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2002年01月01日(火)

温泉に行こう!(ギャグ・プラアレ)


「ねぇ、温泉に行かない?」 

 突然で突発的で急な発言をしたのは金の髪に真紅の瞳を持つ可愛らしい少年。
ここ、奈落の国の第1王子・アレクサンドル=パストゥールこと、アレクであった。

「…い、イキナリですね。王子…。」
 いつもの事ながらアレクの我侭に参謀兼教育係のサフィルス=ホーソンは呆れつつも苦笑顔で応える。アレクはそんな彼の態度に少しムッとして、「だってお前、この前温泉入りたそうにしてたじゃないか!」と、何とも子供じみた癇癪を起こした。 


 結局なんだかんだあっても温泉街へ赴くことになった。 
決まれば早いものである。楽しげに準備を手早く済ませて一行は現地に着いた。

 …が。 

「…あ…。」 

 先頭を歩いていたアレクが急に立ち止まって素っ頓狂な声を上げた。
そのすぐ後ろを歩いていたサフィルスは何だろうと視線をアレクからアレクの先に向けた。そして石化。 


「おや?コンニチワ、お二人とも。」 


 固まっている二人の視線の先にあるメガネをかけた人物が馴れ馴れしくあいさつをした。
 そう、その温泉街に宿敵(立場上/笑)であるプラチナとジェイドも来ていたのだった。


 結局危惧していた(サフィルスの場合はただ単にジェイドに会うのが嫌だっただけだが)『継承戦争』が勃発する事は無かった。

理由は簡単。
お互い純粋に温泉旅行を楽しみたかっただけの事。

満場一致でとにかく温泉旅行の間は奇しくも休戦という形がとられた。…というハズなのだが。 

「なぁなぁ!?プラチナも一緒にお風呂入ろ♪」 

休戦協定が結ばれた直後、アレクは開口一番にプラチナを誘った。 
もちろんサフィルスがすかさず止めに入った。いつも王子の我侭は最終的には聞き届けてやっているが、今回は違う。敵と一緒に風呂に入るなんて言語道断。

(…それに王子の裸なんて見せて取り返しのつかない事になってしまったら…!?)

まぁ、まずそんなことは無いとは思うが。(笑)
それにアレクと違ってプラチナはちゃんとアレクを敵として見ている。きっぱりと断られてアレクも諦めるだろうと踏んだのだが… 

「…いいだろう。(ニヤリ/裏のある笑み)」 



プラチナは露天風呂の入り口の前でアレクを待っていた。
アレクに「用意してくるからまってろよ!」と言われたからだ。
何を用意するんだ?と、ほのかな期待をした瞬間、

「洗面器と石鹸と洗髪剤とアヒルのおもちゃってトコですよ、プラチナ様。」

と言うジェイドの手厳しい突っ込みが入ってきたのは言うまでも無い。 


「プラチナ〜♪」

 色々と考えていたら時間が過ぎていたらしい。前方からアレクの声が聞こえてきた。
…のだが。 

(…俺は幻聴を聞いたのだろうか!?いや、確かに兄上の声だった…でも…) 

今前方からプラチナに向かって駆け寄ってくるのは浴衣を着た少女であった。
しかもとびきりの美少女。
艶やかな金の髪を背中まで伸ばしていて、背はプラチナとは頭一個分の差。大きな瞳は真紅の色をしている。 

(…って、え?) 

金の髪?真紅の瞳?? 

「何ぼーっとしてるんだよ!?」 

そう、美少女だと思っていた人物はアレクだったのだ。


『…よく見てみれば確かに兄上だな…』 
アレクの顔をまじまじと見つめながらプラチナは自分に言い聞かせるように言った。 
一方アレクは

『??ど、どーしたんだよ!?』

と、訳がわからずプラチナに問いかける。
するとプラチナはいたってマジな顔をしてまっすぐアレクを見て言った。 

『いや…さっき兄上が女性に見えたから…』 

ガスッ! 

