STOCKHOLM DIARY
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2005年12月08日(木) ノーベル文学賞

今年のノーベル文学賞を受賞した英国の劇作家Harold PinterのNobel Lectureが昨日の夜テレビで放送されました。Pinter氏は健康不良のためストックホルムでのノーベル賞授賞式やバンケット等には欠席、さらには伝統的に行われる受賞者による講演も彼は出来ないことになったのですが、その代わりテレビで彼の講演が放送されました。

私はHarold Pinterという劇作家のことはいままで全然知らなかったのですが(というかノーベル賞を受賞する人たちの存在を前から知っていたことがない・・・*汗*)、昨日この人の講演をテレビでみて、正直大きく心を動かされました。彼は講演の最後を自分の詩で締めたのですが、その詩を聞いて私は思わず胸が詰まってしまった。

彼の講演内容はたぶんとてもControversialで賛否両論があると思いますが、私は最初自分が何に感動したかよくわからなくってちょっと考えてみたのです。私が感動したのは、自分が特に反米的だから彼の講演に共感したわけではなく、偽善を許さず真実を見極めようとする彼の揺ぎ無い決意と熱意、そして死に対する非常に誠実で真摯な態度です。特に死をテーマにした彼の詩は、難しい言葉などひとつも使っていない一見シンプルな詩なのですが、圧倒的に心に響くものがあります。加えていうなら、彼の講演内容だけではなく、病気とはとても思えない力強い彼の話し方、口調も人を引き付ける力があったことも事実です。

下のサイトで彼の講演のビデオおよび全文を読むことが出来ますので興味のある方は読んでみて下さい(英語です。リンクしてないのでコピペして下さい)。
http://nobelprize.org/literature/laureates/2005/pinter-lecture.html


さてさて、さきほど「私はノーベル賞を受賞する人たちの存在を前から知っていたことがない」と書きましたが、それはどうやら私だけじゃないらしく、毎年ノーベル財団が記者会見で受賞者の発表をする度に、そこに居合わせているジャーナリストの誰かが必ずふざけて”Äntligen!! (Finally!)”と叫ぶのが伝統(?)だそうです(笑)。


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