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スマステの後、『売り言葉』を録画しようとして、 チャンネル確認にガチャガチャ回していたら、 ある舞台の、ちょっと印象的な場面に出会った。 舞台奥を横に広く使って、少しずつ高くなる 植え込みのようなものを前後に何重にも作り、 手前上手端には満開の桜の花。その前に畳と文机。 そこに座る着物姿の男性。歌舞伎を思い出させるセット。
植え込みと植え込みの間に均等に並んだ 黒の着物に身を包んだ男性たちが、抑えた動きで踊る。 日本刀を振り上げたりして、殺陣のような動きが多い。 舞台奥を広く使い、揃った隙のない動きで踊る男たち。 時々 大写しになるのは、細く つり上がった目で、 細身の武士らしい清冽な印象を与える男。
数分ぐらいかな?思わず見とれてしまっていて、 慌ててビデオに残そうと動き始めた時には、 その場面は終わってしまって、とても悔しい思いを。 一応その後も少しだけビデオ録りを始めてみたけれど、 それ以上に印象的な場面はなく、数十分で録画ストップ。 TV欄によれば、23時から始まった芸術劇場での舞台。 私が観たのは始まってから十分強の場面だったらしく、 まさに「つかみは完璧」という印象。もしこれを劇場で 観ていたなら、このオープニングの美しさだけで、 最後まで気持ち つかまれていたかも。
ものは、鈴木忠志演出『シラノ・ド・ベルジュラック』。 出演は、シラノ:新堀清純、ロクサーヌ:イリーナ・リント クリスチャン:永井健二 ほか。ロクサーヌがロシア人らしく、 全く日本語を話さない。TVではずっと字幕。多分、劇場でも。 どうやら、『シラノ』を、喬三という日本人作家が書いていて、 彼がシラノ自身も演じるという、ラ・マンチャ風の構成らしい。 最初に目を奪われた男性は、クリスチャン役の永井健二。
でも構成を変えた意図はよく分からなかった。全体を通して、 和風の美があふれる舞台であることだけは確かだけれど、 ミニ丈の振袖とか、よく分からないものも多々あったし、 「ただ、きれいだった」で終わってしまったのが残念。 どうやら放映直前に、演出家のインタビューがあったようで、 それを聞いていれば少しは違ったのかなと思いもするけれど。 とりあえず、クリスチャン役の人、また観てみたいなと思う。
| 2004年04月15日(木) |
『ユタと不思議な仲間たち』 |
ガーーン。 『離婚弁護士』初回、見逃しちゃったよ。 今クール唯一、見ようかなと思っていたドラマだったのに。 天海祐希、好きなんです。第1回には山路和弘さんも 出ると聞いてたし、期待と共にタイマーかけて出たのに、 再生してみたら、食わず嫌い王。野球延長だった模様。 ・・・そんなシーズンだったわね、忘れてたよ。 天海さんは割と見られたけど、山路さんは顔見せ程度。 どんなドラマだったんだろうなぁ、気になります。 しかしミムラ、これでフジのドラマ3クール連続出演? なんで、こんなにプッシュされてるんだろう?
