出向コージ苑

2003年12月31日(水) 年越し

2003年最後の日は、エンジェル先生を招待して夕食会。
大晦日のアメ横ならぬ、
中央市場へ買出しに出かけた。
日本ほどではないにせよ、
じゅうぶんに混雑した中を、
スリに気をつけつつお買物。

ここの材料では、さすがにおせちは作れないが、
少しでも日本風にしようと苦心惨憺した結果の、
今日のメニューは以下のとおり。

キュウリとニンジンの糠漬け
セロリと塩昆布のサラダ
ナスのオーブン焼き、辛味ソース
ひじきと豆の煮物
ゆで豚、味噌だれ付き
鮭とイクラのちらしずし
年越しそば

我ながらがんばったぞコージ苑。
もちろん、七味屋氏も下ごしらえを手伝い、
その後は掃除機を持ち出して自宅を掃除。

※※※※※

食べつつ飲みつつ喋りつつ、
大晦日の夜をのんびり過ごした後は、
旧市街へ繰り出して年越しカウントダウン。

暖冬とはいえ、さすがに少し凍った道を、
用心しながら歩いて着いた広場には、
コンサート用の舞台と、大きなスクリーン。
大統領の演説が中継されるそうだ。
集まった人々は、それぞれ花火やシャンパンのビンを持ち、
2004年の瞬間を今か今かと待ち構えている。

大統領の演説が終わると、
スクリーンには秒針つきの時計が映される。
後30秒、20秒、10秒…を過ぎたあたりから、
広場中の人々が、声を合わせてカウントダウンを始める。

そして0:00、2004年おめでとう!
シャンパンが開けられ、グラスが音を立て、
周りの人が歓声をあげたと思った瞬間、
すぐ背後で爆発音。
目の前にある博物館の屋上から、
次々と打ち上げられる花火は、
冗談でなく頭の上に降ってきそうだった。
旧市街のあちこちで、同じように花火があがる。
まさにお祭り騒ぎである。

コージ苑達は早々に帰宅したが、
その夜は市内のいたる所で、
市販の打ち上げ花火が音を立てていた。
時々サイレンの音も混じっていたので、
おそらく小火騒ぎぐらいあったのだろう。
元旦の町中は、きっととんでもなく散らかっているに違いない。



2003年12月30日(火) 年越しコンサート

ウィーンフィルのニューイヤー・コンサートならぬ、
R市交響楽団のニューイヤーズイブ・コンサート。←長い

このコンサート、市民に大層愛されているのか、
3日間の座席はほぼ完売。
(エンジェル先生がどんな手を使って入手したのか、
それは彼のみぞ知る。)
会場は、ハンザ都市だった頃使用されていたという大ギルドの、
最上階にあるコンサートホールである。

席に着いて落ち着く暇もなく、
隣に座った老人につかまって英会話地獄である。
この歳にしてはえらく流暢な英語を喋る、と思っていたら、
その老人は第二次世界大戦が終わる直前に、
L国からドイツ、さらには大西洋を渡って、
長らくアメリカで生活していたそうだ。
かの地で生まれた子供二人も独立し、
83歳になった去年、母国に帰ってきたという。
この人一人で、小説が書けそうだ。

本日のプログラムは、
指揮者をウィーンから迎え、
かつ本家に倣ったのか、
まるごとシュトラウスである。
いいねえ、気分出るねえと、お隣の老人はご満悦。
コージ苑も、シュトラウスは嫌いではない。
お決まりの「あれ」は出るか?

指揮者は若手だったが、
それが今回のコンサートでは良かった。
なにせシュトラウス。
そして親子連れの多い客層。
彼の元気の良い指揮は、雰囲気にぴったり合っていた。

最後の曲が終わると、拍手の嵐。
「アンコールを聞かないうちは絶対帰らないぞ」コールである。
3回目に出てきた指揮者君、
タクトを取り上げて、あの有名な曲のイントロを1小節…
で止めて、客席をふりむき、オケと合わせて
「来たる2004年に、おめでとう!」
(L国語だったのでよく分らなかったが、
多分こんなセリフだったのだろう)
客席からはもう一度、大きな拍手。
うーん、いやが上にも気分が盛り上がるなあ。

