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| 2006年02月03日(金) |
『スウィング・ボーイズ』 |
第8回東京芸術劇場ミュージカル月間公演第1弾。 この「ミュージカル月間」なるものは、毎年結構 通っているのですが、今年はどうやら4演目中 3演目も観ることになりそうな感じで(^^; 今月、ものすごく観劇忙しい月なんですけどねぇ。 まあ、オリンピック期間中は暇になる職業なので、 いっそ「目指せ残業ゼロ時間」ぐらいの気分で、 今月は劇場走り回ります〜。
ミュージカル座『スウィング・ボーイズ』
<場所>芸術劇場中ホールL列21番 <時間>1幕18:30〜19:50、2幕20:10〜21:25 <主な出演(その他は一番下に)> 東堂純子:大浦みずき、東堂男爵:宝田明 東堂正子: ペギー葉山、山下義一 :戸井勝海、 江田敏子 :伊東恵里、東堂孝之:高野絹也 ※孝之のジャズ仲間たち(ボーイズ): 国友よしひろ、竹本敏彰、梅沢明恵、高原達也 中本吉成、佐野信輔、山口聡史、松下祐士 樋口知樹、岡崎大樹、宮下恵一
楽しかった。 やっぱり、いい音楽っていいなぁと思ってしまう。 グレン・ミラー、デューク・エリントン、アーヴィング・バーリン、 ジョージ・ガーシュウィン、ベニー・グッドマンなどなど、 世代的に懐かしいはずはないのに懐かしい曲の数々。 そんな曲たちと、レビューを愛した人たちのお話で。
相変わらず登場人物はやたら多い割りには ごくシンプルなストーリーが、次々に現れる名曲に彩られ 舞台そのものが、レビューのような感じで観て楽しめる。 生演奏のサックスやトランペットは猛練習した団員がこなし、 時々もげる音も愛嬌に、一生懸命さが伝わってくるし、 最後には大浦さんが歌い踊る「♪Sing Sing Sing」と 来ちゃ、楽しかった!と終わる以外ないって感じで。 やっぱり、踊る大浦さんは、とにかく素敵(*^^*)で、 彼女がレビューのスター役なんて、それだけで嬉しいし。
ただ残念だったのは、「戦争にも負けずに」を テーマに頑張ってはっきりと押し出そうとしすぎたこと。 それを真正面から歌った、山下の「♪命かけるもの」と 江田敏子の「♪私にたくして」の2曲はオリジナル曲で、 ミュージカル座お得意の、真正面から「泣いてください〜」 な盛り上げ曲。他の舞台では結構好きなんですけど、 今回の舞台では「真面目なことは深刻にやらなくちゃ」 というジャパニーズ乗りって、似合わないと思うんですが。 なんで、いつもの曲調のまま作っちゃったのかなあ? 戦場にいてもレビューのアイデアがどんどん浮かんでくる という人が、こんな曲調の歌って、すごく違和感。
もう一つのオリジナル曲、「♪新作レビュー」も、 山口先生らしさの溢れた曲だったけれど、まだ少しは 軽さがあった分、よかったような気がしましたが、 あんなにレビューを愛していながら、山下自身は一度も それらしい歌を歌わせてもらえずに死んじゃったよ・・・と、 妙なことを思いながら観ていたら、最後に戸井さん再登場!
