まゆ日記
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会社の、カーテン縫製工場には現在8人の中国からの留学生がいる。 3年前にやってきた4人、去年やってきた4人だった。みんな20代前半の女の子たちだ。 今日、最初に来たほうの4人の中の1人帰国した。
3年間、縫製の勉強をしながら仕事をして、来月には4人で帰国するはずだったのだが、彼女のお母さんが病気で、しかも危ないらしいのだという。親の死に目にもあえないことになったら大変なことだと、急遽帰国することになったのである。 朝礼で彼女が、 「いままで優しくしてくれてありがとうございました」 と、泣きながら挨拶した。 事務所の人たちは、カーテン縫製工場にかかわりのある人も多くて、ほとんどもらい泣き状態になった。
私はあまり言葉をかわしたこともなかったけれど、それでも、この若い女の子が、4人で来日したのに1人で帰国する、それも親の病気で、とかわいそうでかわいそうで仕方がなかった。
そのあと、廊下で何人かの人に囲まれていた彼女に会った。
3年前に、そうちょうど旦那が倒れたころに来日した彼女と、あのとき絶望的な病気に倒れた父親をもったお子の姿がだぶって見えて、 「元気でね。 お母さんが心配するといけないからいつもニコニコしていてね。 ニコニコしているとたくさんいいことがあるから。 絶対にいいことがあるから」 と言って。
思わず彼女を抱きしめた。
彼女も涙をぼろぼろこぼして、 「ありがとうございます」 と言った。
1時間後、車で出発する彼女をほとんどの社員でお見送り。 カーテン縫製工場の人も、残りの留学生もほとんど号泣状態。
「日本語で、さようならを言います。 さようなら」
中国語のさようならは「再見」。 「ふたたび見る」 なのに、彼女は一度も「再見」とは言わなかった。
飛行機で二時間、その後にバスで4時間以上かかる彼女の家まで、どんな気持ちで向かうのか。 せめてニコニコといきいきした笑顔の彼女をみたお母さんが少しでも元気になればと思った。
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