vol.35 初「ひとりジャズクラブ」 - 2002年09月07日(土) 暑い!前回のレッスンのあとは、ただひたすら暑くて何も練習する気が起こらなかった。おまけに帰省の予定もあり、帰省先にはピアノがない。お墓参り以外は、ただダラダラするだけ。 8月30日はいつものトリオやカルテットとはちがい、師匠とベーシストのデュオのライブがある。演奏人数が少ないほど彼のピアニズムが良くわかるだろうと思ったので、生徒のレッスンもないことだし、行くことにした。 よし、「最近知り合った殿方」と行こう。彼はジャズが嫌いでないうえに、たまに自らジャズクラブにも聴きに行くらしい。何より彼とジャズは同じ「アメリカ〜ン」。私のジャズクラブ初体験に同行する紳士としてなんともふさわしいではないか?夏のバーゲンでイケてる黒いワンピースも買った。これを着て大粒のガーネットのリングにスワロフスキーの真紅のネックレス、真っ赤なサンダルとバッグ、エアコンの効きすぎ対策に長袖のベージュのシルクカーディガン。いやぁ、夏の夜のジャズシーンにはこの位の暑苦しさがイイじゃん、イイじゃん。 …と思っていたら、誘う前に彼の都合が合わない事がわかった。え〜っ、それはないよぅ、ハナ金なのにこんなイイ女がひとり夜遊びじゃと? ま、いい。ひとりで行こう。どうせ女友達のほとんどは子育て中だし。そうよ、一人で行ってカウンターにでも座ってたら、熱い視線を送ってくるイイ男がいるかもしれない。ひひひひひ。 以前、高槻ジャズストリートでぎりぎりの時間に着いて師匠のライブが聴けなったから、今度は30分早くお店に行った。しかし、行ったらお客は私が一人目だった。お店の女の子が「おひとりですか?」と聞く。「はい」と言うと、彼女は「カウンターにします?テーブルの方がイイですかね?、あ、この席はいかがです?」と勧めてくれたのだが、その席はピアノの椅子に座って手慣らしをしていた師匠の真正面、しかもメチャクチャ近かったので、師匠に「こんばんわ」と挨拶して「私がここに座ったら、先生いやですよね?」と言って、カウンター席に座った。ひひひ。 カウンターに座ってイイ男の誘いを待たなきゃ???? 師匠はなかなか自分のライブに来ようとしない私がいきなり姿をあらわしたものだから、ちょっとびっくりしていた。私は、晩御飯を食べていなかったけど食欲もないのでジンジャーエールを頼んだ。手慣らしを終えた師匠はこっちにやってきて私に<最近買ったクラシックのCD>の話をし始めた。なんでも<超絶技巧系>のCDなのだそうだ。リムスキー=コルサコフの<熊蜂の飛行>を扱いたいと思って原曲を聴いてみたら、思っていた以上に余りに速すぎて参考にならなかったので、編曲ものを探したら1枚しかなかったそうだ。ピアニストの名前は忘れた。ニコライ・カプスチンがジャズとの融合を試みた曲を書いた話をすると、興味ありげだった。…とそこへ、彼の知り合いらしいオジサンが店にはいってきた。どうやら彼のライブの常連さんのようだ。な、な、なんと、いきなり私の席のひとつ置いて隣にどかっと座るではないか!!!ちょ、ちょっとまってよ、そこは私に声をかけてくるであろうイイ男の座る席なのにィ! しかも私を打ちのめすように、お客はそのほかは20代のOLとおぼしき二人組だけだった。ベーシストが小1時間交通渋滞に巻込まれたので、それだけライブの開始が遅くなったというのに。なんかそうなると、イイ男の出現よりも師匠の実入りの方が心配になった。 師匠と常連さんは私にいろいろな話をしてくれた。特に印象に残ったのは師匠がみせてくれた手帳大の大きさの分厚いスタンダードピースのコード本。ページの上に曲名、あとはコードネームしか書いていない。師匠曰く「楽譜にすると著作権とか問題になるからじゃないですかね?」とのことだった。一番最後のページに出版元が印刷してあった。もちろんアメリカだが、なんとその出版社の所在はいっしょに来てもらうつもりだったアメリカの彼の出身地だった。そうか、彼は本に化けてここに来たのか。 1回目のステージが終わって師匠はいきなり私と常連さんの間の席にどかっと座った。なんて言おうかと思っていたら、彼は大きくため息をついて、すぐに別の席に移っていった。出来具合にちょっと不満そうな様子だった。私も彼の演奏は少しばかり調子が悪そうな気がしたのだ。 