銀のヘチマ襟のついた真っ青なジャケットに、ラメ入りの 黒の蝶ネクタイと黒のパンツというレビュー姿で現れて、 ダンサーズ従えて、「♪スウィングしなけりゃ意味がない」。 こんな衣装で、「洒脱」に歌って似合っちゃう戸井さん! いやいや・・・びっくり。今回は、途中で、大浦さん演じる 純子の姿を下手で見ている時の、シャツとベストに、 薄いブルーのネックチーフという衣装も似合っていたし、 純子さんを発掘し、育て、見守り、愛していくという 補佐的な役どころも、非常にハマっていて、嬉しかった。 彼の歌で、いい感じで締まってワクワク感が盛り上がり、 そこで大浦さんの「♪Sing Sing Sing」で大団円。 あざとくても、この流れにやられたし、何やら満足、です。
※その他の共通キャスト 川田真由美、菊地まさはる、高原紳輔 泉信弥、松村正太郎、諏訪友靖、松野英之 ※☆組 片桐和美、藤澤知佳、会川彩子、三辻香織 村田綾子、三宅文子、朝子洋美、永浜あき 山根三和、西利里子 ※☆組アンサンブル 関沢明日香、深澤英里、田宮華苗、岡崎桂子 小澤紀子、一ノ瀬寛子、斉藤恵子、小貫紀子 野澤美季、加藤玲子、SHIZUKA、田中千尋 米澤麻希、宮尾圭子
<自分のために、追加メモ。(2/6 22:52)>
舞台の奥半分に、更に高い舞台を作ってあって、 前方はバンド用セットで埋め尽くされているため 主ストーリーは元の舞台から1mほど高い舞台で 進められることがほとんどだったように思う。 そのため、L列という、段差が始まって2列目が 最高の観劇ポイントになっていたと思う。ラッキー。
あと、お手伝いさんの役の人が面白かった。 役名覚えてないんだけど「吉井国子」さんなら、 演じていたのは川田真由美さんという方。 時々そうっと降りてきてトランペットを触るのは 舞台転換の間として、すごくいい演出だったかも。 初めて音を出せた!という時が「ド〜ソ〜ド〜」と 「未知との遭遇」になっていたのが、お気に入り。
| 2006年01月30日(月) |
『ベガーズ・オペラ』前楽 |
<場所>日生劇場D列37番 <時間> 1幕18:30〜19:30、2幕19:50〜20:50、3幕21:00〜22:00 <出演> フィルチ(トム):橋本さとし、マクヒース(マッコリ):内野聖陽 ルーシー(エリザベス):島田歌穂、ポリー(マーガレット):笹本玲奈 ピーチャム(ジョン):高嶋政宏、ロキット(ジェームズ): 村井国夫 ミセス・ピーチャム/ダイアナ・トレイプス(モリー):森公美子 老役者:金田龍之介 入絵加奈子、高谷あゆみ、山崎直子、山崎ちか、泉里沙、宮菜穂子 小此木麻里、三谷六九、水野栄治、小西のりゆき、Kuma、 川本昭彦、幸村吉也、照井裕隆、村上勧次朗、原田優一
ベガーズ観劇3回目。 ようやっと楽しみ方が自分なりにつかめた感じ。 2回目はSSだから、全然違う舞台を観たようなものだし、 2回観て、何となく納得できるのかな。楽しかった。
初回、内野@マクヒースが全然色っぽくなくて、 やっぱり私は内野さん演技は苦手なのかなぁとか 思っていたけれど、間違いだということがやっと分かって。 「内野@マッコリが素人演技しているマクヒース」だから、 マッコリの不器用さや真面目さが見えてしまっていて、 色気バシバシのマクヒースになりきれなくてOKなのね。
そう思って、下っ手くそな演技を楽しんでいたら、 階段でかっこつけてポーズ決めてる場面とかなどは 後ろに、演出家:トムの姿が見えてきたりとか。 トムがマッコリに「こんなふうに・・・」とか言いながら、 振り写しして見せてる場面とか浮かんで笑っちゃった。 絶対マクヒースって、マッコリよりトムの方が似合う。 トムってば色男なんだもん。女といて似合っちゃうし。 そして多分マッコリは、フィルチが似合うんだろうな。
だったらトムが脚本・演出・主演しちゃえばいいのに、 なんて思いつつ観ていたけれど、やりたくないのかな。 多分、自分で全部把握してないと嫌なタイプなのかも。 セットチェンジやら、キュー代わりの台詞やら、 みんなみんなこなしながら、やたら真剣に楽しそうだし。 こんな姿見てたら、つい惚れたりしちゃうよなぁと、 思わず見とれてしまいながら思っていたり。
