Deckard's Movie Diary
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2003年11月28日(金)  g@me

『ミスター・ルーキー』でちょっと良いところがあった井坂聡監督の新作『g@me』です。う〜ん・・・どうしましょう(笑)。まず笑えるのが藤木直人の“若くして成功している広告クリエイター”という設定。幾らナンでもあのステイタスは無理(笑)。そして、そんな何不自由のない彼が何故にこんな話に乗るのかも全く説得力無し!アタマの切れる奴なら絶対しない狂言誘拐、つまり最初でこの映画は破綻しています。世の中にはアタマが切れるのに、それなりの成功さえ出来なくて逆恨みばかりしている奴って居ますが(実際に運が無かったり、本当にバカだったり・・・)、そういう輩が相手だったりしたらもっと説得力があったんでしょうけどね。じゃ、そういうコトじゃなくて一昔前に流行ったトレンディークライム(そんなのあったのかぁ?)物にするんだったら、もっと上昇志向がバリバリあるような役柄のが良かったんじゃないですか。官僚とか秘書とか警視庁キャリアとかインターンとか・・・つまり、この脚本って最終稿って感じが全くしません。もっと幾らでも良くなるだろうに!まぁ、良い所もあるので、次はもっと頑張って下さい。しかし、IZAMって醜くなりましたねぇ・・・・ボソ。


2003年11月26日(水)  花

相米慎二に憧れ映画監督を目指した西谷真一デビュー作『花』。胸に切なく染み入る良い映画でした。動脈瘤に犯されているサラリーマン・野崎(大沢たかお)と初老の弁護士・鳥越(柄本明)が日本橋から鹿児島まで旅をするロード・ムービー。初監督作ということでぎこちない演出が目立ちますし、ちょっとキレイ事過ぎますが、こういう儚げな味わいもたまには良いモンです。鳥越と野崎の人生がもう少し上手く絡むと良かったんですけどねぇ・・・。それでもラスト、ジワっと涙が出てしまいました(⌒o⌒;A。大沢たかおという人は存在感があまり感じられないというか、よくわからない役者ですが、今回初めて良い印象を持ちました。重要な役どころの牧瀬里穂と西田尚美なんですが、演技が拙くて話になりません。どうせ、地味な映画なんですから、しっかり脇くらい固めましょうよ!(関係者筋の情報によりますと、この映画の現場は仕切りが悪くてかなりヤバイ状況だったらしいです。それでもこの映画は良い作品でした。映画ってわかんねぇ〜(⌒o⌒;A)


2003年11月25日(火)  フォーン・ブース

衣装担当から監督になった変り種・ジョエル・シューマッカーが『タイガーランド』以来、再びコリン・ファレルと組んだ『フォーンブース』。腑に落ちない部分や釈然としないシーンもありますが、それでもオレはこの作品が好きです。ストーリー展開にほとんど破綻が無いのも好感触、無駄に長くしなかったのが良かったのでしょう。間違いなく、この作品が持っている緊張感&閉塞感は必見に値します。観終わって思ったこと・・・これがジェリー・ブラッカイマー&マイケル・ベイ制作だったら同じシチュエーションでドッカン!ドッカン!来るような内容にするんだろうなぁ・・・(苦笑)。


2003年11月21日(金)  再見

“ハンカチをお忘れなく!”と予告編で注意を即している『再見』を観て来ました。もちろん、変な小細工も無しで予告編通りの映画なんですが、ナンだか雑な作りなんですよ。“雑”というか語り口が下手なのかな?落ち着かないっつーか、バタバタしてます。さらに、現在のストーリー部分が弱くて映画の出来としては情けなかったかも・・・それでも子供たちの演技には十分泣かされました(自爆)。また、子役と大人役がかなり似ているのに驚かされました。似ているとやっぱり説得力があるんですよ。そのソックリぶりは『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』に並ぶと思います(笑)。


2003年11月20日(木)  イン・ディス・ワールド マトリックス・レボリューションズ 阿修羅の如く

『イン・ディス・ワールド』・・・2003年のベルリン映画祭金熊賞受賞のマイケル・ウインターボトム監督作品。この人って妙に甘いところがあってちょっと苦手です。内容はパキスタンの難民キャンプで暮らす少年が、夢を求めてロンドンへ行くまで(6カ国6400キロ)の密入国の道程を記録しています。映画は始まってすぐに「おお、これは傑作かもしれない!!」と期待させられるくらい、観ている者をググっとスクリーンの中に引っ張り込んでくれます。しかし、その期待は持続することなく少年の道程の中に埋没していきます。淡々と描かれる旅は当然の如く平坦ではなく命の危険を冒すモノでもあるのですが、切迫感がありません。おそらくドキュメンタリー・タッチが強過ぎるんでしょう。ことさらに悲劇を強調されても困りますが、この手の映画のパターンに嵌ってます。それがイイのか悪いのかはオイラには分かりません。結局は、百聞は一見にしかず!って奴です。もちろん、それだけで十分満足出来る内容には変わりありません。それにしても撮影終了後に本当に難民申請をし、拒否されてしまった主演のマジャール少年・・・今後どうするのかなぁ・・・。

