白木蓮の咲く庭で...久純ゆきの

 

 

キーボードさんスト続行中 - 2004年09月28日(火)

自宅ぱそですが、エラー出ても
時間を置いてからもういちど立ち上げ直すと
普通に繋がったりします。

でもきっと、キィボードが逝きかけなんだろうなぁ。

途中で入力出来なくなったりすると怖いので、
チャットには入れません。
急に音信不通になったら、ご一緒した皆様に申し訳ないので。

ああ、不便なり……。


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現在、自宅からです。
普通に動いてくれてますが、またストるかも……。

今、ものすごーく悩んでることがあります。
大した事じゃないんですけど。

「ニ阿 文亜」
この名前は暗号です。解読して、答えを入力ください。



……誰か代わりに解いて(泣)

暗号を解くのははっきりきっぱり苦手なのです。
せめてヒントを……(ぱったり)


...

キーボードが逝ったかも - 2004年09月27日(月)

またもやというか、ぱそっちがトラブルっぽいです。

今度はキィボード。
以前にお茶をぶちまけた(……/汗)ことがあるせいか、
微妙に調子が悪いといえば悪かったんですが、
急にキーボードを認識してくれなくなっちゃったような……?

文章を入力していて、
突然うんともすんとも言わなくなるんです。
マウスは問題なく操作できるし、
IEやオフィスなんかも普通に立ち上がるので
キーボードの問題だと思うんですけど。

入力できなくなって、一度パソコンを立ち上げなおすと、
「keybord error or no keybord present」
とか出るのですが
……これってどしたらいいのかな〜。

新しいキーボードに換えれば直る問題でしょうか?

とりあえず、しばらくの間
ぱそっちのない生活になりそうです……耐えられるかなぁ。


...

引き出し詰め込み中 - 2004年09月21日(火)

勢いのままに書いてアップした「049 刀」ですが、
落ち着いて読み直してみると
どうにも練り込み不足が目に付いたので、
別のエッセンスも入れつつ再構成しなおしたいと思います。

現在アップしてるのは下げないので、
今しばらくはあの不完全な文章をお楽しみください(無茶)

いちばんの問題は、
セッションを知らない人には見えない部分が多すぎること。
昴・天斗の生国の設定だとか、
何で森の中なのか、とか。
現時点でも十分、ふたりの会話が説明くさくて頭痛なんですが、
出し切れて居ない情報が伝わらないと、
多分、ふたりが対峙する根拠が弱く見える気がして。

あと、勝負の直前のギリギリ感みたいなものを、
もうちょっと純粋に綺麗に文章に起こしたい。
今は会話にまぎれちゃってる感じがするし、最後が急ぎすぎ。
……アップするためにかなり焦ったから仕方ないのですが。

静かに静かに、深めて深めて。
緊張感をギリギリまで絞り上げて、
最後の瞬間にぶわっと決壊したところで終わりたい。

いっそ単純に勝負の場面だけを取り出して、
その迫力だけを抽出して伝るようにした方がいいのかなぁ。
でも、アクションシーンって苦手なんだよね……。
動きのある場面って脳裏に描けない人なんで(ダメダメ)

もうひとつの理由として、
先にあげた「別のエッセンス」を入れたいんです。

昨日「月の描写でも」というようなことを書きましたが、
和モノ好きさんに100のお題を始める時は、この本に載っている項目を
もうひとつの制約として盛り込みたいと思っていました。

このお題の存在を知ったのは大分前でしたし、
この本も、白雪を演じた割とすぐ後に購入していましたので。
実際に手をつけるに至るまでには随分と間がありましたが、
雪と花には、本に載っている道具が出てきます。

最初の2本に出来たのなら、この先も頑張ってみたいし。

「049 刀」として出したお話自体は
表現も構成も磨く余地がまだまだ大アリなので、
もうちょい自分の表現力に頑張ってもらおうと思います。
(雪は練って練って練った挙句に場面から二転三転しましたし)


何気に何ですが、
今、私の中で岩波新書がアツイです。
その話はまた今度。


...