でも、そういうトム相手だと考えると、 マーガレットがベスに勝てないのも当然という気も。 だって、結構大根さんなマーガレットに対して、 ベスってば、泣かせてくれるんだもん〜。 ルーシーというのがおいしい役だってこともあるけど、 女狐がオスの狐のことを思って歌う歌とか、すごいし。
初回でものすごくインパクト大だった、 ダイアナ&ロキット&ピーチャムの低音三重奏も、 やはりドドド〜ンと迫力で恐ろしく楽しめている反面、 ジェームズじいちゃんが、孫たちを呼んでる姿も かわいくていいなぁと思っちゃったり、孫2人が 割といつもくっついてて微笑ましいなぁと思ったり、 そんな方向にも気が行くようになってきて、 やっと、この舞台、全部を楽しめてるのかなぁと。 「もっと観たい」と思ったら、もう楽日。残念です。
| 2006年01月23日(月) |
『グランドホテル』前楽 |
<場所>国際フォーラムCホール、9列43番 <時間>1幕もの:2時間20分くらい <演出>グレン・ウォルフォード <出演> オッテルンシュラーグ : 藤木孝 エリザベッタ・グルーシンスカヤ : 前田美波里 フェリックス・フォン・ガイゲルン男爵 : 岡幸二郎 オットー・クリンゲライン : 小堺一機 フレムシェン : 紫吹淳、ラファエラ : 諏訪マリー、 ヘルマン・プライジング : 田中健、エリック : パク・トンハ 劇場主:児玉謙次、ウィット:田中正彦 運転手:岩崎ひろし、弁護士:清水明彦 ダンサー:西島鉱治・向高明日美 金澤博、家塚敦、 初音ひかり、西原純、佐々木誠 小原和彦、西村元紀、青山航士、高山光乗 柳橋さやか、上野聖太、高橋千佳
よかった〜。 最初のうちは、端から見ていたせいもあってか 「グランドホテル形式」に慣れられなくて、 どこで誰が何をやって何を歌っているんだか、 全然分からないまま話が進んでいくよぉ(^^;と、 焦りまくったんだけれど、それなりに見ていくと、 人が関わりあったり関わらなかったりしていって、 最後に、ずっとサービスする側だったエリックの 人生もクローズアップされて、納得のエンディング。
開幕当初、演出がまずいだの何だの、どうも不評で 行く気なくしていたところに、「『有頂天ホテル』の前に 行っておくといいかも」的な三谷話を聞いたもので、 宣伝に載せられて、フラリと当日券で行っただけなのに。 確かに演出は、お金かかってそうなセットに対して、 趣味の悪いバラとか、お椀大のシャンパングラスが変だし、 見せるべきと思われる場面が、えらい遠くで演じられて、 何をやってるんだかさっぱり分からないとか、全体に 中途半端だけれど、でも、作品として好きだぁ!と満足。
話もいいけれど、演じ手もよかったと思う。 アンサンブルさんたちの勢いある踊りもよかったし。 「客に求められなくなったバレリーナ」という雰囲気が、 エネルギーに満ちあふれた感じの美波里さんに 似合うかは心配だったけれど、静のプライドがあった。 男爵と一夜を過ごした後、頑なになっていたのが、 柔らかく女らしく開いて、すごくかわいらしく見えてきて、 それが、何事も実感なく世間離れして生きていた男爵に 驚きと変化をもたらした瞬間って、びっくりしたなぁ。
岡さん@男爵は、むちゃくちゃお似合い。 借金が「他人の金」という意識も実感はないだろうし、 盗みや死にしても、美意識に反しない理由があればOK のような印象で、オットーにも優雅な貴族様の生活を彩る 気まぐれなボランティアみたいに声をかけていた彼が、 盗みに入った部屋で、人助けをして殺されるなんて。 でも、あの朝の会話の後なら、すんなり分かった。 それだけに、最後に駅へ向かうグルーシンスカヤには 泣きそうになった。直前のラファエラの、どうしても エゴイストになってしまう恋心の表現の後だったから、 余計にかもしれないんだけど・・・。
フレムシェンは、野心がはっきりしているのに、 素直で可愛くて、とにかく脚がきれいでよかった〜。 踊りもGood!でも、チャールストンに関しては、 相手の岡さんが、悲しいほど踊れていなかったので、 場面としてはイマイチになってしまったのが残念かも。 小堺@オットーも、前回のLSHよりずっと好きだった。 温かく一生懸命で、地道に優しい。大金にも変わらない。 男爵からライターを渡される場面は、どんな表情なのか よく見えなかったんだけれど、最後にエリックに渡す時、 オットーは男爵から、好意を受け取ってたんだなと、 何となく理解できたようで、やっぱり、ほろりときたかも。