『マトリックス・レボリューション』とうとうやっちゃったよ!このエンディングはないだろ(笑)以前、新聞社のCMで西川のりおやジミー大西が得意満面に、専門用語を駆使して社会情勢や経済状況を語るというのがありましが、何故か思い出してしまいました(苦笑)。いやぁ、今回ばかりはアタマの中がドッカン!ドッカン!キちゃいました(爆)。な〜んも解決してねーじゃん!しっかし、こんなデタラメでいいんですか?これじゃ、まるでクリスマス休戦!そりゃ、『マト・リロ』よりはアクション・シーンが満載で面白く観られましたが、幾らなんでもストーリーは手を抜き過ぎ!まさか『ドラゴン・ボール』の予習をやってたワケじゃ、あるまいし!(途中でスーパーアンダーソンになるのかと思いましたよ。ある意味、なったのか(笑))『マト・リロ』&『マト・レボ』の2作品は壮大なるコメディを観た気分でしたわ。だからさ、最初から言ってるじゃん!この世が仮想現実だとしても、仮想現実の中で人生をそれなりに楽しく暮らせるならばそれでイイじゃん!結局、結末がコレじゃ、彼等は何の為に戦ってワケェ〜?

『阿修羅の如く』・・・心を掻き毟られるような響きを持つトルコの軍楽を纏った和田勉演出のNHKドラマを観たのは昭和54年(79年)。25歳の時でした(>_<)アチャ!昔、教科書で習った『畏怖』なんて言葉を思い出しちゃうくらい恐ろしい印象として記憶に残ってます(っつーか、ほとんどトラウマ?(笑))。当時のキャスティングは加藤治子(大竹しのぶ)、八千草薫(黒木瞳)、いしだあゆみ(深津絵里)、風吹ジュン(深田恭子)というモノでした。さて今回の森田『阿修羅』ですが・・・簡単に言ってしまえば“阿修羅の如く(中学生日記バージョン)”とか、“お喋り阿修羅さん♪”とか、“お多福の如く”みたいな映画でした。だってね、ぜ〜んぜん怖くないの!なんじゃこりゃ(笑)。小林薫の決め台詞「女ってのは阿修羅だよなぁ・・・」があまりに軽くて噴出しちゃいそうでした。こんな女性ばかりだったらこの世は男性天国でしょうね(爆)。それでも原作が面白いですし、筒井ともみの脚本(セリフでやたらと語っちゃうのはダメダメですが・・・)も手馴れているので安心して観ていられます。三女・滝子(深津絵里)の恋人(中村獅童)はキャラを作りすぎていてちょっと興醒め、さらに四女を演じる深田恭子が下手過ぎて、この二人のバランスの悪さが全体の締まりを悪くしているのが惜しまれます。その代わりと言ってはなんですが木村佳乃がいい味出してました(笑)。まぁ、どーでもイイですけど(苦笑)。今回のテーマ曲はブリジット・フォンテーンの『ラジオのように』ですが、単にぶつくさばかり言ってる愚痴のように聞こえてきましたわ。


2003年11月19日(水)  ルールズ・オブ・アトラクション 東京ゴッド・ファーザーズ

『ルールズ・オブ・アトラクション』は『レス・ザン・ゼロ』『アメリカン・サイコ』に続くB・E・エリス原作の映画化だそうです。彼の世界に登場する若者は“ゼロ・ジェネレーション”とか“ニュー・ロスト・ジェネレーション”とか呼ばれているそうですが、小生の時代だと三無主義(無気力、無関心、無感動)みたいなモンでしょうか?もっとシニカルな感じかな・・・。映画を観る限りかなり入り組んだ内容の話のようで、予告編でもその複雑さは感じさせていましたが、本編も中々!意欲作ではあります。ところが、中身は空回り!若者特有の思い込みと勘違いとすれ違いをあの手この手で描いているのですが、それだけ(B・E・エリスの世界を描くコトだけ)で精一杯!肝心な映画としての魅力があるとは言い難い出来です。原作の持つ世界観に縛られ過ぎた結果なんでしょう。もっと面白くなる要素はタップリあったでしょうに! でも、原作は未読ながら、映画化はとても難しい感じがします。