『ユタと不思議な仲間たち』
<出演> ペドロ:光枝明彦、ダンジャ:増本藍、ゴンゾ:芝清道、 モンゼ:高城信江、ヒノデロ:下村尊則、ユタ:田邊真也 小夜子:八幡三枝、寅吉:吉谷昭雄、ユタの母 菅本烈子 クルミ先生:平野万里、大作:菊池正、一郎:澤村明仁 ほか
今年2回目の四季。ここ数年とみに、 母音しか聞こえない台詞回しが気になって仕方なく、 作品自体を楽しめなくなって、四季からは遠ざかり気味。 せいぜいが、会社の観劇会で年1回というところなのが、 今回、この作品が大好きだという友人に連れられて、 久々に自分でお金を払って観劇となりました。
・・・が! ものすっごい運が良かったなと思うのですが、 昨日のキャストは以上のとおりで。四季では古株多し。 特に男性メインは光枝、芝、下村と知った顔ばかり。 この辺の人たちは、母音しゃべりじゃないんです。 寅吉役の人も、すばらしくナチュラルな方言が◎だし、 子供たちも方言のせいか何故か、ほとんど気にならず。 先生と、共通語圏から引っ越してきたというユタだけが 少し気になった程度で、台詞に引っかかることはほぼなく。
そうして見ていると、泣ける舞台でした。 都会からの転校生の勇太。町では友達いっぱいだったが、 この村では もやしっ子と女の子にまでいじめられている。 名前も「ユタ」と短く呼ばれ、ちゃんと呼んでもらえない。
けれど、いじめられている最中に、不思議なことが起きる。 ハチの巣がいきなり いじめっ子の上に落ちてきたり、 橋が跳ね上がって、彼らを通せないようにしたり。 不思議がるユタに寅吉は、座敷わらしの話を聞かせる。 彼の言葉に従って、古い座敷に独りで泊まったユタは、 座敷わらしたちと出会い、友達になり、彼らに助けられて 徐々に たくましくなり、村の子にも認められるという話。
最後に座敷わらしたちは、住んでいた座敷が 取り壊されるからということで、去っていってしまいます。 「会えなくても、ずっと友達だよ」と言いつつ去る彼らに、 私は、人間の方がそのつもりになって大切にすれば、 いつでも自然の声を聞くことができるんだよ、という メッセージを受け取って、『グラン・ローヴァ物語』の エンディングみたいに、ウルウルしてしまいました。 (知らない人多いと思いますが、少女漫画の名作です) 忘れないからね、大好きだよ、と思いつつ。
私がそう感じたのも間違いではないと思うのですが、 一緒に観に行った、やはりユタ初見の友人は、実はその 座敷わらしたちが、戦争や飢饉などで、人間になる前に 死んでしまった子供たちだということが気になってた様子。 また、時代の変化に、居る場所をなくしてしまう彼ら。 「実は座敷わらしたちが主人公だよね」という彼女にとっては 彼らの悲しみの方が強く感じられ、積極的に、環境破壊への 警鐘という舞台に受け取られたらしい。本来的には、 そっちの方が製作意図に合っているような気もする。 でもいいんだ、泣けたんだから。多分。
| 2004年04月14日(水) |
マシュー・ボーンの『くるみ割り人形』 |
夕刊って、本当に迫害されてるんですね。 いつもの駅で買う暇なく電車に飛び乗ったので、 帰りにどこかのコンビニでも・・・と思ったら、 コンビニなんて、どこも朝刊しか扱ってなくて。 地下鉄や私鉄の売店でも、夕刊は扱ってない。 結局、探し探してJRまで戻る羽目になりました。 まあ それほどの距離じゃないし、探したかいは ある文章だったから、いいんですけど。
マシュー・ボーンの『くるみ割り人形』
<出演> クララ:シェルビー・ウィリアムズ フィルバート/くるみ割り人形:アダム・ガルブレイス シュガー/プリンセス・シュガー:アンジャリ・メーラ フリッツ/プリンス・ボンボン:ニール・ペンリントン マトロン/キャンディ王妃:アナベル・ダリング ドロス博士/シャーベット王:ダレン・フォースロップ 他
また遅刻しました。正味1時間半の舞台に30分。 諸事情により、席番その他も記載された購入時の控え券で 5分前に入場させてもらうことになっていたのですが、 その控えに書かれていた会場名が「国際フォーラムC」。 自信持って5分前に着いた会場は閉鎖されていて、 「今日は公演はありません」・・・って、何?!