3つ目もお披露目 - 2004年09月20日(月)

というわけで、「049 刀」をお送りしました。

一応お題は仮ですが、いきなり数字飛びましたね(笑)
システムも『天羅万象・零』から変わりまして、
らいとぶりんがぁさんオリジナルシステム『大和』です。
昨年、お泊りコンで演じた
久弥天斗(くずみ・あまと)兄さんにおいでいただきました。

ゲストには、天斗と戦隊モノでいうブラックの立ち位置を巡って戦った、
(正確にはレッドの座を押し付けあったというべきでしょう)
榊昴(さかき・すばる)氏をお迎えしております。
ちなみに彼は他PLさまのPCさんです。

話し口調とかあれで合ってるかな……結構蓮っ葉だったと思うんですが。

個人的には、SS中にルビを括弧で括って表示するのは
とてもとても嫌なのですが、
天斗の苗字といい刀の銘といい、
普通に漢字で表記しただけでは絶対読めない読み方揃いなので
泣く泣く括弧表示を使うことにしました。

さてさて。
このお話の御題の他に候補としては、
「005 サムライ」
「007 やまと」
「023 一閃」
「070 夏の夜」
あたりも考えたのですが、
サムライは、天斗も昴も実は身分はサムライじゃなかったりするし、
(天斗は役人で、昴は実家刀工)
やまとは、システム『大和』でやまとは安直っぽいし、
そんなこんなで第一候補を選んでます。
……月光の描写を入れて、「002 月」にしてもいいかも……。
ともあれ、暫定処置ですので変わる可能性アリ。

時間帯は、キャンペーン終了直後。
本当に直後です。
GMさまがエンディングを演出し終わって、
キャンペーン終了お疲れ様ーな時に
昴PLさまとの間で話になった「昴と天斗の対決」です。

「天斗は実家を弟妹に託して国を出奔します」
「昴はきっとそれを止めに回りますよ」
「誰にも邪魔されないように夜逃げしますよ?」
「それは先回りして待ち受けて勝負ですね」

GMさまが止めなけりゃ、本当にダイス振り合うとこでした(笑)

将来の予定として、天斗が国を出ることは間違いないのですが、
この勝負に勝って早々に出て行くのか、
負けてしばらく待機を余儀無くされるのかは不明です。

不明というわけで、斬り合う直前で終幕。

段々SSの質が落ちてるって気づいても言わないでくださいね……。
ちなみに今回、マジメに3時間も掛かってませんから。
勢いで書いちゃったのです。

何だかんだでリーダーなんてやってた天斗ですが、
この時のPT、前衛職は3人ほど居まして、
今回登場している昴氏と天斗が刀術で、
もうお一方(煉さんと仰いますが)は格闘術でした。

TRPGのリーダー候補の第一優先は、「人間・剣士・男」。
昴PLさまも私も、断然ブラック嗜好でして(笑)
ポスト争いをした挙句、昴さまには上手に逃げられてしまったのでした。
流派のタイプから言えば、絶対昴さんの方がリーダーなのにーっ。

昴さんの方を正確に覚えては居ないんですが、あちらは正統派。
ガープス・ルナルのカルシファードで言うなら天落轟破流(多分)。
天斗は、避けて斬る&ダメージより命中率重視の九条流。
カルシファードでイメージするなら、飛燕胡蝶流(個人的には)。

昴さんの方がリーダーの条件に近いんだってばーっ。


そんなこんなで、今でも思い出深いセッションです(笑)

硬派タイプやはっちゃけ系のお題は白雪では難しいので、
またいずれ他のキャラが登場するかもしれません。
……続けばね。


...

049 刀:(仮) - 2004年09月19日(日)

確信などなかった。
ただ、予感があっただけ。

この先で待っている。
過去にこの森を、同じ目的を持って共に駆けた人物が。

それまで彼とはほとんど面識もなかった。
出会い頭に交わした挨拶は、売り言葉に買い言葉の応酬で最悪に近かった。
刀を握る道を識る人間。
けれど、自分と彼では太刀筋もその目的もまるで違っていた。
抱く信念も願いも。
それを叶える方法も。

それがあの不思議な出来事の渦中で、
何かしらの縁が絆されてしまったのかもしれない。

自分と彼は表裏一体。

彼は裏を行く時、自分は表を行く。
……では今は。
自分が裏を選択しようとしている、今は……。


「やっぱり来たな、久弥(くずみ)」

かしゃりと、刀を扱う音がした。
天斗の前方、夜の森に低く伸び茂った枝葉が暗い影を落とす大樹の根元から、
人懐っこい笑みを浮かべて彼が姿を現した。
腰に佩いたその太刀は、彼の母の形見だという。
銘は小狐丸。


「……榊、か……」

分かりきった相手の名を確かめるように口に登らせる。
少し離れたところで立ち止まれば、
自分が腰に佩いた刀も呼応するように音を立てた。

銘は樹神(こだま)。
彼――榊昴の父親、国一番の名工の作品。
自分の目で納得行くまで確かめて選んだ大切な相棒。
一度構えれば、木霊が返ってくるように確かな手応えを返してくれる。

