A Will
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2011年11月23日(水) 苦手なもの。




冷静だったことよりも「やっぱりな」と思ったことが、なんだか笑えた。




自殺未遂をしたと告げられたのに。


わたしは、薄ら笑って「どうせ未遂だと思った」と心底から言った。
死ねるはずない。

ひとりで、死ねるそんな気概のある人じゃない。


なかにし礼のお兄さんは、ちゃんと死んでくれたのに。

わたしのお父さんは、ちゃんと死ぬことさえしてくれなかった。




どこまでも情けなくて、迷惑な人。


助けたりしない。

会いに行ったりもしない。



それを、誰かに咎められて薄情だと罵られるなら、それも構わない。



そうするだけの理由を、わたしは持ってる。

親だから、と助けられる範囲をとうに超えてるし、わたしの人生をわたしが幸せに生きるのに少なくても父親は必要じゃない。それは確かだ。




けれど。

正直に告白するならば。



わたしは今、胸が苦しい。


苦しいよ。





自慢のお父さんが欲しかった。

優しくて、賢くて、強くて。


けれど、それが望みすぎだというなら、普通のお父さんが欲しかった。


それだけだった。
ちょっとカッコ悪くても良い。加齢臭がしたって良い。休日に背中を丸めて情けなく新聞を読む、お父さんが欲しかった。



自殺未遂なんて、聞きたくなかった。



恥ずかしいよ。

わたし、お父さんが恥ずかしい。




誰かのお父さんが、若くして亡くなったりしたのを聞くと思うよ。

どうして、わたしのお父さんじゃなかったんだろうって。

心筋梗塞でも脳梗塞でも、交通事故でも。


どうして?



どうして、わたしのお父さんじゃなかったんだろうって。







いつまで、こんな風に、失望し続けないといけないんだろう。

思い出せば思い出すほど、胸が苦しくならなくちゃいけないんだろう。



家族を思うときに、胸が幸せに灯らないのは何でなんだろう。




意地悪だな。ホントに。



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