稀春の日記
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| 2005年05月21日(土) |
こうの史代『夕凪の街 桜の国』 |
なんだか前回の日記から一年以上、放置されてますね。むむむ。たまには何か書かなきゃ。……ってことで、最近のオススメ本を書いてみます。
それは、もうタイトルに書いてありますが、こうの史代さんの書いた『夕凪の街 桜の国』という漫画です。出版社は双葉社というところ。
この本は、表紙の写真をどこかで見て「絵が良いなぁ」と惚れ、本屋に注文して買いました。で、届いて、読んでみて、こうのさんの世界に没頭してしまいましたよ。もう、今まで読んだ中でもベスト3に入る漫画ですね、これは。ちなみに、ベスト3のもう一つは、宮崎駿『風の谷のナウシカ 1〜7』徳間書店(アニメではなくて、漫画版のナウシカです)。そしてもう一つは……う〜ん、今のところ、この二つに並べられるものが思いつきません。
さて、この『夕凪の街 桜の国』は、いわゆる「ヒロシマ」に関連した話しですが、物語は原爆投下の10年後から始まります。原爆の直接的な話しではなくて、間接的な影響を描いた話し――言ってみれば、水に石を落とした時の状況ではなくて、その後に広がっていった波紋を描いた話しです。恋あり、ギャグあり、涙あり……と、普通の人々の日常生活を描きながら、戦後数十年にわたる原爆の波紋をも静かに描いています。 ちなみに全体は、「夕凪の街」「桜の国(一)」「桜の国(二)」という三篇から構成されていて、それぞれ、昭和三十年、昭和六十二年、平成十六年の物語となっています。短編の集まりですが、三つで一つの物語になっている、と言えるくらい、それぞれのつながりは深いです。
この漫画は密度が高くて、さらっと読むと気がつかないような伏線とか小道具とか再登場人物とかがちりばめられています。(少なくとも私は、この漫画の分析をインターネットで読むまで気がつかなかった伏線等が結構ありました)。何度も読み返して、そういったことを読み解くのも、この漫画を読む楽しみの一つだと思います。 また、スクリーントーンを全く使わずに描かれた精密な(でも、素朴でほのぼのとした)絵も素敵です。じっくりと、絵を「読む」ことのできる漫画ですね。漫画というとサラサラと読んでしまう人もいるようですが、この本はそんな読み方をしたら勿体ないと思います。
ここで、あらすじを書いたり物語の構成を分析したりするのも(面白いのですが)野暮なので、書かないでおきましょう。(本当は、「ここの場面の移り変わりが美しい!!」等々、熱く語りたいところが沢山あるのですが(笑))。
とにかく、気になった方は読んでみて下さい。私は感動しました。
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