ヘルター・スケルター

「仁王くん、＊＊がこの辺りにありませんでしたか？」

　呼ばれて雑誌から顔を上げると、柳生は床に這いつくばってグラビアのようにしどけなく俺を見上げていた。本棚代わりに積み上げたカラーボックスの一番下の段をくまなく漁っている。別に誘惑しているわけではない。何？と構わなげに訊ねる。柳生はもう一度、俺をどきりとさせた物の名前をさっきよりはっきり口にする。

「ああ‥‥それ」
「ハイ。確か前は、この辺りに」
「読みたかったか？」

　それはつまらない本の書名だった。つまらないけれどもう何度も読んだ。

「つうか、お前さん前も読んだじゃろ」
「ハイ、でも、読みたくなったんです。思い出して」
「そう」

　俺はこたえた後、すぐに欠伸を噛み殺してまた活字を追いはじめた。活字はかたかたと揺れるように下へ下へ落ちていった。それきりの俺を柳生はどうともしなかった。ただ、視界の外から俺をまだしどけなく見つめている気がしてうっとうしくなったので、根負けして答えを明かした。

　柳生がしどけないということは原則あり得ないので、乱れているのは俺の部屋のほうなのだろう。そういえば今日こいつが部屋に上がってきた時、猫のようにあらぬ一点をじっと凝視していた。いささか今更ではあるが。

「あれ、ないわ。りりこに取られた」

　柳生はそのまま口をきかずに少し考え、じゃあ〜〜は？と同じ作家の別の題を出した。それもない。りりこが持っていった。

　そう述べると柳生は悲しげに下を向いた。おとなしそうな、無害そうな旋毛をこちらへ見せた。本がなくて悲しいのか、それとも俺の身にいつか降りかかっていた出来事が悲しかったのかはわからない。そいつは二ヶ月前、もうここに来ないことになった。うっとうしい長い髪の、表情の乏しい女だった。綺麗な子だった。

「●◎も☆★×も持っていきよったよ。俺の買ったもんまであいつ」
「☆★×は仁王くんが買ったんですか？」
「そう」
「〜〜は？」
「あれはあいつの」
「仁王くん、お好きでしたね」

　膝を崩して座った柳生は、いつものように穏やかな笑みを浮かべてそう言った。確かに、俺はその本が一番好きだった。りりこもそうだと言った。

　何だか俺も悲しかった。二ヶ月前のことだが、また何事もなかった顔をして突っ立っているあいつの姿を正門の正面に見つけることも、いよいよもうないのだなと思ったあの非道い虚しさがまるで先ほど生まれた新しさで胸を潤した。枯れて虚しい胸になみなみと溢れる寂寞が俺を責めた。なぜ泣かなかったと言って俺をしとどに濡らした。

　本当は、誰かに可哀想可哀想と慰めてほしくて、できればその後の性交を期待しないでもっぱら慰めてほしかったのだけど誰もロハでは飴をくれない。なので俺は思わず頑張った。結果、女どもはますます俺に期待し男どもは俺を可哀想と認識することをやめた、何たる皮肉だ。しかし姉貴も弟もおふくろも俺に何も訊かず、はじめから誰もこの家には入れなかったような清ました顔をして、すぐきちんと四人分しかない夕食を作って食べるようになった。何という鮮やかさ。

　だが柳生は違う。何も知らない。りりこに会ったこともない。いつもただ座っていた。俺の部屋にいつのまにか増えていた昔は読まなかったような本の何冊かを通して、そこにいる自分以外の俺の片割れに優しく触れていた。

　月日は流れ、柳生が一人暮らしをはじめた信州の大学の側の学生マンションに、そば職人の修行を住みこみでしながら出張ホストをやっている小説家の卵の俺が四日と空けず週一で転がりこんで時給壱万円の足ツボマッサージを施しそばと野沢菜を現物支給されている頃のことだ。