前作『千年女優』がドリームワークスから全米公開が決まっている今敏の新作『東京ゴッドファーザーズ』です。簡単に言ってしまえば“小皿料理の店”みたいな(わかんねぇ〜!)、言い換えると“必殺!小刀剣”みたいな(もっとわかんねぇ〜!)。つまり小技(コワザ)は上手いんです。とても良く練り込まれた脚本で細部までキチっと考えてあります。作品の完成度を追求する制作者のスタンスが分かる!って、モンです。だから当然!面白いんですが・・・ガツン!って来ないんですねぇ。どうも小枝(コエダ)ばかりを気にするあまり太い幹になる部分、核になる部分の拘りが希薄になっちゃいました。ひょっとしたら・・・生身の人間が演じていれば傑作になっていたのかもしれません。血がかよった人間の存在感ってのはありますからねぇ!映画って難しい〜!


2003年11月17日(月)  昭和歌謡大全集

お久しぶりの映画は『命』『木曜組曲』『Jam Films/けん玉』でトホホな作品を連発している篠原哲雄の『昭和歌謡大全集』。う〜ん・・・やっぱりダメでしたわ(苦笑)。時間の飛び方は気持ちよいのに、飛んだ後はとたんにググっとブレーキがかかります。まるで急発進とエンストを繰り返す運転みたいです。オバはんグループと若者グループのドツキアイという漫画チックな話なんですけど、弾けないんですよ。これじゃ、三池に作って欲しかったですよ(まぁ、三池がベスト!って言ってるワケではなく、少なくとも篠原よりはいいか!と)。登場人物の多くは中途半端なキャラでほとんど記憶に残りません。特に若者グループは全く魅力がありません。こういう内容ならもっとキャラを濃く描かないと面白さは半減です。ところどころでセリフは頑張っているのに演出が平板でトホホです。で、ひとつ疑問なんですが(因みに村上龍の原作は未読です)、この題名でこの内容・・・、歌謡曲と一体どういう関係があるんですか?登場人物の心情なんですかねぇ?どうも良くわかりません。挿入される曲は単なるオカズ程度にしか感じませんでした。それ以外の深いモノがあるんですか?誰か教えて下さい(笑)。


2003年11月05日(水)  荒神 2LDK

同じテーマ(限られた空間で対決する二人)、同じ製作条件で作られた『荒神』と『2LDK』。そして2本を1本分の値段で観られるという(その分ちょいと短いんですけどね)新しい試みの邦画です。まずは北村龍平の『荒神』です。正直なところ、いい加減飽きましたね(苦笑)。ここまで毎回同じパターンでは多少アクション・シーンに観るべきモノがあったとしても、もう満腹です。例によって緊張感を作るテクニックは上手いのですが、例によってストーリーが弱く話に魅力がありません。“映画”を観たという塊感(ヘンな言葉(⌒o⌒;A)はあるんですけどねぇ・・・・。で、その塊感がほとんど無いのが堤幸彦の『2LDK』でした。こちらはいつものマニアックな堤節は影を潜め、途中までの弾けっぷりはまるで三池のようです。しかしラストに向かって急速に萎んでしまうのはTV出身だからでしょうか?で、どちらが面白かったのか?と言いますと単純に楽しめたのは『2LDK』でした。全く好みではありませんが、小池栄子・・・意外と拾いモノかもしれません。


2003年11月04日(火)  ほえる犬は噛まない エイリアンDC

「悪くないんじゃない!」という声がチラホラ聞こえてきた『ほえる犬は噛まない』は惚けた雰囲気の韓国映画でした。基本的なセンスは悪くはないんですが、全編ぬるま湯に浸かってる印象で、その湯加減が好きという方もいらっしゃるでしょうが、個人的にはちょっとヌル過ぎました。女の子なのか夫婦なのか、もう少し焦点を絞って欲しかったですね。全体のリズムも一定でちょっと退屈。それでも普通に面白いんで、そこそこは楽しめます。それにしても犬食いですか・・・、コレって韓国サイドとしてはあまり外に出て欲しくない映画なんじゃないですかね?そんなコトないのかなぁ・・・。あ、この邦題って好きですよ(だから何?)

