラップでDFを外し、PA左端からシュート。その勢いにGK風間も一度ボールをこぼすが、何とか抑える。清水は28分、渥美のパスを受けた枝村が、斜めになったDFラインの急所を突いたスルーパス。途中交代の町田が飛び出してシュートを放つが、ファーポスト左に外れてしまう。激しい攻防は、意外な形で決着が付いた。30分、ルーズボールを右DF吉田が処理しようとしてトラップミス、こぼれたボールを真希が拾うとそのまま一直線にPAに侵入すると、足下に飛び込むGK森をヒョイと越えるシュートを放って、同点に追いついた。2−2。
 中盤に広いスペースが空いた中、FWとDFとの間が開いて単調なロングボール攻撃に終始した名古屋に対し、清水はスピードに自信がある村越・佐野・渥美が高いラインを保ち続けた。また、勢いが加熱する中、キープとサイドチェンジで一人攻撃に「意図」を与えた枝村の存在も大きい。怒りの桑卓は高い位置で攻撃に絡み続け、31分には枝村のスルーパスから岡村が左クロス、高橋がカットするが猛然と桑卓が奪い返したところ、クリアしようとした高橋のキックが桑卓のスネを直撃して、審判の笛、PK、…と誰もが思ったところ、指差したのはPAの外。あ り え な い。高橋も桑卓も勿論ボールも、全てPA内に入っていたのに。33分にも桑卓→岡村→桑卓と繋いでスルーパス、飛び出した岡村と吉田?がPA内で交錯、両者倒れる。悶絶する両者、しかし笛は吹かれず、倒れた2人をそのままに試合も止めず。結局、名古屋がボールを外に出した後に選手に指摘され、ようやく副審のオフサイドの旗に気づくお粗末さ。
 そんなどうしようもない状況の中、2人の選手の激情と落ち着きが試合を決める。DF吉田と肩を寄せ合う岡村が、「出せ、エダ!」とパスを要求。枝村のスルーパスに、パッと競り合いから体を離した岡村は一度左に開いた後、斜めに疾走。計ったように枝村のパスが逆回転で止まり、それを同期・岡村の左クロス。決然とゴール前に飛び込んで右足を合わせたのは、30分に途中交代した「FW」の石垣! 少年団では悠輔と2トップを組んだ男が派手にゴールへ叩き込み、右腕を何度も中空に突き上げた。3−2。

 この試合、初めて追われる立場になった名古屋だが、津田が必死にサイドへ動いて起点となり、左右からクロスを入れるものの、ゴール前の人数が足りず、村越と佐野から制空権を奪えない。勇気を持って最終ラインを上げようとするが、前半から縦に素早く走る攻撃を繰り返してきた名古屋と、枝村を軸に幅のあるパス回しをしてきた清水では、自ずと疲弊度に差があった。40分、ロングボールを受けたハーフライン付近の石垣が、本職がCBとは思えないトラップから小癪な足首での切り返しで前を向くと、広大なスペースが前にあった。右斜めにスルーパスを送ると、先に反応した町田は真希を見て、交差するように左へ。この時間帯でも運動量が落ちない真希が受けて、左斜めにクロスを送る。ファーに位置取った町田は裏に抜け、GK森を体ごと飛び越えるようにダメ押しシュートを放った。4−2。勝負あり。
 その後は「もう1点取れー」というGK風間の声のとおり、なおも清水が押し込み続ける。44分、枝村のチェンジサイドから岡村がPA内に切り込み、左クロスを右から斜めに走り込んで枝村が右足インサイドを合わせたが、GK森。完璧な形なのだが、どうも枝村には昨年のプリンス東海で7点を決めた得点力と運が戻ってないようだ。岡村は45分にも町田のパスを受けて、PA内を右に切り込み、そこで縦へ切り返して突破、更に左へ切り返してシュートを放つが、僅かに上。名古屋に攻撃をさせないまま、見事な逆転勝利を飾った。

名古屋       清水エスパルス
8(4) シュート 8(4) ×枝村、×町田、◎真希、◎石垣、◎町田、○枝村、×岡村、×真希
4(2) 右クロス 7(3) ○小泉、×小泉、×渥美、○枝村、×真希、×真希、◎真希
3(1) 左クロス 5(2) ×岡村、×桑卓、×岡村、◎岡村、○岡村
0(0) 右側CK 2(0) ×岡村、△枝村
2(1) 左側CK 3(0) ×枝村、×枝村、×枝村
1(−)  犯OS  3(−) ・長沢、・町田、・岡村
9(5) ファウル 4(1) ・佐野、×桑卓、・町田、・町田


▼試合結果

清水エスパルスユース 4−2 名古屋グランパスエイトユース
 得点:前半14分:名古屋・高橋 良太 (津田 知宏 ・ポストプレー)
    前半44分:清水Y・山本 真希 ※PK
    後半21分:名古屋・高橋 良太 ※PK
    後半30分:清水Y・山本 真希 ※名古屋パスミス
    後半35分:清水Y・石垣 勝矢 (岡村総一郎・左クロス)
    後半40分:清水Y・町田 朋弥 (山本 真希 ・右クロス)
 警告:前半20分:清水Y・枝村 匠馬 (異議)
    前半46分:名古屋・小寺 勝也 (ラフプレー)
    後半02分:名古屋・根津 俊平 (ラフプレー)


▼選手寸評

[私撰MVP]
●山本 真希 (2年・右SH→FW→右SH)
 2得点1アシストの真希だが、決定的なプレーよりも持続的な運動量が最も印象的だった。FWの位置からDFラインまでカバーに走るのは、戦術的には決して誉められたことばかりはないが、その意気や良し。終盤にも全く運動量が落ちず、最後までパスの受け手としてフリーランを繰り返した。大熊監督が惚れ込むのも頷ける。

[私撰MIP]
●岡村総一郎 (3年・左SH)
 変則派の真司から直球でグイグイ押す岡村へのリレーは、破壊力MAX。プレーの種類は少ないが、だからこそ愚直に快速を飛ばしてドリブルからの左クロスを繰り返し、真司の変態プレーで混乱していた名古屋DFにトドメを刺した。真司や岡村にとって、受け手の特徴に合わせたパスを出せる枝村の復帰は、本当に大きい。

●風間 翔太 (3年・GK)
 1年生ながら実質ワンボランチの大役を務めた池田や、ファウル以外では殆どボールを奪われなかった枝村も有力候補だが、今回は風間をMIPに推す。GKとしてのブランクを急速に取り戻して、不安定だった大会序盤とは打って変わった。PKを除くセーヴ率は87.5%を数えたが、課題とされるクロスへの対応やコーチングにも十分合格点をあげられる。

[個人的好印象選手 (相手方) ]
高橋 良太 (3年・左SH) : サイドでスペースを得て、精度の高いキックを存分に披露した。単独突破力も標準以上。
稲垣 順 (3年・ボランチ) : プレー以上に、そのリーダーシップがチームの支え。後半の名古屋は、重しを失った。


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ひかる。 @H.P. [MAIL]

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