で、やっぱりアンコール1曲目は、
「美しく青きドナウ」(リピート省略バージョン)。
それでも観客は指揮者を許さず、
結局もう一曲、短いのを演奏させて、
やっとのことでコンサートは終了したのである。

L国ではオペラやバレエが多くて、
純粋なクラシックコンサートには随分ご無沙汰だったが、
こうして行ってみると、
生の音楽に全身どっぷり漬かるのは、やっぱりいい。



2003年12月29日(月) 今日って

12月29日は、
年末のそわそわした気分はするが、
本格的な正月の準備をするには早すぎるように思えて、
結局何も手につかない一日になるのが、
毎年のコージ苑のお決まりである。

例年どおり、今年も何にもしなかった。
めでたい。



2003年12月28日(日) 無垢な人

七味屋氏のドイツ語の先生に、
赤ちゃんが産まれたそうだ。
なんと出産の前日まで授業をして、
夜に病院であっさり赤ちゃんとご対面、
翌日には自宅に戻っていたという。
欧米では、出産に伴う入院の期間が短いとは聞いていたが、
それでケロリとしているあたり、タフだな〜と思ったり。

「見にいらっしゃい」といわれた七味屋氏にくっついて、
コージ苑も先生のご自宅におじゃま。
今日の主役は、アパートの一番奥の部屋で、
すやすやと眠っていた。

コージ苑、個人的には、
生後数ヶ月までの赤ん坊は、
東洋人の方がかわいいと思う。
それはおそらく、毛の色に起因しているものであろう。
ほら、東洋人の髪の毛は黒いでしょ?
当然まゆげとかまつげも黒いわけで、
なんというか、顔のパーツの区別が明確なのだ。
出産直後の西洋人の赤ちゃんは、
大抵ブロンドなので、まつげなしまゆげなしに見える。
当然髪の毛も少ないので、余計つるつる坊主なのだ。

しかし、それは見かけの問題で、
顔の骨格はやはり、産まれた時から西洋人。
一人前に、鼻筋が通っているんだ、これが。
できたてのほやほやのくせに、
コージ苑より鼻が高いぐらいだ。くそう。

何だかんだいって、ラウラちゃんはかわいかった。
夢でも見ているのか、
時々小さい指をふにゃっと曲げてみたり、
溜息らしきものをついてみたり。
赤ちゃんを見ていると飽きないというけれど、本当だわ。

しかしこの時期に、
ツリーのある部屋で西洋人の母子が並ぶと、
雰囲気でるなあ。

※※※※※

赤ん坊を見てほやほやっとなったところで、この一本。

「ローマの休日」
デジタルリマスター版(理屈はよく分らない)入手。
ヘプバーンのかわいらしさとウエストの細さにうなり、
グレゴリー・ペックの色男っぷりに口元をゆるめ、
楽しげなローマの風景を見て、
春にローマで開催される学会への参加を決意する。



2003年12月27日(土) 「初めて」は無し

エンジェル先生が観たいとおっしゃるので、
七味屋氏で「コーリャ」を観る。
コージ苑、この映画はもう何度目だろう。
良い映画なので、別に何回見ても良いけれど、
今日は何か一つでもチェコ語がわかるか、
聞き取りに挑戦。
(字幕は見たけど←当然である)

結果。
やっぱりスラブ語である。
未だノミ程度の、コージ苑のスロ語力でさえ、
理解できた単語がいくつかあった。
正直言って、ちょっとばかり嬉しかったです、はい。

※※※※※

こういう日もあるさ。
今日の映画は、観たことあるものばっかりだった。

「風の谷のナウシカ」
ジブリマニアであるところの七味屋氏は、
コレクターズボックスとかいうものを買っており、
それにはナウシカのフィギュアがついていたそうだ。
しかしコージ苑的には、
オウムのフィギュアの方がそそる、と思っている。
あのフォルムは、オブジェにしたら美しいに違いない。
(↑やっぱ、こいつマニアなんじゃ…)

「少林サッカー」
この映画はまさに、フレンチ嬢の言う、
「捨て身のこれでもかギャグ」。
ビンで頭を殴ったり、パンツを頭にかぶらせたりと、
かなりえげつない箇所はあるものの、
結局見せ場で笑ってしまう自分に気づく。
これって品性疑われるかしら。
デビルチームのFW役をやっていたお兄さんは、
本物の少林寺武闘僧(名称うろ覚え)なんだって。
ちょっとかっこいいなと思っていたんだけど、
役者じゃないのか、残念。



2003年12月26日(金) 開眼?