この場に流れる雰囲気は表向きは穏やかだったけれど、
むき出しの肌に鳥肌が立つような緊迫感が潜んでいる。
刀を抜く前の、探り合い。
抜けば一瞬で決まるという予感。

久しく無かった、この緊張感。

「こんな夜更けにどこ行くんだ?」
「……麓へ」

かしゃり、と彼が一歩詰めた。

「一直のところに飲みにでも行くの? んじゃ俺も行くわ」
「……一直は関係ないさ」

こちらもまた、斜め前へと踏み出す。


「ふうん……じゃ、何しに麓に行くんだよ」
「……分かってるんだろう?」

距離の詰め方の違いは、お互いの流派の違い。
迷うことなくひたむきに、まっすぐ斬りかかって行く彼の太刀。
相手の一閃をかわしながら、流れのままに斬り込む己の太刀。

お互いに、笑みを口元に登らせる。
すがすがしく晴れた空のような、榊昴の笑み。
心に夜の静寂を写し取った自分、久弥天斗の笑み。

「なあ、もうしばらく待てよ」

遠くで、目覚めた鳥が一声啼いて羽ばたいていった。

「あと少し斎宮様の周りが落ち着くまでさ。
 一部始終を知っている側仕えは絶対必要だ。
 歳々だって巫女としちゃ大したモンだが……。
 お前は武官としても使えれば文官の能力も申し分ないときてる。
 世辞抜きで、側近にしちゃこれ以上ない上物だぜ。な?」

あと少しだけ残れよ、と榊は笑った。
これほどまでに饒舌に語る彼は滅多に拝めない。
しかもその内容が天斗への賛辞と来れば、計都星並みの確率だ。

「だからだよ。お前も分かって言ってるんだろう?」

返事はなく、ただゆらりと笑んだ気配が伝わってくる。
一緒に、場を支配する空気が一層鋭くなった。

「ここで残れば、間違いなく近侍の列に加えられる。
 軽く辞められるような下級文官の身分じゃ居られない。
 ……今を逃せは、国から抜けられなくなる」

刀を握るようになってから、己の願いはひとつだけ。
この身の栄達も家名の繁栄も望まない。

「剣を究めたいんだよ……この世に爪先ほどでも、剣士として俺の存在が残るように」

風のようにこの世界を渡って、ただ技量を高めたいのだ。
そこには身分も宝物も必要ない。
己と相手が居るだけの世界。
その純粋さゆえに、これほどまでに魅了されたのだから。

「期待されたお役目を放り投げるなんて、お前らしくもねぇな」
「……俺は本来こんななんだよ。
 藤原氏の一件も、本当に英雄の役を担うべきだったのはお前だった。
 お前が逃げ回るから仕方なく引き受けたんだよ」
「んなもん、俺の柄じゃねぇしよ。
 第一、今求められてるのはお前だろうが」
「今度は俺が逃げさせてもらう。榊、お前が引き受ける番だ」
「宮仕えなんて、ぜってぇ御免だね」

もう一歩ずつ踏み込む。
彼の利き手が愛刀をゆっくりと抜き放つ。
こちらも静かな挙手で居合いに構える。

「一度、お前とやり合ってみたいと思っていた」
「ふん……俺もだよ。奇遇だな」

小狐丸の刀身が月光を弾いてきらりと光った。

「どうしても行きたきゃ……」

身を屈めて樹神の鞘を握る。

お互いの視線が通い合う一瞬。

「俺を抜いてから行くんだなッ!」


二筋の銀閃が、闇を割って走り抜けた。



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和モノ好きさんに100のお題


...

お題、続いてしまいました。 - 2004年09月17日(金)

というわけで、「003 花」でした。

……続く予定はなかったんですけど。
気持ちが向いているということなんでしょう。
とりあえず続くところまで遊んでみようかと。

お題を見回していてふいに思い浮かんだので、飛ばして003です。
一応「002 月」も場面だけは設定してみましたが、
思い浮かんだ場面の情報量が少なすぎること、
それでは今の私の力量では文章に起こし切れないこと、
もうちょっと別のもっといい場面がありそうなこと、等々から
遠慮なくぶっちぎってみました。

普通に花ではないところが、私らしいかもしれません。
木彫りの紅梅、更に簪としてみましたが、
よくよく見てみると046に「花かんざし」というお題がありました。

……まあ、こっちはこっちで、やることになった時に考えよう。

今回の時間帯は、シナリオ終了後です。
どうかな、終わって10年くらい経ってるのかな。
小雪ちゃんが5、6歳の設定だし。
すると雪舟も30前後ってことか、ふむふむ。