藤木@医師は、ものすごい存在感で、舞台を締めてた。 けれど、実は一番よく分からなかったのも彼でした。 ここに長居できるほど金持ちか有名人なんだろうけど、 医師と言っても、自分こそが病人みたいな感じだし。 ただ、彼が何者かは分からなくても、彼がいることで、 作者視点というか、作品を俯瞰から見る視線が得られて、 偏って感情移入することなく「グランドホテル形式」を きちんと楽しめたのかなと思うと、有難かったです。 途中途中に、アンサンブルたちの人生まで織り込んで、 人生そのものを描いたような面白さのあるこの舞台、 もう一度観ることができたなら、彼がいることの多い 下手側から、観たかったなあと、非常に思いました。
<場所>天王洲アートスフィアC列13番 <時間>1幕16:30〜17:50、2幕18:05〜19:15 <出演> パウロ:野沢聡、マリア:森奈みはる ステファノ:山形ユキオ、 シモン:野沢トオル リディア:寿ひずる、ローザ:雪路かほ アンデレ:山本匠馬、ジョナス:石川剛、マルコ:清水隆伍 司祭ガマリエル:金城功、ラケル:津山智 赤座浩彦 粕谷佳五 坪井美奈子 一井優希 菊池砂織 栗原由佳 駒形繭子 塚本貢子
う〜ん、イマイチ。 体調が悪くて、途中で抜けたりもしたけれど、 それ以前から、これってどうなのよ?モード。
いや、最大の戦犯が主役なのか脚本なのか、 その点は、つかみかねてはいるのですが。 でも、主役がひどかったことは確かだよ。 セリフも歌も役全体、身に入ってなくて嘘っぽいもん。 「奇跡」を表現する舞台で、感情移入どころか、 主役がその人間に見えてこないって辺りでダメでしょ。 声だけはいいんだけどなぁ。ただの「音」だった感じ。
でも、ぶーたら文句言いながら観てた中にも拾い物あり。 野沢トオル@シモン。パウロの地元仲間の落ちこぼれ君。 初めて観た役者さんだけど、彼がいる場面は安心できた。 ちゃんと演技してる人の方が少ないってどんな舞台や(苦笑) 後は、久々に観たユキオさん。ものすげ〜魂入ってた。 どんなに陳腐な歌詞でも、強引な説得力がある。 こういう役だと、偽善だと思わせたら終わりだけれど、 引きずり込ませる勢いに、やられたなぁ。森奈さんとの デュエットは、声質が違いすぎてすごかったけど(^^;
目的だった、これが舞台デビューの山本匠馬さん。 地元仲間たちの一番年下で「弟」属性だったのもあって、 割りと無難によかったかも。デビューとしては合格点。 可愛らしい雰囲気が似合っていたのとか、事務所で 撮影会開いたりしてたのもあって、ファン増えたかも。 彼に関しては、ちょっと安心して見届けられたから、 まあ、その点では来てよかったかなと思った舞台でした。 良かったから再演されたという吉野圭吾さん時代に 観ておくべきだったかな・・・。
新之助君襲名後初の外部出演とあったし、 JRのホームにまででっかいポスター出ていて 少し惹かれたけれど、日本史分からないのでパス。 どうしても観たい人もいないのに¥12,600払って 「話が分からなかった」では、あまり洒落にならないし。 ・・・と思っていたら、友人がチケット取ったのに 行かれなくなった。しかも1等席割引で¥3,900-だとか。 なら、行こうじゃないの!と名乗りを上げてみました。 相変わらず、最後までネタバレつき感想です。
『信長』
<場所>新橋演舞場13列36番 <時間>1幕:18:30〜19:30、2幕:20:00〜21:40 <出演>織田信長:市川海老蔵、 明智光秀:田辺誠一、濃姫:純名りさ、 木下藤吉郎:甲本雅裕、お市:小田茜 ほか <作>齋藤雅文、<演出>西川信廣
それでも怯える私に「信長と光秀の話だから、 きっと分かるよ」と、友人が教えてくれました。 でも観終えた印象は「信長とお濃の話」だったかと。 まず最初に印象的なのは、斎藤道三との対面。 うつけのいでたちで美濃入りしておきながら、 対面には正装で現れ、堂々としたふるまいの信長を 気に入ったお濃は、「この男は危険だ」と察して 殺そうとする父を止め、彼に嫁入りすると宣言する。 「私も大うつけ」と言う彼女のかっこいいこと!