しかし、2回目のステージでは彼らしさを取り戻したようだった。彼に限った事ではないが、よくもまァ即興であれだけフレーズが出てくるなぁ。いったいどれだけの抽斗を持っているのだろうかと感心した。 2回目のステージが終わって「どうでした?バランスとか」と聞かれて返事に困った。「そんなこと聞かないで下さいよォ」と焦ると、「クラシックの人が聴きに来るととても緊張するんですよね」などとおっしゃる。そんなことないよぉ、先生テクニックちゃんと持ってるとおもうよ。 10時前になったのでもうそろそろ退散しようかと思ったけど、常連さんに引き止められたし、私も最後まで聞いてみたかったので、次ぎも聴く事にした。と、そのとき新しいお客さんが3人来た。師匠の先輩ミュージシャンたちである。師匠は2曲くらい弾いたあと、なんの説明も無しにいきなり私の聞き覚えのある曲を弾きだした。 おお!!!ドルフィンストリートではないか!私のために弾いてくれてるんだぁ!師匠にとってはこんなのは普通の事なのだろうが、私は素直にありがたいと思った。フレーズの中には師匠が私のノートに書いてくれたのと同じものが幾つか出てきた。 そのあと、師匠は来てくれた先輩ピアニストに席を譲ったので、3曲ほどその人が弾き、また師匠が1曲弾いて終わりになった。先輩ピアニストはヴェテラン世代の人で、フレーズの作り方は何となく師匠よりも「練られた」感じがしたが、それは年齢と経験によるものだろう。師匠のはフレッシュでハッピーだから。けれど、師匠の方がテクニックの上では確かだったし、音も師匠の方がまろやかできれいだな。 「最後まで聴いてもらって有難うございました」と師匠にいわれた。いえいえ、こちらこそドルフィンを弾いてもらってとても嬉しかったのだ。お礼をきちんと言って帰ってきた。 実は、師匠の弾いたほかの曲名を私はここに書いてない。そう、なんの曲だかワカンナイのである。一つでも多くのスタンダードを覚える必要性を痛感した。また機会があったら師匠のライブに行こうと思う。 ... vol.34 真夏のドルフィンストリート - 2002年08月05日(月) …って題名はオシャレだけど、中身は別にどうってことない。 私の仕事の都合で1週間レッスンを延期してもらったら、結果として7月のレッスンはなくて、8月5日になってしまった。7月末の野外コンサートは体調を崩して聴きに行けなかったので、そのことを詫びたあと、 私:「先生、<ジャズ批評>の(CD評の)記事、拝見しました」 師匠:「あぁ、どうもありがとうございます。ついでに宣伝に なってしまいますけど、こっちにも、それからこっち にも載ってるんですよね」 私:「先生凄いですねぇ。東京進出も時間の問題ですねぇ?」 師匠:「いやぁ、行けるといいんですがねぇ」 という会話のあとさっそくレッスンへ。 いきなり「アレ、わかりましたぁ?」と師匠。返事の変わりにニタニタと笑って見せた。師匠の作ってくれたアドリブをアナライズする、という宿題の事だ。余りに忙しすぎて実は昨夜慌ててやった、ということは口が裂けてもいえない。 正直、「ここはロクリアンですよね」って言われても、頭の中でいちいち「えっとロクリアンを全部幹音で表すとシから始まる音階になって、、んでここの調は…」などとひとつひとつ追いながら次の質問に生返事していると、あっという間に3小節先の話になっているのである。 で、「わかったつもりでわかってないかもしれないし…」と曖昧な変事をしながらノートを開いて自分の分析を師匠に見てもらおうと思ったら、「自分なりに納得できればそれでいいんですよ」と、これまた曖昧な返事。弟子も弟子なら師匠も師匠だ。 で、さっそく弾かされた。楽譜を買ったのがついちょっと前で余り練習できてない事を言い訳してから、恐る恐る弾き始めた。拍子がきちっと取れてなくて、微妙に緩急のある演奏になっているのが自分でもよくわかる。時々音をはずす。暗譜していたら絶対はずさないような音でも、楽譜を見ながらだとすべったりする。ぐちゃぐちゃ。こりゃあひどい。こんなひどい演奏、レッスンではめったにしたことない。 師匠:「4拍子をきちんととる事が必要ですね」 私:「はい、そうですね(わかっとるがな)」 師匠:「それから8分音符の和音をきっちりとその長さで弾く 必要はないと思います。