東京映画祭の一環として先行公開された『エイリアンDC』を観て来ました。定刻の10分前ほどに文化村オーチャード・ホールに到着したのですが、入り口近辺は待ち合わせしている人、当日券を買っている人、足早に駆け込む人などでごった返しており、どこか落ち着かない雰囲気で溢れていました。9割がた埋まった客席には老若男女を問わず幅広い世代がおり、この作品の偉大さを証明しているようで、ちょっと嬉しい気持ちに♪実はチケットを手に入れた時はガラガラだったので、心配していたのですが杞憂に終わったようです。関係者の挨拶もほどほどに上映がスタート。漆黒が映し出されたスクリーン上部にゆっくりとフェイド・インされていく“ALIAN”の文字・・・・心臓がキューっとなる・・・ノストロモ号が深遠の宇宙から現れ・・・始まりはあくまでもゆっくりとゆっくりと・・・カメラは不安定に揺れながら艦内をなめまわす。突然、血の気の無い通信機器がカタカタと動き出し、非常用ヘルメットに映る光。そして眠りから醒めていく乗員達・・・わー!やっぱ完璧だなぁ!何度見ても完璧だよ。この導入部を観る度に自分はスーっとノストロモ号に入ってしまいます。そして最後の最後までしっかり楽しんで来ました。もちろんストーリーはぜ〜んぶ知ってます。熟知してます。でも、面白いんですよ。何度観ても面白いんです。

最近、あちこちの映画感想BBS等で「途中で分っちゃったんで、楽しめませんでした・・・」みたいな書き込みが目に付くんですけど、それって中身のない書き込みだと思うんですよ。だって、そうでしょ!そんなんだったら一度観た映画は楽しめない!ってコトになりますよ。要は途中でストーリーが分ろうが分るまいが、面白い映画は面白いんです。「途中でオチが分っちゃったんで〜」って、だからナンなの? 何が言いたいんですかね?そういう輩サン達は!ハッキリとツマラン!って、書けばいいじゃないですか。それとも「途中でオチが分ったんだ!凄いでしょ!」とか言いたいんですかね?はいはい、アンタはエライ!これでイイですか(苦笑)

と、話がズレましたが、今回あらためて思ったのは、やはり映画は映画館です!『エイリアン』はその後TV画面で何度も観ていますが、公開時以来の大スクリーン!緊張感や存在感はもちろん細部の作りこみ等・・・全てが比較になりません(アタリマエ〜)。というワケで、過去の名作はなるべく映画館で観たいモンですね。


2003年11月01日(土)  天使の肌 マグダレンの祈り

映画の日の1本目は『天使の肌』です。監督は役者のヴァンザン・ベレーズ。愛妻と一緒に考えた脚本だそうで、テーマは悪くないのですが演出はド素人でした(笑)。とにかく下手なんですよ。全く意味のわからないシーンがありますし、話が唐突に飛ぶので観ている方は描かれていない部分を補うのに要らん労力使うコトになります。ストーリーもちょっと説明するのが難しいです。えっとですねぇ・・・冷たい人間関係しか築けない男が母親の葬式の時に行きずりで抱いた少女・・・その少女は彼にとっては天使だった(人間的な暖かい心を持って触れ合うコトが出来た唯一の時間だった)。で、少女も最初はただの田舎娘だったのですが、いつのまにか慈悲の心に目覚め天使のように皆に慕われていたのですが・・・ってな感じです。まぁ、とにかく素人監督なモンで盛り上がりませんし、地味です。手馴れた監督が作っていれば、もうちょっと評価が高くなる可能性を秘めた内容ではありました。まぁ、相変わらずギョームはへたくそですけど(笑)

続いて恵比寿に戻って『マグダレンの祈り』です。監督は『マイ・ネーム・イズ・ジョー』でジョーを演じていたピーター・ミュラン。奇しくもこちらも俳優出身監督ですわ(苦笑)。演出は手堅かったんですが、う〜ん、これは痛いだけの映画でした。登場人物が皆ステレオタイプなので人間関係に全く深みがありません。本当にベネチア映画祭で金獅子賞を取ったんですかねぇ?もちろんこのような悲惨な事実を描いたコトの意義は認めますが、それだけですね。まぁ、それだけでも十分価値のある作品ってコトなんでしょう。でも完成度という意味ではちょっと♪〜( ̄ε ̄;)でした。余談ですが、こういうの観ちゃうと“宗教”ってやっぱり・・・ボソ

実を言うと本日は朝一でシネマ・ライズで公開される『木更津キャッツ・アイ』を観に行く予定だったんですが、「まぁ、朝一だし、そんなに混んでないだろう・・・」とタカをくくっていたら30分前で既に長蛇の列!どうやら、立ち見は間違いなさそうなので断念しました。しっかしクドカンとジャニーズ・・・人気モノ同士が合わさると東京映画祭も形無しですな(苦笑)


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