えすぱっ子
清水エスパルスユース紹介サイト

2002年12月23日(月) Jユース杯 決勝トーナメント ジェフユナイテッド市原戦

02年12月23日13:30開始 川越運動公園陸上競技場
 第10回Jユースカップ2002・Jリーグユース選手権大会 決勝トーナメント2回戦
 対 ジェフユナイテッド市原ユース

▼布陣
−−−−−−仁科−−阿部−−−−−−

− 鈴木真 −−−−−−−− 杉山拓 −

−−−−−−大瀧−−枝村−−−−−−

−−森安−−高山−−渡邊−−天野−−

−−−−−−− 山本海 −−−−−−−

控え:風間、村越、杉山雄、篠田、高柳、上埜、岡村
交代:後半33分:杉山拓→上埜(そのまま右MFへ)
   後半33分:鈴木真→岡村(そのまま左MFへ)

ジェフユナイテッド市原ユース:

−−−−−−首藤−−向後−−−−−−

−−−−小西−−−−−−半田−−−−

−−−−−−八角−−工藤−−−−−−

−−生魚−−船中−−秋葉−− 林 −−

−−−−−−−−塚原−−−−−−−−

交代:後半33分:小西→軽込、後半36分:林→竹田、後半41分:首藤→川淵


▼試合展開

 私の自宅から川越駅までは近い。だが、川越駅から競技場までは遠い。私の選択肢としては当然歩くわけだが、暴走族の溜まり場になってそうなビリヤード場を横目に、伊佐沼で釣りに励む太公望に会いながら、田んぼの真ん中からあぜ道を直進する。競技場も視野に入ったところで、あぜ道の行き止まりに幅3Mほどの水路が…、だ、騙された!(誰も騙してないが) さすがに極寒の中、水浴びのリスクは負いたくないので余計に遠回り。錆びて穴の空いている鉄筋の橋?を渡って競技場へ。駅から70分ほど。
 天気は晴天に恵まれたが、観客席は屋根で影になり、隙間風が非常に寒い。観客は地元の浦和戦には300名以上が駆け付けていたが、清水−市原戦には200名弱ほどに減っていた。芝は日本芝(夏芝)使用のため枯れた状態。下地も砂地のため、滑りやすくなっているようだ。近年の競技場では、寒冷地型の西洋芝(冬芝)と併用し、気温の推移によって両方の芝を勢力交替させる「二毛作」を行うところもあるが、なかなかそこまでできる人材・資金がないのが現状である。
 試合開始前、元気良くアップする浩太の姿を見て安心したが、アナウンスされたメンバーには、先発にも控えにも、彼の名前は無し。だ、騙された!(誰も騙してないが) 今年のエスパルスユースは強豪だが、浩太という存在を得て初めてスーパーなチームになる。ボールを奪われないどころか、相手のプレスすら許さない浩太の判断速度とパス回しは、ユースレベルでは絶対的。互いにタレントを揃える中盤を軸にポゼッションサッカーを仕掛けるチームだけに、代わって中盤センターに入った大瀧とU-19代表工藤とのマッチアップが、勝負を分けるポイントになるか。

[前半]
 試合は序盤、いきなり5分に半田の左CKから秋葉のシュートを許すが、互いに中盤に持ち味のあるチームらしく、徐々に潰し合いから消耗戦に。持ち味が重なる相手同志では、持ち味を消し合う展開となりやすい。
 清水は仁科・拓也・天野の3年生が絡む右サイドで優位に立つ。8分の天野から仁科を経由しての阿部へのスルーパスはオフサイドとなるが、14分にも天野からパスを受けた仁科が阿部とのワンツーで突破、そのままドリブルで抜き去るかに見えたが、GKの一つ前でDF船中がカット、潰される。一方の市原も15分、林の右クロスに渡邊が競り負け、首藤にヘッドを許すが海人が反応。こぼれて混戦となり、何とかクリアした先からミドルを放たれるが、これは大きく左に外れる。市原は半田を軸に、向後・首藤らがドリブルで攻め立てる。
 そして16分、中盤で奪った市原が速攻、八角から清水最終ラインの頭を越えるロビングパス、清水DFがクリアしきれず後ろにこぼれたボールを、首藤が頭で合わせる。しかし海人が勇敢に飛び出し、体ごとぶつかってブロック。だが、もつれあったため、クリアは弱い。振り返って詰めるDF陣より、前を向いて突っ込むFWの方が早かった。懸命にポジションを修正する海人が間に合う前に、向後が豪快に押し込んだ。0−1。渡邊がパスカットからオーバーラップを仕掛けようとした隙に、中盤で奪われての失点だった。