所によっては長くても良いと 思われます。全体的に、もう少しCDをよく聴いて 細かなニュアンスをつけられたらいいですね」 私:「はぁ。(ニュアンスだとォ?そんなのあった?って感じ)」 師匠:「どこか好きなフレーズがありました?」 私:「いえ…べつに、、、」 師匠:(苦笑してのけぞる) 私:「あ、そう言えばあります、ここのところはとても好きです」 私が示した小節のフレーズを見て師匠は一言、 「フレーズと言うよりは、単に和声のハーモニーのところですね」 そ、そんなぁ。でも言われてみると確かにそうだ。 「…じゃあ言いますね。この曲の中には重要と言うかよく使われるフレーズが幾つ か出てきてるんですよ…(示されたフレーズに印をつける私) …これらを12の調で弾く練習をしておくといいですね」 と、少しだけ移調して私に弾いてみてくれた。 ふうん。そうか。これってそんなにスタンダードなフレーズなのかしら。わかんないなぁ。CDを沢山聴かないとわかんないなぁ。 師匠:「質問はありませんか?」 私:「あります。ここのコードはEと書いてあるのに、 どうして音符ではF♭で書いてあるんでしょう?なんだか ぱっと頭に入ってきにくいです。統一して欲しいような 気がします。」 師匠は、メロディーと調の流れから必然的にF♭で表示した方が適しているのだ、そういうのってクラシックでもあるんじゃないのか?と言う。 もちろん、そうだ。あるある。ただ、F♭の音符の上にEのコードネームが書いてあるから一瞬違和感があってイライラするのだ。 まぁそれ以外にもいろいろとあったのだが、さしてここに書くほどのこともなかったので今日はこれくらい。 宿題はまたドルフィンストリートを弾いてくること、だけになった。 ... vol.33 コピー譜 - 2002年07月24日(水) 採譜が思うように進まない。装飾音があるのかないのか分からないのと、クラシック畑からしたら妙な音形、妙な音の羅列、細かいリズム。 「出来たところまでで良いですから弾いて来てください」って師匠は言ったから、まぁそうあせることないか。とりあえず3分の一までは出来た。右手だけだけど。 師匠の作ったアドリブフレーズの分析が問題だ。師匠の説明を聞いて、「あ、そうなんだ」と思ったのもつかの間、いざ自分でやってみようと思ったら「??????」となってしまった。前にも書いたけど、「ここはロクリアンですね」ってなんですぐ浮かぶのよ。〈師匠だから当たり前か〉。 …などと思っているうちに、クラシックのピアノの師匠からの宿題がたまっていることを思い出した。去年の師匠の公開講座「指導者のためのチェルニー40番講座」のテープ起こしをしなければいけない。3月に7本まとめて渡されて、実は1本もしてなかったのだ。だって120分テープだよ。やる気おらないよ。 実際やり始めると、120分テープを全部するのに最低5時間以上かかる。しかも録音のときに後でテープ起こしをするという前提がなかったために、テープを聞いただけではなかなか把握しづらいところもあるし、なにより師匠がポイントごとに説明するから小節番号があっち飛びこっち飛びする。まとめるのに一苦労。 でも「夏までには絶対仕上げます」などと宣言してしまったので、今月中にするしかない。 となると、ウィントン・ケリーの演奏の採譜なんてやってる時間がぜんぜんないことに今度は気がついた。全部自分でやりたいけれど仕方ない、悔しいけどコピー譜を買うことにした。不思議なもので、いや、不思議でもなんでもなくて、ジャズ風アレンジのケチな楽譜でなくて、ジャズのちゃんとしたコピー譜なんてどこで売ってるんだろう?以前師匠に聞いたら、「え?どこでも売ってますよ。心斎橋の三木楽器とか多いですけど、梅田のササヤって店には置いてないですか?僕行った事ないですけど」ということだった。ササヤ書店は私がいつも行く楽譜屋だけど、ジャズの楽譜コーナーなんて猫の額くらいしかないし、絶対ないと思う。 でもあった。灯台下暗しというのはこれね。確かにクラシック中心のお店だから師匠は行ったことないだろうけど、あったよ、あった。簡単に見つかった。ジャズの楽譜だけ買うのは淋しいから、クラシックもなにか…と思って弾きもしないのにバラキレフのイスラメイの楽譜を買った。