ラスボス(予定)を庇って散っていったキャラ、として
コンベンション閉会式で参加者の皆さんに大受けした白雪ですが、
何だかお話の中では飄々と微笑んでおります。

理由は作ってあります。
日の目を見る日は果たして来るでしょうか。

白雪と五行様の、すれ違いの邂逅です。
宿世の縁とでも申しましょうか。
ネタ的には、まだもう一度は、ニアミスが計画されています。
はい、前に振った「009 「昔、むかし」」ですね。

ちなみに雪舟さんの読みですが、
「せっしゅう」ではなくて「ゆきふね」です。
まあ、別段問題はないしどっちでも良いのですが。
苗字と繋げたときの語感の問題くらいで。

京極雪舟。
又の名を橘雪舟継頼。

彼の正体はバレバレですが、
彼の名が雪舟になった経緯などもお題のどこかで表現出来れば。
右腕のお話もね。

明日明後日は、地元のお祭りです。

お題を文字文字していたら、唐突に三国無双がやりたくなりました。
今から、貂蝉でも操ってこようかと思います。


...

003 花 - 2004年09月16日(木)

「……雪舟。作業中にすみません。灯りをお入れしますよ?」

不意に背後から掛けられた声に、雪舟はゆっくりと顔を上げた。
振り返ろうとすると、肩のあたりがきしきしと傷む。
それでやっと、自分が随分と長い間手元に神経を集中させていたのだと気づく。

細工刀と木っ端を小さな文机の上に置き、
体ごと背後へ向きを変えると、
ちょうど白雪が行灯に火を入れるところだった。
灯明皿の小さな炎が受け渡されて、部屋の中が淡い光で照らされ始める。

長逗留で大分馴染んだ宿の部屋。
調度品などは決して高級品ではないものの、
きちんと手入れされた室内は、
古びた建物特有の落ち着いた静かな空気がそこかしこに感じられた。

床の間に掛けられた墨絵の掛け軸と、
小振りの花器に活けられた二色の小菊が上品に纏まっている。
供される食事は贅はではなく趣向を凝らしたもので、
店の者の対応も躾が行き届いていて気持ちがいい。
数度話した主の人柄にも惹かれ、
雪舟はついついこの宿に長居をしてしまっているのだった。

「すまない、ほんの少しのつもりだったのに」

昼の軽い食事の後、食休みのつもりで始めた木彫りだったが、
結局午後いっぱい夢中になってしまったらしい。
日が落ちたことにも気づかないほどに興が乗るなど、
自分自身で驚いてしまった。

右腕に目をやれば、軽く捲れた着物の袖の奥から手の甲に掛けて、
斜めに横切るような深い裂傷の跡が見える。
利き腕に今も残るこの醜い傷跡は、
かつて目指した傀儡師の道を断念せざるを得なくなった理由だった。
何気ない仕草を装って、袖を下ろす。
彼女も承知していることだったが、
白雪にはあまり見せたくない傷だった。

「いいえ。それよりも……よろしければ見せて頂いても構いませんか?」
「めずらしいことを言うね」

わずかに苦笑を混ぜた表情で笑んでみせると、
慌てた様子で白雪はうつむいてしまった。

「すみません、出すぎた真似を……」

畳に視線を落として姿勢を小さくする白雪に、
雪舟は顔をほころばせる。
生まれたての頃と比べてはなるまいと思うのだが、
どうしても、自分の良く知る懐かしい時代と比べてしまうのだ。
何に対してもおっとりと鷹揚に頷いて微笑むだけだった頃の白雪を思うと、
表情豊かに生き生きと振る舞う今の成長振りに、笑みを隠せない。

(親というのは、こういう気持ちになるものだろうか)

雪舟はぼんやりと、今はもう亡い師のことを思った。
自分の生み出した傀儡を、本当に慈しむ人であった。
この白雪の姿を見れば、きっと誰より喜んだであろう。
潤みそうになった目元に、慌てて気持ちを誤魔化す。

「冗談だよ。……おいで」

忍び笑いを漏らしながら手招くと、
頬を赤くしながらも女はしずしずと雪舟の元へ近づいてきた。
そのままでは影になってしまうと気づいて、
文机に乗った木っ端を――もう別の形を与えられてそう呼べなくなっているのだが、
付いていた削り屑を払って白雪の白い繊手に手渡した。

「まあ……」

受け取った彫り物を行灯にかざして、白雪は感歎のため息をもらした。
暖かい光の中で梅が一輪、小さな花を開かせているところだった。
昼間見たときには木の切れ端だったものが、
瑞々しくも可愛らしい一輪の花へと生まれ変わる。