アニメといえばジブリ一本槍の七味屋氏。
一方コージ苑は、押井守とか大友克洋とか、
絵はリアル、ストーリーは緻密かつぶっ壊れ系が好みである。
破壊シーン?OKOK。
内臓出ちゃう?平気よ、ストーリーがあれば。
キャラがかわいくない?いいっすよ、別にロリコンじゃなし。

こちらにとってあちら系は許容範囲なのだが、
あちらにとってこちら系は非許容範囲らしい。
曰く、分りにくい、気持ち悪い、生々しい。

というわけで、住む世界が違うのだと、
半ば諦めていたところ、
2003年も終わろうかという今頃になって、
彼はふと「その気」になったらしい。

「あれ、もう一回観てみようかな」

「あれ」とは当時、世界的に評判になり(マニア限定)、
「マトリックス」のコーエン兄弟にも影響を与えたという、
士郎正宗原作、押井守監督の「あれ」である。

ということで、本日のDVD2本勝負。

※※※※※

「Ghost in the shell」
広義に、生命とは何か、というテーマを扱ったお話には、
個人的に惹かれるものが多い。
難しいことは分らないけれど、
後でぼーっと考えられるから。
『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』もそうだったし、
(映画「ブレードランナー」は観た事ないんだよな…)
そういえば「AKIRA」も、
超能力メインだが、テイストは同じ。
吉野朔実の『エキセントリクス』も、
「記憶が個人を限定するか」というお題だった。
それに加えて、押井作品独特の空気が流れればもう完璧。

…コージ苑、まるっきりマニアみたいじゃん。
(違いますよ、私は『○え単』なんて買いませんから)

「マイライフ・アズ・ア・ドッグ」
ラッセ・ハルストレム監督の出世作。
主人公の独白に度々出てくる言葉、
「ライカ犬のことを考えれば、僕は幸運だ」、は、
観終わった後にじわじわと効いてくる。
こういう、淡々とした語り口調が、
この監督の真骨頂なのではないか、と思うが、
最近の作品からして、どうも違う方向に行きつつあるような…



2003年12月25日(木) クリスマス

本チャンです。
最近は「メリクリ」というんですか。

クリスマスを祝って、
昨夜七味屋氏と飲み明かしたため、
ひどい二日酔いに苦しんだコージ苑、
午後になってやっとベッドを這い出し、
1時間風呂につかってアルコールを蒸発させ、
何とか人間らしいモノに戻ったのが午後3時。

真面目なクリスチャンに真面目に説教されそうな、
そんなクリスマス。

※※※※※

まともに出来た唯一の活動は、
DVD鑑賞である。

「シッピング・ニュース」
劇場でも観た映画なので、
新鮮さを期待することはできなかったが、
これはとにかく原作が良くて、
それをハルストレム監督が映像化。
和むよね、とにかく。



2003年12月24日(水) クリスマスイブ

イブに体調崩して、
一日ベッドにいる羽目になったコージ苑。
どうやら、昨夜ワーグナーにたてついたバチがあたったらしい。

三つ子の魂百まで、ということわざがあるが、
コージ苑の場合、そのソウルは風邪っぴきの時に表れる。
じっと寝ていられないのだ。
「肩を冷やすな」「寝てろ」と怒られつつ、
本を読み、テレビを眺め、また本を読む。
そして一日の終わりに「頭が痛い」と訴えるわけだが、
母親はさすがに的確にその原因を見極め、
「だから本を読むなと言ったであろう」と、まことに冷たかった。