その時にチラリと光秀もいるんですが、 何というか、びっくりするほど高い声が違和感で・・。 田辺さんって、こんな発声をする方でしたっけ? 頭先行型で猿と反りが合わないという演技はいいのに 遠くから観ている分、声の違和感の方が強く感じられ、 どうしても最後まで、奇矯な印象というか、人々から 浮いている感じが消えなかったのが残念です。
いろいろ彼はちゃんと悩んでいるんですよね。 一応は、延暦寺焼き討ちで苦悩する場面もあったし、 「戦のない世界にしたい」という願いとは裏腹に、 信長が「日本を統一したら次は世界だ、ローマだ!」と 焦り意気込んだり、天皇を眼下に見下ろす位置に置いて、 わが身が神にまでなろうとする姿に悩んだりもする。 が、焼き討ちは本当にサラッと流して描かれただけだし、 後半の悩みにしても、ほとんどお濃の悩みという感じで、 彼女を抱きしめちゃってる光秀は、横恋慕?と感じたり。
本能寺にしても、お濃が訪ねてきて久方ぶりに話をし、 「あら?もしや少しはお濃の気持ちも通じたかも?」 なんて思ったところに敵襲。雑兵を共に蹴散らした直後、 お濃が矢に射られ、信長の腕の中でお亡くなりになり、 そして信長最後の戦い。また雑兵ワラワラ相手に。 炎の中に消え、雑兵たちが追っていけないよ〜と ウロウロする時点になっても、光秀、影も形もなし。 そのまま、最初の若き日の信長1人の場面に戻って 終わってしまうので、光秀の謀反は旗印だけで終わり。 やっぱり信長とお濃の話で、光秀脇役だよなぁ。
あと2人、秀吉とお市。秀吉は結構好きでした。 でも脚本的に脇役扱いになってたかなという印象。 お市や茶々たちを救い出して、プロポーズする場面とかも あったんだけど、延暦寺焼き討ち並に「一応」の印象だし、 更にはお市が、誰に対しても同じようなテンションだから、 どうも盛り上がらなくって。兄に対する恋慕(よね?)と、 秀吉に対する気の強さと、同じ演技じゃダメだろうになぁ。 ちょっと、秀吉役は貧乏くじ引いたかなという感じで。
でも信長とお濃の話として全く違和感なかったし、 信長はかっこよく色っぽく、お濃はきれいで凛々しく賢く、 双方とも規格外のうつけっぽくて良かったと思ったな。 海老様、最初のうちは何かイマイチかも?と思ったけれど、 殺陣が始まると、かっこよさも色気も200倍ぐらいになるし。 特に、戦いに疲れてきた時の、鎧が重いと感じてきたのかと 思わせるような「間」が色っぽい。
本能寺でも、最初は槍で戦っているんだけど、 お濃が亡くなってからは、剣に持ち替えて、 鬼神のように人を斬っては、間、斬っては、間がある。 その疲れが切なくて、戦いっぷりの見事さが更に栄えて。 ただ一つ文句を言うなら、この時の真っ白の衣装が、 肉襦袢入れてるのかと思うほどデブく見えて泣いたこと。 でも、炎が似合っていたなあ・・・。良かった。
全体的には、まったりと暗転が長い演舞場テイストで、 しかも、暗転中に年号と場所を文字で表記するという、 大河ドラマ総集編紛いの手法で楽をした脚本だったけれど、 大風邪引いた後の体力落ちた状態にはピッタリだったようで 静かに盛り上がっては一休み、静かに美しさに魅せられては、 また一休み、という感じが、本当に観やすく良かったです。 元気な時なら「とろくさい芝居」と言ってたかもですが(笑)、 満足。満足度に比すると、とても安い舞台だったかもです。
| 2006年01月08日(日) |
『ベガーズ・オペラ』初日羅列感想 |
2回目を観に行ってしまう前に、 初回で思ったことを忘れないようにメモ。
座席C列29番。 橋本さとしさん演じるトムがずっと見える席。 メインの話は『三文オペラ』を観ていて知ってるし 途中で眠くなりかけたら、ずっと彼を見ていた。 ベガーたちが演じる劇の脚本兼演出家として、 ずっと舞台袖から役者たちをチェックしていて、 時々脚本をめくったりしている姿が面白い。 彼を観ていると、これが劇中劇だということを ずっと気にしていられるからおいしいと思う。 あと、金田さんもずっと場所を移動しながら 観客であり続けるので、観ておくといいかも。
マクヒースは、色気はやっぱりイマイチ。 2幕冒頭の野郎どもの頭領やってる時の方が ずっと生き生きしていて魅力的に感じた。 あんまり女好きに見えないから、何だかなぁ。 でも、文句なくかっこはいい。顔立ちとしては、 某サッカー選手M系統で、絶対好きなんだよなぁ。
森公美さんの低音のソロがすてきだった。 高音でもソロあるけれど、2役目で出てきて、 低音のソロ→高嶋兄さん&村井さんと歌った 楽しげなおどろおどろ〜な曲が、一番の記憶。 全体的に曲は心に残るものがない中、これと、 エンディングに全員で歌う曲は面白かった。