 今年の清水は公式戦、先制された試合は全敗である。先制された試合が2試合しかないのも、凄いのだが…。未解決の課題に再び直面した。この試合はその後、一見ボールを支配しているように見えるが、クロスを上げるのはFWの仁科や阿部、シュートはボランチ大瀧の強引なPA角からのシュート。ポジション本来の仕事ができていないところに、焦りが見受けられる。一方の市原は周到に耐えながら、ドリブラーのFWが効果的にサイドを崩そうとする。
 膠着状態が続いた後、37分、半田から清水の右サイドにスルーパスが通り、首藤がフリーでのクロスはファーに流れたが、そこでファウル。その流れから市原は右CKを得る。38分、ショートコーナーからクロスを入れるがDFが跳ね返し、リバウンドのトラップ処理を戸惑うのを枝村がカット。そのまま中央を20Mほど駆け上がると右に阿部、左に仁科の3対3。中央枝村の選択は35Mロング。ゴール上部を狙ったシュートが放たれたが、GK塚原、集中を切らさず、これを両手でキャッチ。
 これで流れを取り戻すと、清水は再び右サイドから形を作れるようになる。41分には、中央に切れ込んだ拓也とポジションチェンジし、大瀧が右に開いて受ける。そこから中に切れ込むと、咄嗟の切り返しで阿部にマイナスのパス。阿部とDFが交錯し、ボールがこぼれるが、それをダイレクトで仁科がシュート。右45度からのボールは、しかし弱すぎ、GK正面できっちりと受け止める。
 その後も枝村のワイドな展開から、拓也がドリブルを披露するが、ロスタイム、清水DFのクリアボールを拾った半田が左サイドに捌くと、そこに八角。深くドリブルで抉って切り返し、細かく折り返すと、そこに近寄った向後がターンで渡邊を振り切りシュート。しかし、その空いたシュートコースの正面には海人。ガッチリとキャッチ。残りは大きく動くことなく、前半を終えた。

市原        清水エスパルス
7(3) シュート 4(2) ×大瀧、○枝村、○仁科、×仁科
4(1) 右クロス 6(0) ×天野、×拓也、×阿部、×天野、×拓也、×枝村
2(0) 左クロス 3(0) ×真司、×真司、×仁科
3(1) 左右CK 1(0) ×枝村

[後半]
 後半開始。逆転という未到の難題に立ち向かう清水は、いきなり飛ばす。まず2分、真司の左に枝村が回り込んでパスを受けると、丁寧なセンタリング。PA外で阿部が受けると、次の瞬間、ミドルシュート。豪快、だがゴールの上に飛んでいった。10分には、自陣左から森安が一気にロングフィード。ペナルティボックスの右角付近で仁科が頭で落とすと、そこに拓也。鮮やかなミドルだったが、GKの守備範囲であった。
 それでも運動量に勝る清水は、ボランチの大瀧・枝村や仁科がサイドに流れてチャンスを作るが、なかなか決定機を導けない。そして14分、ゴールまで35M距離でキープする大瀧が倒されFK。クイックリスタートがやり直されると、やはり早いタイミングで入れたボールに、ニアで渡邊が合わせたが、当たりすぎてコースを変えてしまい、横へ外れる。

 追い掛ける清水と、後方に人数を掛けていなし、時折前線の鋭いドリブル突破で牽制する市原。先に運動量が落ちるのがどちらか、それは必然だった。阿部の身体能力や仁科のテクニックに耐える市原DF陣も疲労は濃いが、消耗戦に音を上げたのは清水の中盤。枝村=八角ではあったが、拓也≦小西、大瀧<工藤、真司≪半田という構図。
 中盤が失われ、清水の攻撃は低い位置から阿部の頭を狙う、単調なものとなった。一方の市原。彼らは消耗した相手から高い位置で奪い、簡単に最終ラインの裏を狙う。それは浩太に率いられた清水が、夏のJヴィレッジで存分に披露した姿である。中盤での勝負は決していた。交代投入された岡村と上埜も、結局市原の中盤対面の相手を上回ることはなかった。
 それでも、高山や森安が懸命に裏をカバーし、海人は果敢な飛び出しでフォローしていたが、42分、清水右サイドから斜めに川淵が飛び出す。これはDFがスクリーニングするが、さらに後方から半田が飛び出し、これを森安が進路を塞ぎながら飛び出した海人がクリア。しかし、互いに引っ掛かったようなボールは勢いが弱く、それを拾ったのは市原FW、向後。落ち着いて流し込んだボールは、鋭く反転して飛びついた海人の腕の先を転がり、必死に追い掛ける森安を嘲笑うかのように、絶望的な2点目を記録した。0−2。
 その後も、阿部が仁科が枝村が、攻め上がった高山が死力を尽くした突破を図るも、もはやシュートを打つ力も残っていなかった。そのままホイッスル。杉山浩太に率いられた2002年清水エスパルスユースの冒険は、彼不在のまま、それを終えた。守る相手をも打ち破る局面打開能力という課題は、次の世代に解決が委ねられることになる。