そこに顕現する梅花は、間違うことなく天賦の才の片鱗であった。

不世出の天才、夭折の若き匠と、
今でも好事家に名を惜しまれる傀儡師橘右京が、
唯一迎えた内弟子の証。

「見事な梅の花ですね」

そう言ってくすりと笑んだ白雪は、
角度を変えては、艶やかな花弁が行灯の光を弾くのを飽きず眺めている。

「白雪にあげようか」

雪舟が口にした提案に、白雪は黙って首を横に振った。
元より予想された返答だ。
気落ちすることもなく、雪舟は「そうだね」と繋いだ。

「色を付けるなら、何色がいいと思う?」
「……赤。紅梅にしてみては如何でしょう」

静かな微笑と共に、木彫りの梅が手渡される。
受け取って、雪舟は小さな花の花弁の縁をゆっくりと指で辿った。
今から雪の季節を迎えようとする頃合、
本物が咲き綻ぶ前に開いた一輪の紅梅は、きっと美しいだろう。

白雪の提案に頷くと、文机の上に木彫り細工をそっと戻した。

「では明日、赤い染料を求めてこよう」
「ええ……色を付けて簪に細工すれば、きっと可愛らしいでしょうね」
「じゃあその簪が出来上がったら、ここを出立しようか」

驚いたのか一瞬目を丸くした後、微笑んだ白雪は静かに頷いた。
中庭の方に目をやれば、夕暮れも過ぎて薄暗くなった中に
ぽつりぽつりと立つ石灯籠の灯りが淡く滲んでいる。
枯れた薄の群れとまだ実のふくらまない万両が、一幅の絵画のようだ。

「雪舟はこちらを随分気に入っていらしたようですから、
 今年の冬はここで越すのかと思っていました」
「……それも良いかと思っていたけれどね」

雪に籠められてしまう前に、あの人の墓前に立とう。

口にはせず、微笑むだけで意思を伝えれば、
白雪もまた寂しげな微笑で答えてくる。

ふたり共に、迷子だった。
永遠に報われることのない、一生の迷子。
唯一の親を不意の深遠に亡くして、
彼と繋いでいた手を代わりにお互いに結び合う。

労わり合うような微笑みは、流しても尽きない涙の代わりだった。



    **



年が改まり、曇天に粉雪がちらちらとちらつく日のこと。

小さな宿場の小さな宿に、一組の親子連れが訪れた。
外見からは年の探りにくい寡黙な父親に手を引かれて、
可愛らしい5つか6つほどの女の子は、物珍しそうに辺りを見回している。

宿の主人と言葉を交わす父親の手からふいに離れると、
女の子は玄関口に飾られた竹細工の一輪挿しの前に立った。
花の乏しい今の季節、そこに刺さっているのは
一輪の紅梅が美しい小振りの簪だった。

零れそうに大きな目を瞬かせて、
女の子は造花の花に見入っている。

「……小雪?」

娘の行動に気づいた父親が声を掛けると、
素直に振り返った女の子はにっこりと笑って簪を指差した。
父親も、紅梅の出来映えに感歎のため息をもらす。

髪に白髪の見え始めた宿の主人は、人の良い笑みを浮かべて
以前の逗留客が置いていったものだと説明する。
素晴らしい出来でしょう、との言葉に、
父親は同意の頷きを返した。

作り手の才を思わせる、瑞々しく花開く梅花。

しばらくして、一宿の話を決めた父親が呼び戻しても、
女の子は一輪挿しの前からいっかな動こうとしない。
よほど気に入ったのか、言い聞かせようとする父親に泣き顔すら見せる。
苦笑しながら、女将と顔を合わせた主人は父親に提案した。

「お嬢さんに差し上げましょう」

慌てて辞退する父親に、主人は微笑みながら首を振った。
この作り主の名前も、名に雪という字を持っていた。
お嬢さんの名前からして、きっと何かのご縁でしょう、と。

その一方で、一輪挿しから簪を抜き取った女将が
女の子の髪を手早く結って、紅梅を飾ってやる。
眦に涙の名残の粒を留めたまま、
小雪と呼ばれた女の子はにっこりと微笑んでみせた。

恐縮する父親に、主人はいいえと笑う。
可愛らしい持ち主に巡り会えて、簪も喜んでいるでしょう。

「では、五行様にお嬢様、お部屋へご案内いたします」
「はい……おいで、小雪。ちゃんとお礼を言いなさい」

手招きに父親の傍に寄った女の子の微笑みを見た主人は、
秋の終わりに長逗留していった女の面影を見たような気がした、という。


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和モノ好きさんに100のお題


...