玲奈ちゃん、村井さんたちと一緒の 恋する乙女状態は結構いいなと思ったけれど、 後半になって歌穂さんと一緒になると、 どうにも演技力のなさがまだ目立って残念。 でも、「売りは若さです」という役は、 今までの中では似合ってるんじゃないかなと。 歌穂さんは文句なし。切なくておいしい役だ〜。 内野さん演じるベガーとの関係が気になるところ。
体調も悪くて今ひとつ行く前は乗ってなかったけど、 あと2回、行こうじゃないかという気持ちになった。 結構面白かったし、噛めば噛むほどおいしくなりそう。 実は好きなタイプの劇なんじゃないかなと思ったり。
| 2006年01月05日(木) |
『贋作・罪と罰』(再演) |
野田芝居って本当に苦手です。 今まで一度も、いいと思ったことがないどころか、 観終えて帰る時、話が理解できていたためしすらない。 ただミュージカル版の『天翔ける風に』が好きだったので、 その原作再演と聞いて勢いで取ってしまい、後悔しきり。 でも、誰かに譲ってしまおうと思ったところで、 ヤフオクでもチケ掲でもチケットあふれまくりで、 安売りするぐらいならと、自分で観に行ってみました。
『贋作・罪と罰』(再演)
<場所>シアターコクーン BL−9番(左図左端中央の黒い点) <時間>19:00〜21:10ころ <出演> 三条英:松たか子、才谷梅太郎:古田新太 都司之助:段田安則、溜水石右衛門:宇梶剛士 智(妹):美波、聞太左衛門(父):中村まこと 清(母)、金貸しのおみつ、将軍:野田秀樹 志士たち他:マギー、小松和重、右近健一、進藤健太郎 おつば(おみつの妹)、酒場の女将、志士ほか:村岡希美
で、そこそこ満足。嫌じゃなかった。 多分、もともと話を知っているからだけじゃなく、 野田芝居にしては、すごく分かりやすかったんでは? ひし形の舞台の一辺を正面から観る、一段上がっていて さえぎるものが何もなく、非常に観やすい席だったし、 台詞も、シャワーみたいに流れ去るものじゃなくて、 割と聞き取りやすくなっていたような気がする。助かった。
それと、松たか子に英役は似合っていたんだと思う。 英的分け方をするなら、ミュージカル版の香寿@英は、 本来、踏み越えることを許されない側の人間だと思った。 努力に努力を重ねて、論理にふさわしくあろうとした感じ。 観ていないけれど、初演版の大竹@英は、きっと真反対。
そして松@英は、本来 許されていない側かもしれないが、 とにかく自分は、許された側だと信じている強さがある。 こういうエキセントリックな信仰が、彼女には似合う。 キンキンと高い声が、追い詰められればられるほど、 自己防衛の裏返しの過剰な攻撃意識と見えてくる。
でも、途中までの一本調子は似合っていたけれど、 最後、牢の中から、才谷に宛てた手紙を読む場面、 包装に使われるプチプチを広げて雪に見立てた上で、 結構きれいなのに、雰囲気が出なかったのは残念。 古田@才谷との食い合わせが意外なほど悪く感じて、 「十字路に立ち・・・」で既に盛り下がってしまったのに、 その後もテンションが変わっていないようでガッカリで。 悪くないんだけど、締めが・・・!と思った。
でも、英の締めがダメであったとしても、 舞台全体としては、観終えてそれなりに満足しました。 多分、ミュージカル版ほど英主役に見えなかったせいかな。 『天翔ける風に』では、苦しんで苦しむ英に共感することに、 話が集約していたような気がしたけれど、この舞台では 聞太や都の生き方のほうが、むしろ共感できたりも。 特に聞太を観るたび、英が思い込みで踏みつけにした 「凡人」は、聞太(や智)のような人々なんだということが、 非常に感じられて、彼の戦いこそが英の知るべきことだと、 無性に英に対して憤りを感じたりしていましたから。
もともと、松たか子の演じるキャラクターに対しては、 「あーはいはい、分かったから、人に迷惑かけないでね」 と感じることが多いところ、思い込みで人まで殺した以上、 私が彼女演じる英を「敵キャラ」と認識してしまうのは、 仕方ないことだったのかな?(苦笑)でも、最後に 聞太が殺されなかったし(私が見逃しただけ?)、 英には「牢から出てきたらもう少し考え直してみ?」と、 そう思いながら、何となく納得して観終わりました。 ・・・きっと、間違った観方なんでしょうね・・・。
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