ま、それはそれとして、
百になってもなおらないという習慣が、
三十そこそこで無くなるわけないよな。

※※※※※

平岩弓枝『妖怪』 文春文庫
中学校で習いました、「天保の改革」の時代。
水野忠邦の右腕ともなり、改革の実行にあたった人物が主人公。
その父は昌平坂学問所の祖である、当代最高の知識人。
学問の一家に生まれ育った彼が、
「むいていない」と言いつつ、官僚への道を進む。
改革が失敗すると、すべての責任は彼に負わされ、
追放の処分をくらってしまうわけだが、
圧巻はその後の生活ぶり。
作品全体からすれば、ほんの一部に過ぎないこの個所に、
コージ苑はほれちゃったのだ。

※※※※※

DVD「十二人の怒れる男」
「優しい日本人」観たからね、
こっちも思い出しとかないとね。

「バグダッド・カフェ」
今さら言うこともないでしょう。
完全版なので、コージ苑が知らないシーンもあったりして、
初めて観る映画のように、といったら言い過ぎだけど、
とにかく面白かったっす。

※※※※※

こういう事しましたが、
明日は良くなりますように。



2003年12月23日(火) もりだくさん

天皇誕生日ということで、おめでとうございます。
お祝いの気持ちをこめて、今日はいろいろやってみました。

→納豆を作る。

コージ苑、欧州で仕事はじめてから、おなかの調子がよろしくない。
これは絶対納豆不足のせいだ、と思うに至って、
納豆作りに挑戦することになった。
結果は明日になってのお楽しみ。

→DVDを見る。

本日の映画は「パルプ・フィクション」。
どこが「お祝い」やねん、という突っ込みもあるでしょうが、まあそれはそれ。
「さっぱり分らん」と憮然としていた七味屋氏、
この映画にあまり意味を求めない方が…
とにかく音楽が良いよね。

→オペラを観る。

エンジェル先生も交えて、「さまよえるオランダ人」を鑑賞。
この国のオペラはやっぱり前衛的な演出を施していた。
驚いたのは、字幕で英語が併記されていたこと。
EU加盟も決まって、いよいよ国際化(?)のL国である。

恒例、ストーリーはこちら。

第1幕。
場所はノルウェー人の船長率いる船の中。
後少しで帰れるところなのに、困ったことに風がない。
(ここで「ナウシカ」を観たばかりの七味屋氏が、
大喜びでばば様の真似をするので蹴ってやった)
そこへ「さまよえるオランダ人」登場。
彼は何の因果か、七年ごとに世界の海をさまよう運命にある。
一箇所に落ち着くための条件は、
こういう場合にはおなじみの「アレ」である。
「生涯彼を愛しぬく女性を見つけて妻にすること!」
ノルウェー人の船長に、
自慢の娘がいることを知った彼は、
「船の宝をやるから、娘を嫁にくれ」と提案。
船長、お宝に目がくらんで、これを承知してしまった。
船は、一路ノルウェーへ。

第2幕。
船の帰りを待つ女たち。
わいわいきゃあきゃあとかしましく働いている中で、
船長の娘だけは、浮かない顔をしている。
彼女は、何と壁の絵に描かれた、
「さまよえるオランダ人」に恋をしてしまったのだ。
んなことあるかい、と言うなかれ。
あなたにもあったでしょう、
アイドルやらアニメやらに恋した時期が。
そんな彼女に、恋人は苦悩する。
そして、こんな夢の話をする。
「船が戻ってきて、君はお父さんを迎えに行くんだ。
でもさ、お父さんは男を連れていて、
そいつが君をどこかに連れて行ってしまうんだよ」
何とも不吉な内容。
彼に構わず絵に構う娘なのであったが、
そんな痴話喧嘩の最中に、船が戻ってくるのだ。
そして夢の通り、船長は男を連れて帰ってきた!
さらにその男は、娘が恋する「さまよえるオランダ人」だった!!
ワーグナー、そんなんあり?

