■映画の感想です。映画館で観たもの中心。普通にネタバレしてるのでお気をつけください。
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2013年06月03日(月) 「言の葉の庭」

これは…すごく…新海誠です…!!! なんかもうほんとうにザ・新海誠って感じの作品だったので、前作『星を追う子ども』でちょっと違うなーとモヤモヤしてしまった人も今回は観に行ったらいいと思うよ!『秒速5センチメートル』が好きならたぶん楽しめる。話に共通性は全くないけどテイストが似てるというか、こう、オタクの純情を絶妙に突いてくる感じ。それと映像クオリティが半端なく素晴らしいので、既にiTunesとかで配信されてるしディスクの状態でも入手できるけどできれば映画館の大きいスクリーンで観るのおすすめです。不快極まりない東京の梅雨がこんなに美しく表現された作品を私は他に知らない。

舞台は梅雨の西東京。新宿御苑の東屋で偶然出会った高校生と謎めいた年上女性との年の差純愛物語です。二人は名前も素性も知らないまま雨の日の午前中だけ逢瀬を重ね…といっても色事的な意味ではなく、ただ一緒にいて時折とりとめもない話をしたり、そうして次第に心を通わせていく。
個人的に年の差恋愛ものが好きだということもあるんだけど、それ以上にとにかく映像が美しくて引き込まれました。雨がモチーフということでいろんなタイプの雨(霧雨や梅雨特有のしとしと雨やゲリラ豪雨など)が描かれ、どれにもちゃんとそれぞれの質感がある。ただリアルで細かいということではなく水滴の動く感じとか光の差し方とかがもう芸術的にきれい。もともと定評があった背景の美しさが前作からさらにレベルアップ、というかもはや背景の域を超えている。そこにいる人物込みで一枚の絵のような。

『秒速』とテイストが似てると最初に書きましたがだからといって昔の新海誠に戻ったという印象はあまりなく、むしろ今作は過去作のいいとこ取ってさらに伸ばした集大成のような気がしました。これはジブリ映画ですかと真顔でつっこみたくなる『星を追う子ども』は新海作品としては違和感あったけどあの作品で展開された作画&背景の美しさやキャッチーなキャラデザは今作にきちんと引き継がれているし、なんとなくフィーリングで突き進みほとんど「One more time, One more chance」のイメージクリップと化していた『秒速』からもテーマ曲に合わせたカット割りの手法や場の盛り上げ方が生かされている(『秒速』は先に山崎まさよしのあの曲ありきの印象だったけど今回はまずちゃんとストーリーがあって、そこに曲を効果的に使ってる感じがとてもいい)。加えて繊細な視点で切り取った日常風景とか男女のモノローグ応酬とか監督従来の持ち味もバランス良く配合され、集大成・ザ・新海誠な作品になってるんじゃないかなーと。
それに『秒速』は一番いいシーンでストンと落とされてしまったからね…!(いやそこが切なくて好きなんだけど!) 今回は盛り上げてほしいところで素直にガーッと盛り上げてくれるので感動しつつも意外だった。あと主人公のタカオくんが靴職人を目指している関係でヒロインユキノさんの足を触らせてもらうシーンがあるんだけどこれが思いの外エロス…!別にえろいこと何もしてないけど新海アニメでこういう場面が出てくることも意外でありました。そして最後に仕上がった靴がとても素敵で、ほんとにユキノさんに似合いそうなデザインだった。そういえば家出中のタカオくんのお母さん一回り年下の恋人がいるって言ってたけどユキノさんもタカオくんの一回り上なんだよね。さりげないけどなんか説得力のある設定だ。

それで主題歌が大江千里「Rain」てとこがもう…!厳密には秦基博さんのカバーだけどどんぴしゃ大江千里世代なわたくしにとってはたまらない選曲でしたよ。まさしくタカオくんくらいの年に聴いてたんだよなあ懐かしいなあ。

あと同時上映の『だれかのまなざし』も地味に良かった…!後半ちょっとうるっと来た…!これ野村不動産からの委託で作った短編らしいけど普通に新海アニメな雰囲気でしたよ。監督猫好きだよねー。自主制作の猫のやつを思い出しちゃった。あれ好き。5分足らずの超短編だけど私の中ではあれが新海誠の原点というイメージ。
・『彼女と彼女の猫』(※今はネットで無料公開されてます)
→ http://shinkaimakoto.jp/hercat

久々に見てみたらやはり時代を感じるな画面サイズや携帯電話の形状あたりに…(笑)。制作は1999年、って14年前か!