慌てて ぴあのある本屋を探して会場を知り、 ダッシュで山手線で移動したけど、30分遅刻。 ただでさえ分かりにくいダンス公演に遅れちゃったよ・・・。 会場名を書き込んだ主催者さんが謝ってくれたけど、 もとはといえば自分が悪いので、責められないし。
そう、「ダンス公演」。 私「バレエ」だと思っていたのでビックリでした。 駆け込んでみたら、誰もトウシューズも履いてないし、 足首伸ばして踊ってる人も いくらもいない状態で。 しかも、セリフこそないものの状況は分かりやすすぎ。 寮か孤児院といった感じのベッドが並んだところで、 意地悪な寮母さん夫妻を こらしめてる感じの場面。 その前に出てきた お面をかぶった人がきっと、 くるみ割り人形なのよね?という感じの動き。
どうも、私の知ってる『くるみ割り人形』とは 著しく話が違うみたいだと思うけど、でも分かる。 真っ白な世界で踊っていたのは どこ?と思ったけど、 とにかくフワフワきれいに膨らむスカートや、 同じなのに全く揃ってない踊り、それに合わせたように 少しずつ違う衣装に見とれているうちに、1幕終了。
幕間に一応パンフレットで それまでの話を確認したけど、分かったのと同じ程度。 ダンス系の公演って、やっぱり難しい話は少ないのかな。 2幕も、お菓子の国に移動してくると、それこそ お菓子箱みたいなピンクに水色、白の縞模様セット。 プリンセス・シュガーに心奪われて去ってしまった 初恋の彼を追いかけてきたクララの前に、個性的な お菓子たちが現れ、知ってる曲で踊っては去っていく。
悪役であるはずのプリンセス・シュガーが、 明るく色っぽく、とにかくキュートで大人の女性。 見るからに素敵で、出るたび見惚れてしまったし、 キューピッドは、大人なのに、ころころと愛らしい。 話は ちっとも進んでいないようでも とにかく幸せ。 奥の幕がゆっくりと上がっていった時なんて、 見えてきた巨大なウエディングケーキには、思わず 「わあ!」と声を上げてしまいそうになりました。 そこで、飾られた お菓子たちが踊るのも、また幸せ。
もうすっかり、クララの初恋と失恋なんて話はどこへやら、 ただただ、ふわふわ広がるスカートに、カラフルなセットに、 個性的なお菓子の踊りたちに、見とれてしまってました。 孤児院の意地悪な先生たちが演じる王と王妃、その子供である プリンセス・シュガーとプリンス・ボンボンの世界に惚れまくり。 プリンス・ボンボンも、なんだか憎めない いじめっ子キャラで 『キャンディ・キャンディ』のニールを思い出したりするし、 ピンクとスイーツにあふれて、気分は子供の夢のクリスマス。
だから、最後に夢から覚めると、 プリンセス・シュガーと結婚してしまったはずの彼が、 孤児院のベッドの中にいて、一緒に逃げ出すという クララにとってのハッピーエンドが、違和感ありあり。 最初から見ていれば、もっと彼女に感情移入できたのかなぁ? それだけは、ちょっと残念な気分。でも、見ていて とにかく楽しかったから、それだけでもいいかなとも思う。 私の隣は3席空いていたのですが、その向こう側の子供たちが イスが揺れるほど楽しんで笑っていたのが嬉しかったです。
某FCから今年度の会員証が届きました。 写っていた役者さんのお顔は、サングラスにマスク。
・・・だから、怪しいって(^^; そういうところも大好きですけどね、私は。 多分、長いファンほど、そういうの面白がると思う。 でもさぁ、新規ファン獲得に頑張っている スタッフさんとかの顔を思い浮かべると悩んじゃう。 最近おっさんの役も多いし、耐性出来てるのかな? HPも、びっくりした人多かったみたいだけど。
まあ、ファン仲間の顔思い浮かべて、 これなら多分 今年もファン続けてるだろうと思う。 だからいいかな。今年もよろしくお願いしますです。
| 2004年04月11日(日) |
『新選組!』第14回 |
ちょっと、辛くなってきたかな〜。 初時代劇ということも、日本史の知識ゼロってことも、 ハンデに感じさせず見られるのが嬉しかったんだけど、 先週辺りから、人数の多さが気になるようになってきた。 試衛館とその周辺メンバーだけは覚えて見始めたけど、 最近は、これ誰だっけ?と、名前だけじゃ なかなか思い出せない人が増えてきたようで、 オープニングテロップが速いなぁと感じてしまう。
せっかくキャラが立ってきたところなのに、また見知らぬ ドラマを1から見始めたみたいで、ちょっとガックリ。 ちょうど新ドラマが始まる時期だから、意識的に? 久坂玄随も、聞いたことはあるって程度だしなぁ。 しかも何だか彼らグループ、妙に ちゃちいんですけど。 「先生!」「先生!」「我々は!」って一斉に言うか? いかにも、敵ザコキャラって印象なのが笑える。 覚えなくても大丈夫ってことなんだろうか?(悩)
さらに今回は、オープニングから、これ誰?状態。 見知らぬ人が踊ってるところから始めるってのも大胆。 伊東四朗とか松金よね子とか、三谷芝居で見たような 人たちばかりだけど、でも見知らぬ役柄だもんなぁ。 松金さんも、あまりに いつもどおりの演技すぎない? 吹石一恵は、男装姿は違和感ありすぎで笑えないけど、 声の太さが ちょっと男らしい感じ。
つか、山南さんや新見錦の方がよほど声高いよね(笑) 2人がそろって佐々木と一緒に山岡を責めるところ、 違和感ありあり。この辺りは、すごく好きだったなー。 ああ、何か動き出してるなって感じと、それでも結局、 気づけるだけでオタオタ走り回るしかできない山南さんが、 賢いんだか情けないんだかよく分からない感じが良くて。 人を信用するのも ほどほどにしなさいって感じもあるし。 そういえば鴨も、意外に素直で、人が良さそうな感じ。 「それが・・・天子様の目に留まるのか?」「あなたには、 それがどれほどのことかお分かりになりますね」 「・・・異議なし!」のくだりが、なかなか好きだった。 でも、新見は何で、幕府側にチクったのか分からない。 彼、尊攘派じゃないの?なぜ佐々木側に付くの?