第3幕。
オランダ人との国際結婚を承知した娘。
しかし、元カレがそんな話に納得するわけもない。
嫌いになって別れたんじゃない、
娘も強気に「あんたなんか、フン」とつれなくすることが出来ない。
かつての恋人同士のそんな様子を見て、
オランダ人は(なぜか)絶望する。
「望みは絶たれた!もうだめだ!」
ここら辺、字幕を読みきれなかったのか、
コージ苑にはどうもわからないのだが。
結婚するって言ってんじゃん。
んでもって、それを撤回するなんて一言も言ってないじゃん。
なんで絶望する必要があるのさ。
…まあ、とにかく嘆き悲しんだオランダ人は、
海に身を投げてしまうんだが、
それを見た娘さん、彼を追ってやっぱり身投げをしてしまう。
で、二人の魂は浄化されて、天国に行きました。
悲しいながらも、めでたしめでたし。

コージ苑個人的には、
何とも消化不良の感のあるオペラであったものの、
久しぶりの観劇は優雅な気分にひたれてよかったでしゅ。



2003年12月22日(月) 時代劇フェア

日中暇だったので、とりあえず読書。

藤沢周平『蝉しぐれ』 文春文庫
お家騒動が原因で、ある武士が切腹を命じられた。
家名は断絶、残された母と息子はそれまでの家を追われ、不遇をかこつ。
息子は幼馴染の女性への想いを残しつつ、
剣で名をあげ、家の再興をはかる。
…という筋、乙川の『蔓の端々』と『喜知次』を思い出させる。
もちろん、こっちのほうがずいぶんと先に書かれたもの。
作品中に示されるイベントが似ていると、
それに対する作者の切り口、テーマの選択などの違いが際立って面白い。



2003年12月21日(日) やっぱ和食でしょ

コージ苑のかつての職場、
L国の某大学に現在勤めている先生とお会いすることになった。
その先生は、コージ苑の母親ぐらいの年齢。
世界のあちこちに行っており、各国の料理をご存知だが、
この国での外食経験はまだあまりない。

こういう状況で、あなたはどういう選択をするか。

1、L国の伝統料理に定評があるレストラン、ちょっと高め。
2、L国料理、ただしお互いの懐具合を鑑みて、セルフのチェーン店。
3、日本人なら和食でしょ、高いけど寿司でもどうですか。
4、和食よりちょっとお手軽、中華料理で攻めてみる?
5、食べるより飲め、いっそパブ。

本日のコージ苑は、「3」を選んだ。
包み隠さず正直に言うなら、
相手のことは全く考えず、ひたすら自らの欲望に従って。
だって寿司食べたかったんだもん。
スロの和食レストラン、手が出ないんだもん。

神様ごめんなさい、コージ苑はずるい人間です。
・・・と、クリスマス前に懺悔して許してもらいたい心境。
プロテスタントの国の神様が、
どれほど寛容に許して下さるかは微妙なところだけど。



2003年12月20日(土) DVDマラソン

今年のL国は、ちょっとおかしい。
12月も半ば過ぎだというのに、
未だに0度を割っていないとはどういうことだ。
これじゃあ、出てくる前のスロの方がよっぽど寒かった。
期せずして、微妙な避寒になっているあたり、
(あまり嬉しくもないけど)ラッキーなコージ苑である。

とはいえ、冬のL国のどんよりっぷりは、
去年日記でお伝えした通り。
七味屋氏所蔵のDVDを観たおすことにして、
さっさとカウチポテトを決め込んだL国一日目。

「12人の優しい日本人」
トヨエツ最高ー。
・・・いきなりミーハーらしくいってみました。
モチーフになっている「十二人の怒れる男」を知っているとなお良し。
コージ苑、忘れてしまった部分も多いので、
近いうちに見直そうと思う。

「ショコラ」
ジョニー最高ー。(すいませんすいません)
ホットチョコレートにチリパウダーっていうの、
そこら辺で売ってるのでも出来るのだろうか。
ちょっと美味しそうな響きがするのだが、いかが。



2003年12月19日(金) なぜか

(註)11月21日から昨日までの分、
日記そのものは書いているんですが、
それを保存したフロッピーを自宅に置き忘れてきたあほなコージ苑です。
年明けの帰国後、まとめてアップしますので、
とりあえずはクリスマス休暇の顛末から。

※※※※※

身支度完了、荷作り完了。
しかし、仕事未完了。

というわけで、空港に向かうギリギリまで、
大学でマック開いていたコージ苑だった。
日本から旅行客がふらりと現れたりしたが、
「ごめんね、今かまってられないの」オーラをそこら中にまき散らし、
同僚に慌しく年末の挨拶をし、
空港行きのバスに飛び乗った。

一ヶ月ほど前、ふと思い立って、
C航空のマイレージカードを作っておいた。
ほとんど欧州限定の航空会社だし、
マイルを貯めても使う機会があるかどうかはアヤシイところだが、
「貯」と名のつくものには手を出してしまうあたりが、
なんとも悲しい貧乏性なのである。

案内された席は、機内後方だった。
離陸したあたりで、前方と混み具合が違うことに気づく。
手渡されたおしぼりも、どうもこのあたりだけみたい。
もしかして。
もしかしてコージ苑、ビジネスクラスに座っちゃってる?