足は大分良くなりました。 - 2004年09月15日(水)

今日は何日15日(正確には16日)。

10日からこちら、和モノ好きさんに100のお題で遊んでいたのでした。
草稿保存機能って便利(マテ)

木蓮未来&蒼天過去話をふらふらと彷徨っていたら、
ついに別ジャンルに頭を突っ込みたくなりました。

和モノ。

和っていいですねぇ。
そして、うちのメンツで和を担当できるのは
基本的に白雪さんしか居ないわけで。
大和の天斗にいさんもそれなりにキャラは出来てたけれど、
白雪ほど確立してなかったからな……。

「001 雪」は、白雪誕生前。
白雪の生みの親である傀儡師・橘右京さまと、
その弟子・古登くんでお送りしました。
(全然白雪いないじゃんという突っ込みは不許可)
いっかい右京さまを書いてみたかったのです。
私が書くと、右京さまは生活能力ナシのへたれになりますが(笑)
夢現の狭間でインスピレーションを得てくるタイプ。
なので所帯じみたことは弟子が全部引き受けてマス。
「というか、右京さまには任せられません」(BY古登くん)

……もうちょっとカッコいいひとにするつもりだったんだけどな。

ちなみに002以降があるかどうかは不明です。
「009 昔、むかし」だけはネタがありますが。


9月も半ばです。
1年が経つのは早いですねぇ(しみじみ)


...

001 雪 - 2004年09月10日(金)

ふうわりと、縁側を行く古登の視界の端を白いものが横切っていった。

あ、と思って庭の方に目をやれば、あたり一面に雪が舞い始めていた。
ここ数日の春めいた暖かい日に比べて
驚くほど肌寒く薄曇った日だったため、
朝から空模様を心配していたのだが、案の定だった。

爪ほどもある牡丹雪が小さな池の水面に次々と降り注ぎ、
弱い波紋を残して吸い込まれていく。
遣り水の流れる音は、雪の静寂に包まれて弱まったようにも感じられた。
そこここの緑樹は溶けかけた雪粒を引っ掛けて薄ら寒そうで、
ようやくふくらみ始めた木蓮の蕾も、
何だか小さくなってしまったようにさえ見える。

暦だけでなく季節の移ろいも初春を迎えていれば、
積もってしまうこともないだろうが、
夕刻になってこの雪では今宵はうんと冷え込むかもしれない。

古登は、ここ数日食事も満足に取らず作業場に篭っている師のことを思って
大きな溜息をついた。

先日、傀儡を生み出すに相応しい神木を手に入れてから、
師はまるで時間を忘れてしまったかのように暮らしている。
作業場の土間に筵を敷いて座り込み、
時には横笛を吹き鳴らし。

閃きを待っているのだ、と師は言う。
何でもない木の幹が、大気の中に不意に姿を描き出す瞬間を捕まえるのだと。

そうして掴み取った姿を見事な人形にしてのける古登の師は、
ここ数年で、人形道楽に金をつぎ込む諸侯たちの間に
急速に知られるようになっていたが、
傀儡師としての才能は類稀なくとも、健康に関しては万能ではない。

食事も睡眠も放り投げているところに急な冷え込みが来れば、
誰だって体調を崩しても決しておかしくはない。
内弟子として、師の身の回りの世話を仰せつかっている古登にとっては、
この雪はあまり歓迎できそうもなかった。

ため息をつけば、ほうと鳴った呼気が白く染まる。
目にはっきりと映った寒さの実感に、背筋が震えた。

まだ火鉢は仕舞い込んでいない。
作業場に火のものはあまり持ち込みたくないが、
今日は陽が落ちてしまわぬうちに
暖を取る支度をしておいた方がいいだろう。

物置小屋へ炭を取りに行こうと踵を返すと、
庭の方で濃紺の影がゆらりとうごめいた。
目を瞬かせれば、ぼさぼさの総髪が歩調に合わせて揺れている。

「右京様……」

古登のつぶやきを拾ったのか、
頭に肩に牡丹雪を受けながら、師匠の視線がこちらへと向いた。
顎のあたりに伸びた無精髭を認めれば、
古登はつい顔をしかめてしまう。

古登の師――橘右京は、高下駄をからから言わせながら、
雪の舞う庭を古登の方へ歩んできた。

「ちょ、右京さま!」

降りた雪が滲んであっというまに重い黒のまだらになってしまった師の着物に、
古登の方は大慌てである。

(手ぬぐい、いや着替えか!? それより湯浴み?)