好きだったのは、この鴨のくだりと、やっぱり試衛館組。 試衛館組がそろって出てくるとホッとするよー。 これももしかして、三谷マジックにかかってるって言う? でも、沖田と勇のかけあいは、分かりやすいし好き。 「天子様と上様が戦ったらどうするの?」 「天子様と上様は戦わない」「例えばでも戦わない」 「じゃあ、富士山と高尾山が戦ったらどうする」 「高尾山の味方するに決まってるでしょ」 こんなこと無邪気に聞けちゃう沖田ってのもすごいけど、 この勇の思いってのも、どこから来るんだろうと思う。 そして、彼らの未来を思うと泣けて来るんだよなぁ。あう(泣)
ま、今回はそんな感じで。 龍馬は勇が来て嬉しそうだなー、とか、 「やっぱり違うな、京の女は。品がある」とか目つけてる歳、 久々に、思いっきりエロ担当さんだねぇとか(^^; 竹ぼうきが上下逆さに置いてある おまじない話は、 あぁ三谷さんらしいなぁと思うところ。 山南さんがどんなに必死で、勇を盛り立てようと 走り回ったところで、結局、彼らはいまだ何者でもなく 男装の女の子に剣術を教えて、ほのぼのしてるだけ、 って辺りは、分かりやすくて良かったかな。
| 2004年04月09日(金) |
『屋根の上のヴァイオリン弾き』『LYNX』 |
毎日観劇1週間の締めは、マチソワ。 真面目に、どう考えても さすがにしんどいのですが、 よりにもよって、連れとの関係で3エリザ入れてしまった週に 駒田さんと戸井さんと阿佐スパが入ってきてしまったから。 しかも、都合でアツヒロも入り込んできて、もうわやくちゃ。 救いなのは、今日の夜舞台も1時間35分と短いことかな。 8本中2本が2時間未満ってのは、本当に助かりました。 ・・・って、変な観方をしすぎですよね、私。はぁ。
『屋根の上のヴァイオリン弾き』
キャストは火曜日と同じで。 前回は残業で1時間遅れたから今回は遅れないぞー!と 張り切って出かけたら、電車が止まって今度は10分遅刻(泣) 私は今回の♪しきたり には縁がないらしいです。
でも、観たかった3人娘のお掃除歌には十分間に合って。 ここの夢見る幸せなお嬢さんたちが見ていて好きなんです。 この場面の「素直に愛されて育ってきた可愛いお嬢さん」は 知念さん、似合ってたかも。逆に妹の笹本チャヴァは、 しっかりしすぎているのが、ちょっと気にかかる感じ。 「ここらで本を読む珍しい女の子」だから、造形としては おかしくないのかもしれないけど、ホーデルとのバランスが 奇妙。姉に見えるのではないけど、姉妹に見えない。
後半になるとやっぱり、ホーデルがあまり何も考えてない 幸せな愛らしいお嬢さんでしかないのに不満が募るし、 頭が良く物を考え、芯のしっかりしたチャヴァが、 決意してロシア人と結婚し、エンディングではアナテフカを 出て行く決意をするのは とても納得できるようになる。 要は2人とも、この舞台を通しての娘の成長を きちんと演じきれてないってことなのかなという気も。 いや、知念さんがダメなだけで、チャヴァの造形を それに合わせて変えるのは変、なのかもしれないけれど。
前回ダメだった杉田パーチックは良くなってたと思う。 演技はともかく、普通に話しているときの声が若くなった。 それだけでも随分、革命に身を投じるらしさが増えたかも。 でも、歌いだすとまた、こもった声になってしまうし演技も変。 せめて、髪型やドーランの色を変えるだけでも違うだろうに。
「ユダヤらしさ」は、やっぱり今回、ほとんどないと思う。 私が引っかかったのは、別れる時にイェンテが言う 「仲間を殖やすよ」ぐらいかな。(こう変換されて聞こえる) でも、それがこの舞台への共感度を高めていたと思う。 すごくいいパパ。ママ。娘たち。小さな村の共同体。 素朴な尊敬を集める司祭様。代々伝わる「しきたり」。