おそらく、ビジネスクラスに空席が出た場合、
マイレージ会員は優先的にクラスアップされるのだろう。
えへ、儲けちゃった、と喜んだのもつかの間。
ビジネスクラスの機内食は、陶器の食器を使っている。
グラスもちゃんとガラス製。
コージ苑、ありとあらゆる粗相(こぼす、落とす、割る等)が心配で、
気楽に食事できなかった。

個人的な結論として、短・中距離のフライトでは、
エコノミーの方がリラックスできます。
どうせ座席の広さも変わらないし。

※※※※※

と、一日中飛行機に乗って、
クリスマス休暇を過ごすべくやって来たのがどこかというと、

L国なのである。

寒いときに寒いところに来る。
冬にコタツでアイス、と同じように、
ちょっと贅沢な過ごし方・・・なわけあるかい!!

じゃあ何で行ったのよ、なんて聞くな。
人生、いろいろあるのさ。

とりあえず、出迎えにきた七味屋氏が夕食がまだだと言うので、
付き合いでレストランに入ったら、ビールが滅法美味かった。
料理やワインはともかく、ビールは迷わずL国に軍配。



2003年12月18日(木) 残業はしたけれど

結局仕事が終わらなかった。
こりゃ、明日の出発ギリギリまで大学だ。



2003年12月17日(水) 小さい自己満足

じゃじゃーん。
本日コージ苑は、文房具屋で、
OHPシートを買うのに、
最初から最後まで、
全てスロ語で通しました。

いばる程の会話じゃないんだけど、
ああ、毎週授業を受けた甲斐があったと、
町の真ん中で、しばし感慨にふけったわけだ。



2003年12月16日(火) ドクター

本日、CSB先生の博士号取得のための、
論文公開発表会が行われた。
この大学ではじめての博士号ということで、
ベケ教授曰く「お祭り騒ぎ」なのである。
コージ苑たち学科のスタッフも聴講の形で参加。
といっても、法務省認定の通訳でもあるCSB先生のこと、
発表会のほとんど全てがスロ語で行われたため、
さっぱりわからなかった。

しかもコージ苑とぶっひー嬢は授業が入っており、
一番感動的なシーン、すなわち博士号認定の瞬間を見逃してしまった。
連ドラの最終回だけ見逃した様で、かなりくやしい。

ともあれ、おめでとうCSB先生!

…自分はいつのことやら。



2003年12月15日(月) 師走だし

ぶっひー嬢に、
土曜日の借金を返した。

なんか、年末って感じでしょ。



2003年12月14日(日) 暖冬?

冗談抜きに、今年の欧州は暖冬らしい。
まず、スロで雪が降らない。
クリスマスも近いというのに、町は灰色である。
L国も今年は川や海が凍らないどころか、
零下になることも少ないとか。
いったい、どうしちゃったんだ。

寒いのは嫌いだが、
冬が寒くないと、春が来ない気がする。
春のために、本格的な冬を待つコージ苑である。



2003年12月13日(土) お茶しましょ

休日出勤して仕事をしていたら、
ぶっひー嬢が現れた。
「わーい、休日出勤仲間だー」と、
一仕事終えた後に、お茶に行く事にした。

店に入って、バッグをのぞいたコージ苑、一言。
「財布忘れた」

お前はサザエさんか。
(結局ぶっひー嬢に借金しました)



