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2003年10月30日(木) キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン

連日報道されている、
アメリカ・カリフォルニア南部の山火事は
本当に心掛かりな災害です。
正直、対岸の火事どころか
大きな海を隔てた別世界の出来事、と言ってしまえる
悲しいくらいに「他所事」なのですが、
何もかも失ってうちひしがれる人々の姿には
胸を痛めずにいられません。

ところで、
その山火事でセットが消失し、
レオナルド・ディカプリオの新作の撮影も
できなくなったそうですが、
そのニュースを見ていて思いました。
彼って本当に、「ただの丸顔のアンちゃん」ですね。
私に審美眼がないのか何なのか、
かわいいとは思っても、かっこいいとは思いません。
私生活でのミットモナイ姿が結構さらされていることもあり、
よくもわるくも親しみやすいものの、
知性とか、頼れそうな感じとか、そういうものは感じさせません。
この人が、映画でそれなりの役を得ると、
「あら、なかなか悪くない」と思えてしまうのですから、
きっと、役者が天職なのでしょう。
(我が日本の若手ですと、藤原竜也くんとか、
金子貴俊くんあたりがそんな感じ?私、金子くんは割と好きですが)


キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン
Catch Me If You Can

2002年アメリカ 
スティーブン・スピルバーグ監督


どこか古めかしいもののスタイリッシュなアニメ映像で始まる
この映画で、
レオ君は、60年代に実在した少年詐欺師を演じました。
原作は「世界をだました男」のタイトルで
新潮文庫から出ています。
(本国では随分前に刊行されたようですが、
映画製作を受けて日本でも…とのことです。
なぜ映画の邦題が「世界を…」にならなかったのか疑問)

映画では、実年齢30近いレオ君が少年役を無理なく演じていたのに、
その「少年」は、「10代で20代」を演ってみんなを騙していた、という
奇妙な二重構造が、何とも愉快ではありませんか。

フランク・アバグネイル・ジュニア(L.ディカプリオ)は、
父(クリストファー・ウォーケン)と
母(ナタリー・バイ)のもとで幸せに暮らす少年でした。
学校であほうないじめっこに嫌がらせをされても、
フランス語の代打教員を装って鼻をあかすなど、
茶目っ気と度胸も備えています。

が、父が経営する店の倒産で家庭崩壊の状態になり、
絶望したフランクは、家出をしてしまいました。
前に父にもらった小切手はもちろん不渡りになって、
金のために偽造を試みますが、失敗します。

そんなある日、彼は、航空会社の制服を颯爽と着こなし
みんなの羨望の的になっているパイロットの姿を街で見かけ、
パイロットになれば、社会的な信用も富も手に入ると考えます。
といっても、一念発起して勉強し、
なろうと努力するわけではありません。
いじめっこをやりこめたときのように、
「ふり」だけで信用を得られればこっちのもの。
パイロット(だと周りが勘違いする人)になって、
「雇用主」たる航空会社をだまして給与小切手を切りまくり、
たっぷりと私腹をこやすという
大胆な犯罪に手を染めてしまうのでした……

普通、「パイロットです」などと身分詐称して
誰かを騙すというと、
例えば結婚詐欺師というのが、まず思い浮かびませんか。
ところが、彼が騙した主な相手ときたら!
彼の詐欺行為の手口はこちらに詳しいので、
(この番組、見た方もかなりおいででしょう)
私から多くを説明するのは控えますが、
詐欺という犯罪は、ある意味選ばれた人にしかできないなあと
妙に感心してしまいました。

古今のいわゆる「詐欺映画」は傑作が多いものですが、
被害者でも加害者でもない第三者として見ると、
胸のすくような爽快感が味わえ、
かつ、そのことに罪悪感を余り覚えない、
そんなジャンルのようです。
この映画では、フランクを執拗に追いかける
ユーモアセンスゼロ…のところが妙にユーモラスな男、
FBI捜査官のカール・ハンラッティ(トム・ハンクス)との絡みもあり、
良質な娯楽作品に仕上がっています。

店の経営が順調だったころは、
「一目惚れした女性をめとり、家庭も大事にするデキる男」として
実にかっこよかったフランク・シニアを演じたC.ウォーケンは、
事業失敗・離婚、と転落していくうちに、
何ともみすぼらしく情けないオッサンになってしまいます。
彼はこの演技で、アカデミー賞助演部門にノミネートされました。
ここ5、6年、この人どっか壊れてるんじゃ……と思うほど
仕事の選び方が妙だったので、
(ファットボーイ・スリムの“Weapon of Choice”のビデオクリップで、
ハンガーが肩に入りっ放しなんじゃなかろうかと思うような
妙な動きで踊っていたあの方は、
何とも言えずにキュートではありましたが、やっぱ変)