市原        清水エスパルス
6(5) シュート 3(1) ×阿部、○拓也、×渡邊
1(0) 右クロス 2(0) ×枝村、×天野
2(0) 左クロス 4(1) ○枝村、×大瀧、×仁科、×枝村
0(0) 左右CK 2(0) ×枝村、×大瀧

 98年のナイキプレミアカップ(U-14)大会優勝で華々しくデビューした、「史上最強世代」84年度組。菊地・吉川らの離脱はあったものの、主力6人もがジュニアユースからユースに昇格したのは、エスパルス史上初めて。その後も、その名に恥じぬ活躍を見せ、夏にはクラブユース選手権優勝も達成しました。
勝負の後に待つものは、常に残酷な明暗のコントラスト。堪え切れぬ涙をユニフォームで拭った君たちよ。残念ながら昇格を果たしたのは浩太だけでしたが、清水エスパルスの、そのオレンジのユニフォームを着た6年間が、これからの人生の誇りになることを祈っています。そして人目を恥じず、悔し涙を流し続けた阿部よ。来年は君たちが、今日の日の先輩の無念を晴らしてほしい。来年も応援させて頂きます。


▼試合結果
清水エスパルスユース 0−2 ジェフユナイテッド市原ユース
 得点:前半16分:市原・向後寿夫(なし)
    後半42分:市原・向後寿夫(なし)


▼選手寸評
山本海人  7.0 失点は共に最初の被決定機を防いだ後のリバウンド。リベロ的にも機能。

天野数士  5.5 序盤小気味良く攻めたが、終盤にスピードで振り回された印象が拭えず。
渡邊優希  5.0 愛媛戦と同様に飛び出す2列目に無策。DFライン統率者として減点。
高山純一  6.0 裏を取られすぎだが、それでも1対1では圧倒的な存在感。空中戦も強力。
森安洋文  6.5 攻撃参加は封印されたが、半田・向後に掻き乱された左サイドで勇戦。

杉山拓也  5.5 天野・仁科と組んで突破を狙うが、先制後に引いた相手を崩すには至らず。
枝村匠馬  6.5 素早い展開力に課題も、中盤の潰し合いで孤軍奮闘。最多クロス数を記録。
大瀧義史  5.0 展開力の段階以前に相手プレスに潰されまくる。判断速度が絶対的に不足。
鈴木真司  4.5 突破は単発で、周囲と呼吸も不足。何より守備で森安に負担を掛けすぎた。

仁科克英  5.5 高い技術で脅威を与えたが、中盤が消えてリンクマンとしての機能不全に。
阿部文一朗 5.0 クロスや裏を狙うボールがなく、得意の形が出ず。単調なポスト役に終始。

上埜健太  --- 一度突破の機会があったが失敗。他は特に見せ場も出ず。
岡村総一郎 --- よく動いていたがボールは回らず。しかし、背が伸びたなぁ。


▼Jユース杯・決勝トーナメント[最終結果]
[1回戦]
12/15 日 13:00 広島  4−0 横河  吉田
12/15 日 13:00 京都  2−2 東京V 東城陽G
        (PK戦 3−2)
12/15 日 13:00 横浜M 4−0 塩釜  戸塚G
12/15 日 13:00 浦和  4−0 札幌  東農大浦和G
12/15 日 16:30 G大阪 3−0 愛知  万博
12/15 日 13:00 大分  0−1 F東京 別府実相寺
12/15 日 13:00 清水  2−0 愛媛  三保G
12/15 日 11:00 鹿島  0−4 市原  鹿島G

[2回戦]
12/23 月 11:00 広島  2−0 京都  長居2
12/23 月 11:00 横浜M 1−1 浦和  川越
        (PK戦 1−3)
12/23 月 13:30 G大阪 4−0 F東京 長居2
12/23 月 13:30 清水  0−2 市原  川越

[準決勝]
12/26 木 11:00 広島  1−0 浦和  長居2
12/26 木 13:30 G大阪 2−1 市原  長居2

[決勝]
12/28 土 11:30 広島  0−5 G大阪 長居ス


 < 前  目次  後 >


ひかる。 @H.P. [MAIL]

My追加