2003年12月12日(金) 美容院

海外で美容院。
初体験である。
いい加減伸びた髪を切って、
しかもパーマをかけようというチャレンジャーっぷり。
コージ苑、漢(オトコ)だぜ。

美容師さんへの、コージ苑のオーダー。
「後ろは5センチぐらい切ってください。
パーマはボリューム出すぎない程度に、ゆるめにお願いします」

結果。
後ろは15センチほど短くなっていた。
これはいい、まだ許せる。
髪は伸びるものだ。
問題はパーマである。

研究室に戻ったコージ苑を見て、
ベケ教授が開口一番、

「いやーコージ苑さん、
『番町皿屋敷』に出てくる、
若かりし頃の岩下志麻の髪型みたい」
(※岩下志麻の役どころは、恨みを抱いて幽霊となった女である)

先生…「〜の髪型」の部分を省略してほしかった。



2003年12月11日(木) 体重

木曜日は授業が終わると1キロ減っている。
疲労度が数字でわかるような気がして、
ちょっとげっそりするものの、
鏡を見ると、にんまり笑う自分がそこにいるのだ。

ま、週末で元に戻るんだけどさ。



2003年12月10日(水) どうしようかな

バーミックスを買おうかと迷い中。
今までの経験上、
迷い中が延々と続いて、
結局買わずに終わると見た。

この優柔不断さをあえて改善しないというのが、
一人暮らしでモノを増やさないための、
コージ苑的秘訣である。
(貯金にも効果的よ♪)



2003年12月09日(火) 休み前プロジェクト

そろそろクリスマス休暇の姿が見えてきた。
コージ苑、休みに向けて気合入れまくりである。
前倒しで出来る仕事は今のうちにやっておこうと、
このところ連日遅くまで大学に居残っている。

休み前だけじゃなくて、
いつもこうすればいいんだよな、とは思うが、
やっぱり馬の鼻先にニンジンは必要なわけで。



2003年12月08日(月) コージ苑、客寄せになる

青空市場で、キャベツのピクルスを買った。
(ドイツでいうザワークラウト)
漬物屋は数件ならんでおり、
それぞれがしのぎを削っている…ようには見えないが、
それなりに商売熱心にやっている。

コージ苑が勘定を終え、
帰ろうとして店に背を向けた瞬間、
店員の声があたりにこだました。

「見てみろ!東洋人もうちの漬物買ってるぜ!」

兄ちゃん、
人を客寄せに使うんなら、
漬物はタダにしてもらおうか。



2003年12月07日(日) 後遺症

なにしろ、ワインは残るのだ。
頭痛い。



2003年12月06日(土) 学科旅行

うちの学科の慰安旅行は、毎年今ごろ行われる。
行き先や宿泊先は、その時によって違うらしい。
しかし、「美味しく飲み食い」というコンセプトは、
毎年共通のようで、
今年もイタリア国境近くの、
ワインの産地として名高い地方へ、
試飲ツアーをしようということになった。

何しろ酒を飲むのだから、
例年は一泊する日程なのだが、
今回は参加者の都合で、日帰りになった。
宿泊費になるはずのお金は、
運転手付きのミニバスをチャーターする資金となった。
これで飲酒運転の心配がなくなったのだから、
先生方の飲みっぷりは推して知るべし、である。

多くは語るまい。
しかし、コージ苑はこの旅行で、
「ワインのテイスティング」の定義を変えた、
というより、変えさせられた。

<今までの認識>
つがれたワインをちょっとだけ口に含んで、
時には「舌の上をころがすように」したりして、
味や香りを確認。
その後は、備え付けの容器にはき出す。
もしくは、一口だけ飲んで、
グラスに残ったものは同じく容器へ。

<これからの認識>
つがれたら残さず飲め。


これで15種類も飲んだら、
そりゃ酔っ払うだろってもんである。



2003年12月05日(金) 聖者が町にやって来た

スロには3回、クリスマスがある。
…と言ってしまうと語弊があるが、
とにかく12月に、「嬉しい日」が3回やって来る。
一回目のそれは、12月6日の、聖ミクラウシュの日。
(他の国ではニコラウスとかになるんだろうか)

昔々あるところに、偉いお坊さんがいました。
彼は貧しい人々、とりわけ子供たちの味方でした。
良い子にはチョコレートやオレンジを、
そうでない子には、木の枝で出来たムチを。
悪い子のところには、小さい悪魔がやってきました。
子供たちは怖がって、皆良い子にしていたそうです。