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言の葉の庭

2013年 日本
監督・原作・脚本:新海誠
声の出演:入野自由、花澤香菜、平野文
(劇場鑑賞)


2013年06月02日(日) 「名探偵コナン 絶海の探偵(プライベート・アイ)」

お、面白かった…!最近映画館に行く気力がなくて今年のコナンはもうDVDでいいか…と弱気になってたんだけど、頑張って行ってよかった!楽しかった!
今年の舞台はイージス艦。コナンたちが体験航海に参加したイージス艦内で国家レベルの危機が訪れる話なんだけど、防衛省海上自衛隊全面協力ということで(イージス内の)描写はなかなか本格的だった。まず冒頭の対空戦闘訓練からしてものすごい緊迫感…!固唾を呑んで見守ってしまったよ!イージスすごい。海の防衛って今まさにタイムリーな話題でもあるし、大人にとっても見応え十分だったと思います。というか逆に小さなお子様にはちょっと難しかったんじゃなかろうか。そもそもが国防の話だし専門用語も飛び交ってたし果ては防衛省の内部組織にまで話が及び、またスパイが一体何をしたかったのかなぜこれが国の危機なのか、そこらへんきちんと理解するにはある程度の知識が必要ですよね。

脚本を手がけたのは相棒シリーズの櫻井武晴さんと聞いてすごく納得。外部脚本はたぶん6作目の『ベイカー街』以来かな?いつものコナンとちょっと違った雰囲気で良かったと思います。ただファン目線で見ると、雰囲気違う部分を物足りないと感じることもあるかもしれない。たとえば今回コナンの超人アクションがスパイを倒すときのみでしかも例年に比べて控え目だし(いや常識的に考えると十分派手ですが(笑)ジェット機操縦したり国立競技場の天井骨組みをスケボーで疾走したりする過去作に鑑みてやや劣るという意味で)、それに蘭ちゃんのピンチに自ら駆けつけていない点が残念といえば残念!コナンの着想で助かったことに変わりはないけど実際助けたのは救助隊の人だし結局すごいのはイージス艦だし(笑)(ほんとにあんなことできるのか???)。同じ外部脚本だった『ベイカー街』は故・野沢尚さんによるもので(2002年公開)、さすがストーリーとしてきれいに構築されていて私は結構好きなんだけどファンの間では賛否両論なんだよね、コナンらしさに欠ける側面も否めないから。そのどっちの気持ちもわかる。そんな感じ。

でも久しぶりに「新一ぃぃぃぃ」「らあああああん!」な展開は素直に嬉しかったしときめいた…!つうかあの二人は最後のトロピカルランドでどれだけ濃密なデートをしたんですかこっぱずかしい胸きゅんエピソードが後から後から後から追加されていくけども!(笑) そして蘭ちゃんのピンチは泣けた。『沈黙の15分』のときもハラハラしたけど今回はそれを上回る切なさだったよ…!おまけにそこの一番いいシーンで青山原画が来たのでもう…!感無量でした!!!

そうだ泣けたといえば余談ですが、かねてより青山先生が明言していたルール「コナンは泣かない」が今回覆されたかと思ってすごいびっくりしたんですが、あれ別に泣いてるわけじゃなかったんですね。よかった…
http://movies.yahoo.co.jp/interview/201304/interview_20130415001.html

ということで楽しかったんだけど、やはり最近のコナンはアクション映画・パニック映画になってしまっているので、初期の劇場版みたいなミステリ主体のストーリーもそろそろ観たいなーと、毎年思ってることを今年も思いました。個人的には一作目の『時計じかけの摩天楼』がいまだ原点にして頂点だと思う。あれはミステリものとしても各キャラの活躍ぶりも工藤新一の存在感もラブコメ度合いも全て申し分なかった。
あと来年の劇場版の前にルパンとコナンのコラボ映画が観られるそうで、そっちも楽しみ!以前放送されたテレビスペシャルすごい面白かったし期待してます。



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名探偵コナン 絶海の探偵(プライベート・アイ)

2013年 日本
監督:静野孔文
声の出演:高山みなみ、小山力也、
山崎和佳奈、山口勝平
(劇場鑑賞)


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