観終わって心に最も残るのが「今になって愛してると 言えるのはいいもの」という歌詞だったりする辺りが、 かつて日本にもあったはずのつながりを思い起こさせ、 なんとも温かく、いい雰囲気の舞台を作り出したと思う。 帝劇に比べて横幅の狭い舞台をさらに半円形に区切って 小さな世界を作り出し、しかし奥行きは広く何もない風景。 そこに夕焼けなどが映し出される美術も、郷愁を誘う。 あれとかこれとか、文句つけたらいろいろあるけれど、 じんわり泣ける、いい舞台だったと思います。
『LYNX』 <構成・演出>鈴木勝秀 <出演> オガワ:佐藤アツヒロ、エンドウ:橋本さとし、 アマリ(薬の売人):伊藤ヨタロウ、イタバシ先生:佐藤誓、 ウサミ(職安の職員、オガワの小学校時代の同級生):鈴木浩介
実は、よく分からなかったんですけど。 でも何となく、かっこいい気がしてしまう舞台。 円形舞台にある2本の道が、オガワの部屋の奥と外に通じる。 椅子にもなる方形のものが2つ。ホワイトノイズを出す TVの台になったり、幻覚の虫を閉じ込めた瓶が置かれたり。 オガワが撒く殺虫剤で、舞台はいつも少し曇っている。 オープニングで天井から垂れてきた、彼をつなぐ鎖。 エンディングで断ち切られる。整った顔立ちの男2人が 暗めのライトに照らされて向かい合う。会話を交わす。
昼に観てきた舞台とは思い切り逆の、他との関係性が すべて切れてしまった男の話であることは分かった。 やたらとサイバースペースという言葉を口に出して、 そちらとの関係性ばかりがつながっているオガワ。 邪魔にならない相手というエンドウは、彼の鏡像。
いつも神経を逆立てて、人間社会に戻ろうとしない オガワの姿が「LYNX=山猫」なんだろうと思う。 どうしても、アッシュ・リンクス(『BANANA FISH』 という漫画の登場人物)を思い出してしまうのは、 少女漫画で育っている私としては仕方ないけれど、 彼にはアッシュの強さはない。薬などから来る 幻覚の、自分にとってだけの真実に囲まれて生き、 むき出しの神経に触られるイライラ感ばかりが強い。
私が感じ取ったのは、それがすべて。 アツヒロの演技にある繊細さと防衛本能がそのまま現れて、 当て書きかと思うほど似合っていた。(初演は別キャスト) 彼にある攻撃性の部分はエンドウが請け負っていて、 ためらいのない残酷さが整った肢体とあいまって、 孤独を際立たせ、美しいとすら感じてしまった。
何も変わらないままの死というエンディングが、彼に とって満足の行くものであったならいいなと何故か思った。 エンドウの死体の上にかぶさるようにして倒れた オガワが何となく幸せそうに見えたのは、 喜んでいいことなのか、私には分からないのですが。 でもちょっとだけ感じて不安になるのは、私の生活は、 『屋根の上の〜』より『LYNX』に近いってことかもしれません。
| 2004年04月08日(木) |
『エリザベート』ソワレ(内野・禅) |
再び『エリザベート』(内野・禅・浦井・今・塩野)。 今期もう何回目だろうと数えてみたら7回目。 私この作品そんなに好きじゃないはずなのに。 でも、ここ2週間ほど、寝ても覚めても一日中 頭の中に流れる曲が♪ミルクというのは事実。 朝起きると「ミルクはどこに行った〜?!」って。 飛び起きて、一緒に踊らなくちゃいけない気がする。 運が悪いと「皇帝は見過ごすのか皇后の裏切り!」 と共にシェネラーの姿が瞼の裏に浮かんでしまうので、 せめて、♪ミルクで起きたいところなのですが。