『俺のどこをどうしたら女に見えるんだよッ!!』 

プラチナの顎に綺麗にパンチを入れた右拳をわなわなさせてアレクは怒り心頭に叫んだ。
プラチナの方はと言うと、一瞬そのパンチに怯みはしたものの大した力が入れられていなかったのか大したダメージにはならなかったようで懲りずにさらに言葉を付け足した。 

『だが、そこらへんの女性よりはずっと可愛く…』 

バキッ!! 

…今度は容赦なくアレクの華奢な右腕の肘がプラチナの腹部にヒットした…。 

二人は露天風呂に入っていた。
けれど、当初予定していたムード(何を考えてんだ)とは全く違って… 

『…すまなかった、兄上。』 
『……。』 
『兄上、悪かった。』
『………。』 
『兄上……。』 
『…………』 

二人の周りにはとても重い空気が渦巻いていた。
どうやらアレクはプラチナの言葉に相当憤慨してしまったらしい。
いつもは尊大な態度をとっているあのプラチナが必死になって謝罪していても一向に許してくれる気配はなかった。

『…あにうえ…』 

もう何十回目の呼びかけだろうか!?ようやくアレクが反応してくれた。 

『もう!うるさい!!そんなに素直に謝られたらまるで俺が悪者じゃんかよぅ!』

いい加減無視出来なくなったのかアレクも折れて出た。 

『…有難う、兄上。』 

ようやくまともに話してくれたアレクにプラチナは礼の言葉と安堵の笑顔を向けた。 

『…それ、…その笑顔、反則だよぉ…』 
『え!?』
『だって俺、プラチナのその顔見るの好きだもん。』 
…顔?自分はそんなにおかしな顔をしていただろうか!?
はてなマークを飛ばしてプラチナは自分の顔にてをやった。 

『気付いてないの?プラチナ、時々すっごくかっこいい笑顔するんだよ!?』
『かっこいい笑顔!?』 

…正直驚いた。何故なら笑ったのは認めるが、先程のは完全に頬の力が緩んでいたからあまり格好の良いものではなかったと思ったからだ。 

『俺もそんな感じに笑えたらこんな風に…女みたいとか言われなくて済むのに。』

セリフ後半はプラチナをジト目で睨んでいた(笑) 

『何を言っている。兄上は兄上だろう!?俺をまねても仕方がない。…それに。』

今度は肘鉄を食らわないように(爆笑)プラチナはフォローを入れようとした。 

『それに?』
『俺は兄上の笑顔が好きだな。うるさいのはタマにキズだが。見ていて癒される気がする。』 
『ほ、ほぇ!?////』 

そう言われてアレクの顔はみるみる内に赤く染まっていった。 

『な、何だよぉ!!褒めても何も出ないぞ!?』 

ぶくぶく… 
照れた顔を隠すように、言ってすぐ顔を半分湯につからせる。 

『褒めたのではない。事実だ。可愛い、からな…兄上の笑顔は…。』 

テレながらプラチナは、ある意味一世一代の告白を試みた…が。 

バシャッ!! 

返ってきたのは好きな人の声ではなくお湯。 

『やっっっぱり!バカにしてるッ!!』 

アレクがバカにされたと勘違いをしてプラチナの顔にお湯をお見舞いしたのだ。 
ばしゃばしゃばしゃ… 

『…あ゛、あ゛に゛う゛え゛…!?』 

その後も1分程容赦なくプラチナにお湯はかけられ続けた。
プラチナは必死で逃げたがアレクはそれを許さない。 

…アレクがプラチナの気持ちに気付くのはまだまだ先の事。 

□□後書き□□

別人28号。誰だよお前ら。(泣)難産でした〜…途中で『ヤヲったろか』とか何回思ったことやら。そしてせっかくの温泉って設定が活かしきれなかった。裸なのよ!?髪の毛下ろしてるのよ!?漢(おとこ)なら襲えよプラチナ!!(爆)とにかく今、飢えてますので次はギャグは書けません。ラブラブorちょびっつ『ヤ』v(死)ううん、逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ…!(謎)



      

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