バーバーのソナタとどっちにするか迷ったが、イスラメイの方がかなりメロディックでとっつきやすいだろう。 さて、練習を始めた。レッスンは30日だったけれど、私の仕事の都合で8月5日に延期になった。でも買ったのは18日。そんなに日にちはない。 私が採譜した部分はだいたいあっていた。私の方が詳しく採っているところもある。しかし左手の和音はさすがにぜんぜんわからないので、コピー譜に頼ることにした。弾いてみると、なんとリズムの難しいことか。右手じゃなくて、左手の入るタイミングの話。右手だけなら特別問題はないけれど、左手だけだとなんかよくわからないし、両手だと確かにカッコイイけど、ジャズ特有のリズムで和音が書いてあるから休符が多いといえでもかなり難しい。要するに「慣れ」かな。 右手が弾ける様になったのでCDに合わせて弾いてみた。Oh!!!!!!CDのテンポのなんと速いことか。右手だけでもついて行けない。なぜなら冒頭にある通り、クラシックでは決して出てこないフレーズの連続で、まっとうな指づかいでは弾けないのだ。いつも私が生徒に「そんな変な指づかいは止めなさい。自己流じゃダメよ」と言っているような指づかいでないと弾けないのだ。 気をとりなして、イスラメイの譜読みをしてみる。すると、ジャズよりもするすると頭にメロディーが入ってきて、指が素直に動く。え?これクラシックのピアノ曲のなかでも筆頭に位置する難曲じゃん。やっぱ私の脳みそはクラシックに出来てるんだということを自覚した瞬間だった。 だいたい毎日30分くらい練習すると、後はついついショパンのエチュードを弾いてしまう。だってジャズの左手はリズム的にはメチャクチャ難しいけど、休符が多いから、退化してきそうなんだもん。結局ショパンの方が時間がずっとかかっていたりする。 昨日あたりから、両手でCDに合わせられるようになってきた。まだちょっとつっかえるけど。でもとても楽しい。ドラマーとベーシストが同じ部屋にいるみたいだ。 クラシックのピアノトリオもジャズのピアノトリオも、とにかくアンサンブルって楽しいね。ジャズはドラムが入るとリズムは合わせるのがラク。でもね、ピアノだけで練習していると、裏拍を打ちながらはまだまだ難しい。もともと私は演奏が急ぎがちになるタチなので、それが手伝ってか、気がついたらメトロノームは表打ちになっている。じゃあ、師匠みたいに足でリズムを取ろうか?「フットタッピング?」とかいうやつ。やってみた。ダメだ、足がすぐ疲れちゃう。今度師匠に疲れないコツを聞かなきゃ。 ... vol.32 他のジャンルの音楽 - 2002年07月08日(月) 毎日ではないが、あれから少しづつアドリブフレーズを書き写している。 Church Mode(教会旋法)を使ったフレーズのところまで進んできた。何がわかりにくいのかというと、たとえばCメジャーコードの中でそれぞれのチャーチモードが使えるという点。 チャーチモードを全て幹音で表すと、メジャーコード(長音階)であるドレミファソラシドはイオニアン、レミファソラシドレはドリアン、ミファソラシドレミはフィギリアン、ファソラシドレミファはリディアン、ソラシドレミファソはミクソリディアン、Natural Minor Cord(自然短音階)であるラシドレミファソラはエオリアン、シドレミファソラシはロクリアン、以上の種類がある。 もうちょっとわかるようになったら、どう使えるのかをまたここで説明しなきゃ。 ウィントン・ケリーのぶんの採譜はあれから滞ったまま。真夜中にヘッドフォンで聴いているせいか、余計に書き取りにくい。まぁ全部できなくてもいいと師匠は言ってたので、そっちはあまり頑張らない程度にしようと思う。ただ弾くだけだし。 問題は、もうひとつの宿題の師匠の作ったアドリブフレーズの分析。レッスンではわかったような気がしていたけど、いざ音符を目の前にすると、「だからどうなのよ」となっちゃう。師匠みたいに私の書いたのを見てすぐに「ここはロクリアンを使ってますね」と言われても「へっ?あ、そうなの」だもん。やはり自分なりの勉強をしないと与えられたものができないのだ。英会話のレッスンと同じ。家でも何がしかの勉強をしないと英会話スクールに通っても意味ないじゃん。 