考えはするものの、こちらへやってくる師匠を放っては動けず、
縁側から身軽に飛び降りて師匠の方へ走り出す。
素足の裏に、踏んで壊れた氷の粒の冷たさを痛いほど感じながら、
緩慢に歩む師の手を取って、軒の下へと連れ込んだ。

「古登……?」
「古登、じゃないですよ、右京様!」
「……何を怒っているんだ?」
「阿呆ですか、アナタ!!」

師匠に向かって阿呆と叫んでしまってから、
ふと我に返ってまずい、と肩を竦めた。
ここへ奉公に上がってから日も長いのに、
鉄火気質はいつまで経っても治らない。

気まずさを隠しながら、
自分の着物の溶け出した露を片手で払う一方で、
師匠の着物に乗った雪も急いで落としにかかる。
もとの濃紺色を探す方が難しくなっているが、
それでも解けた雪で師の体が冷えてしまうのは少しでも避けたい。

「こんな雪の中に出てきたらだめでしょう。
 呼んで下されば傘でも何でもお持ちしますから」
「……ああ、そうだな。悪かった」

そう謝罪の言葉を告げながらも、
師の視線は庭の方へ、雪の降る景色へと留められている。
半分呆けたような光を宿す真っ黒い瞳の色合いは、
いっそ古登よりも年下の、幼子のようにも見えた。

(創作に掛かっている時の行動は、
 まるっきり読めない赤子みたいなものですけどね)

心中でため息をつきながら、
それでも師匠の世話を焼けるのは嬉しい。
仕方ないと微笑んでしまいそうになる自分を押し留めて、
仏頂面を作りながら、自分の着物の袖で濡れた髪を拭ってやる。

「それで、どうかされたんですか?」
「うん、かたちがつかめたような気がしたから……」
「今度の傀儡のですか?」
「ああ。銘は……」
「それは良かった!」

言い差した師匠の言葉を押しのけて、
古登はぐっと師匠の手を掴む。

「じゃあ、ご飯食べますよね? 一眠りしますよね?
 ついでに湯浴みもして身支度を整えましょう、はい、入って入って」

有無を言わせず母屋に引っ張り上げようとすれば、
師はたたらを踏みながら高下駄を脱いで、板張りの縁側へと上がる。
脱ぎ散らかされた下駄が飛び散っているのは、今は見ない振りだ。

「少しの間だけそこに居てくださいね?
 今手拭いと変えの着物持ってきますから。
 すぐですから戻っちゃだめですよ?
 で、急いで湯浴みの支度もしちゃいますね。
 夕飯も、湯浴み終わったら食べられるようにしておきます。
 すぐですからね、戻っちゃだめですよ、ね? いいですね?」

立て続けに喋ってしまうと、
呆ける師匠に念を押して、古登は屋敷の中へと駆け出した。
だから、ぱたぱたと忙しなく駆け去る背中を見送っていた師が、
めずらしく声を立てて笑い始めたことを、古登は知らない。


右京は、濡れた着物の懐から無造作に横笛を取り出して
庭の方へと視線を向けた。

大振りの雪片は止むことなく、
次々に灰色の雲間から舞い降りてきて、
建物へ、樹木へ、地面へと覆いかぶさってゆく。

池に吸い込まれてゆく雪に目を細めながら、
自然な動作で横笛を口元へ当てた。
気負わぬ呼気で一声を奏でる。

(銘を伝え損ねたな……)

続く曲を吹き鳴らしながら、
雪景色に一層強く思い浮かぶ女の面影に、
この名に間違いはないと確信を強める。

奏でる曲の名と同じ。

(……おはよう、白雪)

強く強く吹き鳴らせば、面影が笑んだような気さえする。
背後に戻ってくる弟子の足音を聞きながら、
右京は目を閉じて横笛の音色に意識を任せた。


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和モノ好きさんに100のお題


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経過は良好 - 2004年09月08日(水)

映画ハリポタ(アズカバン)、まだ見てませんー。
LOVERSも見に行きたいですー。

9月に入ってから、まだ1回も本屋さんに足を運んでません。
それより何より、銀行に行ってお金下ろしてこないと(泣)
お財布の中身が4桁切ってるのって久しぶりだ。

とりあえず移動するだけなら、支障はほとんどなくなってきました。
まだ足引いてますけど、痛くはないし。

そろそろ、お金下ろしてくるくらいは行けそうかな。


虫の声が聞こえてきます。
合奏を聴いていると、秋だなあって思います。


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災害ばかり。 - 2004年09月07日(火)