そのニュースを聞いたときは(映画を見る前でしたが)
ああ、やっぱり名優はクサってなかったんだと思ったのに、
実際見てみたら、「奥の深い人だなあ」
褒めてんだか貶してんだかわからない感想が
頭に浮かびました。
私から見ると、同時期にラジー賞にノミネートされた
『カントリー・ベアーズ』での演技と同様、
「渋い怪優の一表情」でしかないんですよね、悪い意味じゃなく。

しまった……
「ふだんはしょぼしょぼの彼も、映画で見るとス・テ・キ」
という結論を導こうとしたのに、
結局、
「ことし60歳になったウォーケンから、まだまだ目が離せません」
という方に、スペースを割いてしまいました。

ま、そういうことで、おすすめです。
長い割に無駄のない演出にも感心しました。
「積極的に貶そう」という気持ちを一旦どこかにしまっておけば、
かなり楽しめる一品です。


2003年10月24日(金) すべての映画は10代のうちに見るべきだ!

タイトルは「真剣10代しゃべり場」のテーマのようですが、
内容は、あの番組の一連の流れよりは穏健ですので、
ま、読んでやってください。

とはいえ、土台無理な話なんですよね。
人間、死ぬまで10代でいられるわけではないから。
(ブライアン・アダムスじゃあるまいし、永遠に18歳ってわけにもいかん)
でも、事情が許すのならば、
10代の映画ファンには、ちょっとでもひっかかった作品は
全部見てほしい、とおばちゃんは思うのです。

ビデオ・DVDが非常によく普及している今日、
A級B級問わず、旧作もじゃんじゃん見ればいいし、
15禁・18禁の映画を13、4の子が見ることも可能です。
実際には「見てはいけない」ことになっているのでしょうが、
これくらいの“こっそり”ならば、
向精神性薬物に手を出すよりは健全だし。


時々、映画関係の各種のウェブ掲示板で、
いかにもティーンっぽい文体で、
「『○○』って今まで見た中で最高!」というような、
技巧もない分嫌らしい衒いもない、そんな書き込みを目にします。
年だけ食っている当方としては、
その『○○』に当てはまる作品というのが
既に見て「凡作・駄作」で片づけていたり、
または、「見る価値なし」と勝手に切り捨てていたり、
そんなものが結構多いのですが、
10代のうちに、そういう作品に対して
そういうアカラサマな感想を述べるのもまた
大事なことではないかと思います。
10年後、20年後に思い出して、
そんな自分に顔を赤らめたり、
時には腹を立てたりということもあるものの、
そんなことすら、
若き日の積み立ての(あるいは借財の)利息、
くらいに思えるようになるのが
どうやら「年食う」ってことらしい…と、最近わかってまいりました。

逆に、10代の頃見て、退屈で退屈で仕方なかったはず、
そんな作品のかけらが頭の片隅に残っていたときに、
改めて作品と向き合ってみたら、
なんだ、こんな名画だったのか!と思えるというのも
ポケットの中に偶然あった飴のような喜びがあります。
(ささやか過ぎるぜ…)
「もっかい見て、もっかい退屈」というのもアリですが、
ま、仕方がないです。
人間、年齢に左右されない嗜好というのも絶対にあります。
多分、持ち前のものなのでしょう。

それが幸いだったかどうかは別として、
人生を変えてしまうような1本に出会うこともあります。
この映画を10代のうちに見たら、
ヤバいくらいハマっていたろうなあ…と、
30過ぎの頭で思うような映画作品です。

個人的には、例えば次のような作品ですが。

恋人までの距離
27or28で初見(ビデオ)
15歳くらいで見ていたら、
これが「デートの究極」になっていたことでしょう。
でも、私はジュリー・デルピーみたいな
小粋なフランス娘ではないし、
イーサン・ホークみたいな(美)青年は滅多にいないし、
ウィーンには、この年齢になってもまだ行ったことがありません。
「お若い人はいいわねぇ」と思える年齢で見られたのが
幸か不幸かって感じです。
……イーサン・ホークと私は実は3つしか違いません。
とはいえ、21で結婚し、22で最初の出産をした私には、
20代半ばの時代というのは、
いわゆる「若者」としての実感がありませんでした。


チャーリング・クロス街84番地
30歳の誕生日に初見(ビデオ)
私にとって、現在、心のヒットチャートナンバー1作品です。
多分、18、9で見てもそう思っていたことでしょう。
「NYに行って作家になって、ロンドンの古書店主とプラトニックラブ!」
これを人生の目標に据えるって、ちょっと早まり過ぎ。

アメリ
32歳で初見(劇場)
これはヤバいっすよー。
豆袋に指を突っ込んだり、
気に入らないオッサンに過度に復讐心を燃やした上、
実行しちゃったりする
迷惑な娘になっていたでしょう。
(影響受けやすい年齢で見たからって、あの辺の描写を
無分別にマネするのは、ただの阿呆なお調子者ではありますが)


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