この時期になると、パン屋の店頭には、
「小さい悪魔」をかたどったパンがあらわれる。
コージ苑はてっきり猫だと思って昼食に買っていったところ、
事情を知る他の先生方に笑われてしまった。
他にもちょっとしたプレゼントの類が売り出され、
町は一足早く、クリスマスの嬉しい気分にひたっているように見える。

そしてコージ苑達教師にとっても、この日は待ち遠しい。
なんと、大学に勤めるスタッフ全員に、
「聖ミクラウシュのプレゼント」が贈られるのだ。
美味しいお菓子でももらえるのかと期待しつつ、
手渡された包みを開けたコージ苑に衝撃が走る。

ここここれは!
大手スーパーの商品券ではないですか!
ブラボー大学!
ブラボーミクラウシュ!
コージ苑、カトリックに改宗してもいい!!←嘘つけ

ということで、早速出かけてきました、買物に。
買った物は…

クリスマスカード(意外にも財布を悩ませる原因である)
米酢(やっぱり料理によってはこれが欲しいのである)
もやし(やっぱり時々は食べたいのである)
バナナ(もはやコージ苑の主食である)

もうちょっと…特別っぽいもの買いませんか、と一瞬思ったが、
もやしは相当「特別」っぽい。

※※※※※

向田邦子『隣の女』 文春文庫
なるほどドラマ。



2003年12月04日(木) 心和ませる

ご存知の通り、木曜日はなかなかハードなので、
午前中で既にグロッキー状態のコージ苑である。
日中唯一の休息時間は、昼食の2時間のみ。
食事といっても、サンドイッチとコーヒーという、
毎度毎度代わり映えしないメニューなので、
お行儀は悪いのだが、おかずに軽い本を読んでリラックスをはかる。
しかし、今日の一品は笑いを誘いすぎて、
危うくサンドイッチをのどに詰まらせ、
コーヒーを気管に入れるところだった。

※※※※※

土屋賢二『哲学者かく笑えり』講談社文庫
何冊も読むとさすがに飽きがくるものの、
油断していると、とんでもないところから奇襲攻撃がくる。
今回、論文の形式をとったエッセイが一本あったのだが、
職業柄、これが一番受けた。
また、著者が英国留学中に友人と交わした
「往復書簡集」も収録されているが…
いや、類は友を呼ぶっていうか。



2003年12月03日(水) 大学の日

今日は「大学の日」。
平たく言えば、創立記念日である。
従って、本日の授業は全面休講。
でも、嬉しくも何とも無いコージ苑。
なぜなら、もともと水曜日には授業がないからである。
ちーっとも得した気にならないもんね。

しかも、結局授業準備のために出勤して、
だらだらと仕事を続け、気づけば夜の7時である。

おおそうか、「大学の日」って、
「今日は大学に一日中いましょう」っていう日だったのか。



2003年12月02日(火) そういえば

ソニックショックでうっかりしていたが、
昨日から12月である。

1年って、本当に早いのねとは、
毎年言っているセリフだが、
やっぱり今年も早かった。

ついでに、師走という名の通り、
うちのベケ教授は走り回っておりますが、
彼に関してはいつものことなので、
ちっとも風物詩にならないのである。



2003年12月01日(月) お休み

月曜日は、受講生が一人しかいない古典の授業。
前にも書いたが、ソニック君はかなりの古典マニアなので、
コージ苑はボロを出さないようにするのが大変である。
従って、授業は2時半すぎからなのに、
11時には出勤して予習をすることにしている。

まずコーヒーでも、と思ってお湯を沸かしている時、
講師控え室の電話が鳴った。
ソニック君だった。
「先生、ソニックです、今よろしいでしょうか」
「はい、いいですよ」
「あの、私は今日、用事がありますので、
授業を休ませていただいても良いでしょうか」
「…あ、用事ね、いいですよ〜」
「何かしておかなければならないことはありますでしょうか」
「あー、じゃあ予習を進めておいてください」
「わかりました、ありがとうございます、失礼します」

…午後6時のスロ語の授業まで、
7時間も時間があまってしまった。
どうせいっちゅうねん。

しかし、お休みになってちょっぴり嬉しかったコージ苑は、
つくづく不良教師である。


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