このところ、天災が続いてます。

真夏日が続くかと思えば、
台風は6つも7つも8つも上陸して豪雨災害。
浅間山は噴火して、紀伊半島沖と東海沖で双子型地震。

日本だけでもこれだけえらいこっちゃだと、
意図されてるみたいですごく嫌な想像をしてしまいます。
何かが人間を淘汰したがっているみたいな。
……ライトノベルの読みすぎですが。


そろそろ本格的に、非常持ち出し品を揃えないとまずいかなぁと
思わなくもない気がします。
けれど、夜中に地震が起こった場合、
私、寝てて気づかなくてそのまま家と一緒に潰れてそう(ぇ


とりあえず、明日は午前中に病院に行って来たいと思います。


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久々に包帯巻き巻き - 2004年09月05日(日)

9月は捻挫の月。
そんなキャッチフレーズは要らないんですが。
二度あることは……なんて言葉もありますので、
来年は怪我しないように気をつけたいです(気が早すぎです)


初期処置が去年より随分ましだったせいか、
(それでも、患部を冷やすまでに30分くらい間があったんですが)
今年は前よりも軽いような気がします。
3日目にして、まだちょっと気をつけないといけないけど、
爪先を前に向けて進めるし。
去年は随分と、爪先を横に向けてかかと引きずってましたから……。

とりあえず、無理をせずに早めに治したいです。


さてさて。地震がありましたね。
結構大きい揺れだったので、思わず手近な机の下に潜ってみました。
奈良、和歌山あたりで震度5弱だったそうですが、
おねーさま、ご無事だったでしょうか?

不義理しまくりですが、ふと思った今日この頃でした。



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お馬鹿ふたたび。 - 2004年09月03日(金)

再び左足首捻挫……。


ええ、去年も、この時期でした。


何ていうかもう、自分のお馬鹿さ加減に泣きたくなります。


去年はもう半月くらい後だったと思いますが。


……痛いよぅ(泣)


そういうわけで、報告でした。


このままだとクセになりそう……。


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ぽりーはったーですよ(違) - 2004年09月01日(水)

10時間ぶっ続けで、はりー・ぽったー5巻を読みました〜。


原書を頑張って読んでしまう方々の感想を
ちらほらと目にはしていたので、
なんとな〜く

「ああ、きっと××か○○のどっちかが△△なんだろうな。
 でもってホントに△△なら、きっと××の方が確率高いよな」

と思ってはいたのですが(ちなみに伏字の字数は合ってません)、
本当に当たってくださいました……。
うう、予想していたとはいえ、やっぱり痛い……。


そして最終章を読んでいるところに、
何かどっかのお店の宣伝+アンケート電話がかかってきました。

「こんばんは〜、(私のフルネーム)さんですか?
 初めてお電話させていただきます、
 僕、なんたらかんたら(お店の名前)の
 うんぬんかんぬん(ご本人の名前)っていいます、はじめまして〜♪」

確かこんな感じの出だしだったはず。
語り口調は非常に昼間の照明レベルでした。

「……興味ないので切らせていただきます」
「え?」

先の文章の終わりに被せながら言ったので、
聞き取りにくかったみたいです。

「(さっきより心持ち大きな声で)興味ないので切らせていただきます」
「えっ!? ああああ、ちょっとちょっとちょっと(みたいな感じの悲鳴)」

電話の向こうで慌てふためいていらっしゃいましたが、
読書の邪魔なので遠慮なく切りました。
ハリーとダンブルドア先生の会話の方がずっと重要です。

こういう日に電話なんてしてきたらダメです。
容赦なく切っちゃうに決まってます。
知り合いからの電話なら全く別なんですけれど。
優先順位の問題です。

……そもそも、ご飯よりもハリー優先してましたし(ぽそり)


というわけで。
無事に最後まで読んで、
ご飯も食べて、
日記を書いています。

ハーマイオニーは相変わらず可愛いですが、
今回はジニーちゃんの魅力にくらくらであります(笑)

登場した時のジニーちゃんは割と嫌いな印象だったんですけど。
2巻での出来事に加えて
ハリーへの憧れまじりの初恋にきちんと気持ちの整理をつけた彼女は、
兄貴たちをお手本に(?)カッコいい女の子になってました。

ビル、チャーリー、フレッド、ジョージあたりの影響を
きっちり受けていると思われます。

今回初出のレイブンクローの彼女(一応名前を伏せておこう)も
のらりくらりとした性格が好きです。
また次回も顔出してくれるといいんですけどね。



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