その英会話であるが、先日、私の通う英会話スクールに新しく来たアメリカ人講師が、私がピアノ教師でジャズの勉強もはじめたことを知ると、何故か 「ブルース・ホーンスビーって知ってる?」と言い、 とてもいいキーボード奏者なので聴くといい、と勧めてくれた。 そして後日、彼はそのCDを持ってきて私に無理やり?貸してくれた。 「2曲目と5曲目がいいんだよ」あ、そうなの?じゃあ聴いてみよう。 でもな、ジャケット見ただけで、いやな予感がした。 「これってもしかして?」はい、ロックでした。ロックは嫌いなのに。 さて、、、1曲目を聴いてすぐに後悔した。おもしろくない。じゃあ2曲目、、、楽しくない。3曲目、、、興味がわかない。4曲目…5曲目…。 どれ聴いても同じにしか聞こえないよー。私はロックには明るくないので、どんな音楽であるかとか、誰の音楽に似ている、とか言えないのだけど、何となく古臭いサウンドが聞こえてくる。別の講師に確かめると80年代にアメリカで流行したサウンドらしい。 ロックンロールっていうのかな、マリリン・モンロー絶頂期のころの50年代の音楽は実は好きだったりする。どんなミュージシャンがいてどんな曲があって、っていうのはちっとも詳しくないけれど、エレキギター使ってるわりにはシンプルなサウンドで、聴いてるとこっちも身体がリズムにのってくるのだけど、ブルース・ホーンスビーはリズムにのれない。なんか彼ら自身が自己満足で演奏してるようなものが漂ってくる。しかし彼は好きなのだろう。せっかく親切心から貸してくれたのだろうに、残念ながらいただけない。彼になんて言ったら誤解のないように気持ち良く返せるだろうか。こんな場合は日本語でも難しいのに、英語でどう言ったらいいねん! 後日CDを返した。 「悪いけど私の趣味じゃないわ」って。そしたら彼は 「5曲目は良いんだよ。覚えてない?」 「うん、覚えてない」 すると彼はラジカセ持ってきて5曲目をかけた。仕方がないので、 「アコースティックなのが好きなのよ」と言ったら、今度は別のミュージシャンのCDを勧められた。 そして次のレッスンでさっそく私にまた、無理やり貸してくれた。 こんどのはFusionで、ミュージシャンの名前はJanniという。アメリカではとても有名で自分のオーケストラを持っているという。ははん、ポール・モーリアみたいな人なのね。たぶん。 「これはとても良いから、1回だけ聴くんじゃなくて、テープにダビングして何度も聴いてみてね」という。 あのさー。ワタシはクラシックとジャズが好きなのよって言ったじゃんー。 さて、1曲目、あーあ。2曲目、ふぅ〜。3曲目、もういいってば。4曲目、時間がもったいない〜!…苦痛じゃ。 パンチが効いてるわけでもなし、ポール・モーリアやリチャード・クレイダーマンのような癒しの要素も感じられん。百歩譲って、ドライブのときの目覚ましに良いのかもしれないな。 それに今の私はこんなCD聴くよりも、1枚でも多くのJAZZを聴くべきなのだ。 それで、それをきいたあとオムニバスのJAZZのCDを聴いた。なんだかホッとした。 次の日。 「これも私の趣味じゃないわ」と言うと、 「全部聴いたの?」ときた。 「ええ、もちろん。でもね、私はイージーリスニングミュージックは嫌いなの」 と、今度ははっきり言った。 彼はなんか悲しそうに見えた。がっかりしたんだろうな。 「ごめんね、気分を悪くさせたかな…」って言ってた。返事できなかった。 いつも私はJAZZを聴くたびにクラシックが恋しくなって、シューマンやショパンを弾いたりクラシックのCDをかけたりするのだが、今回ばかりはJAZZで自分の心が生き返ったようだった。こんな経験は初めてだ。 これまでショッピングに行ったりレストランや喫茶店に行ったりして、お店で自分の趣味じゃない音楽がかかってきても、ちっとも気にならなかった。なのに、今回は自分の趣味じゃない音楽を小1時間聴かされて、こんなにも苦痛を伴うものなんだろうかと改めて気付かされた。 してみると、私のリサイタルに来てくれた人たちのなかにも、今回の私のような気分だった人が何人かいたに違いない。 なんだか身がそがれる?思いがする… さあ、今夜もJAZZYに過ごそうか… ...
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