そして、写真が36pも加わった結果130pを超えた パンフレットを手に入れて しみじみ眺めた末、 ♪ミルク のセンターで踊るルキーニを写メして 携帯待ち受けにしたというのも事実。 キャスト紹介も前回公演写真も、別にどうとも 思わないのに、今回公演の写真にはどれもこれも ドキドキして、見ていて落ち着かない。煽動されてる。 おかしい。こんなはずじゃなかったのに。 今回のルキーニ、好きじゃないのに大ハマり。 あ、でも、今回の舞台写真はどれもいいです。 ¥2,000は高いけど、本当に見ごたえあり。
でも高嶋ルキーニは、すばらしい安定感のため、 毎回何かを書こうという気にならないのも事実で。 今回 書きたいことといえば、禅フランツでしょう。 すっごいすばらしかったのに。すばらしかったのに。 ひたすら感動して観ていたのに最後で大こけ。
今回フランツは本当にどちらも大好きで、 バランスよく観ているので、禅フランツは4回目。 ご自分で宣言されたとおり、どんどん成長していて、 ファンとして久しぶりなほど幸せな気分でした。 今日も、演技も声音も見事に年老いていきながら、 エリザベートを愛し続ける皇帝を本当に好演。 初期には、愛情は感じるけど仕事してなさそう・・・ だったのが、きちんと皇帝であるが故の苦悩も。 禅フランツの♪私だけに(三重唱)で初めて泣きながら、 今日に限って言えば私的に綜馬さんを超えたかも?!と、 思ったりしていたのですが。
最後の最後♪悪夢 で禅さん超お得意のtoo much(泣) 血の気と気分と涙が引いていく音が、本当に聞こえた。 ♪我が妻〜だ〜!!と歌われて「ああ、はいはい」気分。 いつもの「石川禅の熱〜い演技」に戻ってました。 今期初エリザの友人には「だってあれが石川禅じゃない」 と言われてしまい、普段は本当にもっと抑えた演技で こちらが泣けるんだと力説しても聞いてもらえず涙。 今期ずっと良かっただけに、本当に悔しい、悔しい。
しかし、今日も良かった高嶋ルキーニは、いつも通り 高値安定だけに、語ることがないのが本当に悲しい。 そう言えば1つ。何回も通って非常に実感したのが、 「客に語りかけるようにしている」という演技の プランが、見事に実践されているなということ。 そんな訳は絶対にないのに、R列で観ていても、 こちらを見られているような、目が合った気がする。 E列端でもC列サブセンターでもR列センターでも。
まだ2階で観たことはないけれど、そちらに視線を 向けているのを感じることもあるし多分同じだろうと思う。 きっと、再演時よりもはるかに、語り手としての姿を 強く感じるのは、演出の変更だけではなく彼の演技力。 2幕頭で拍手を煽るのだけは、あまり好きでないけれど、 今回のルキーニ、本当にすごい。観るたび実感しています。
最後に一言ずつ思ったことを追加。 ・♪闇が広がる、内野トートは朴ルドとの方が好き。 ハーモニーに広がりが出て、音の快感がある。 朴ルド&山口トートは未見だけれど、山口トートは 声質が硬く聞こえる浦井ルドとの方が良さそうな印象。 ・いいかげん慣れたつもりの電飾だけど、やっぱり、 シシィが木から落ちる場面だけは何とかしてほしい。 彼女のお腹から退場するのだけでも変えられない? ・もう一つ慣れられないのは、リヒテンシュタイン。 どうしても、仕草や話し方に品がないのが気になる。 ・塩野ルドルフは、一番、いかにも皇子然とした印象。 成長したら井上ルドになりそうと思ってしまった。
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