「柳生、＊＊がないんじゃけど」

　自分のベッドの上でしどけなく寝そべり文庫を捲っていた柳生はふっと顔を上げ、小首を傾げるようにして俺を見下ろした。

「あれは、あげてしまいましたね」

　ああと俺も思う。またあいつのことを思い出す。あの本を読みたいと思うたび、古本屋の棚に見かけるたび、買い戻してからも本棚に戻すその折々に新しくりりこはやってくる。悲しく思ったのはあの一回が最初で最後。それでもりりこは懲りもせず俺の記憶を訪ねる。

「お前さんのもんだったかのぉ」
「大丈夫です。また買えますよ」

　そうだ。かくして俺は三たびその本を手にする。そしてどこだかわからない柳生の元・恋人の部屋にいつまでかはわからないがあって、もしかしたらそいつの新しい恋人がどこかへ持っていってしまうかもしれない俺の本。俺の記憶。次の恋人こそ柳生に会わせてやろうと思っているのだがとられるかもしれないと恐れている俺に、柳生は相変わらず穏やかに笑う。



（終）




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今回のエッセンス → 足ツボマッサージ
りりこ → ヘルタースケルター（岡崎京子）
〜〜は？ → なぜなに比呂士

2010年04月04日(日)

俺はあいつできみは僕。2編。
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■ちいさなせまい部屋■


　駅へいくと柳生は改札の向こうの、店仕舞いされた宝くじ売り場のところにすわっていた。改札の中からその光景を見ていると、自分が死んでしまったような気になった。あそこでおれを待っている柳生は、そんなことは知らなくて、教えてくれる人もないのでいつまでもずっとあそこでああしている。やがて季節が変わり白い雪がかれのことをすっぽりと覆い隠してしまうだろう。そんなことも、柳生はまだ知らなくて、絵の中の人のようにスポットライトを浴びて闇に浮かび上がっている。

　とまあそんなんも考えたけど、柳生が地面にすわっているというのはつまりよほどひどくやられたのだろうと現実的な問題を考えてすぐ改札を出て声をかけた。

「済みませんでした」

　柳生はのろのろと立ち上がり、じっとりと倦んだ目でおれを見た。顔はきれいなものだった。眼鏡も傷ついてはいなかった。それでも一応おれは、柳生の顔をつかみ、口をあけさせて中を確かめた。

「そんなことして何かわかるんですか」
「歯がぜんぶ揃ってるか見てやったのよ」
「ありましたか？」
「ちょう、ここで待っとれよ」

　券売機はがらがらに空いていて、いま来たときと同じ料金のそれを二枚買って、柳生のところに引き返した。差し出すと小さな声でありがとうございますと言った。

「財布だけ投げてもらえば良かったですね。そうすれば貴方、改札を出ずに済んだのに」
「アホ。そういうのを“きせる”ちゅうんじゃ」
「引き返せばそうなりますね」

　受け取った切符の印字をじっと見つめながら呟く。どこまでが嘘で本気かさっぱりわからない切れ長の目は、たぶんまぶたの辺りでおれの非難がましい視線を受け止めながら、ふてぶてしくそれを黙殺していた。

「なんでよ」

　うまいこと哀しげな声が出せたので、そのままもうひと声つづけた。

「帰ろうよ。帰ってやらせて」

　柳生はようやく無表情にこちらを見て、今日は無理ですと静かに告げた。

　電車はすぐにきた。上りはだれも乗っていなかった。車内の明るさが、まあ無駄だもんで、非常にむなしい眺めだった。空いた七人掛けのど真ん中におれと柳生は並んで掛けた。確信があって、きっと柳生もおれと同じことを考えているだろう。中三の冬、柳生がうまれてはじめてそして生涯一度きりの家出をして、その帰り道のことだ。あれは傑作だった。意を決して遠くへきたんだろうに、知らない町の道ばたでダブルス相手とばったりだ。

　柳生にとっておれという存在はとにかく間が悪いのだろう。こっちも、すまんなとは思うのだが、わざとやってるわけではないのでしょうがない。しかしなんだかんだで図太くしたたかなところのあるこの男は、間が悪いということをとっととあきらめ、おれをうまく使うよう開きなおった。元・恋人に殴られて財布取られたのを迎えにこさせたり、性欲処理のあじけない行為をやらせたりして、けっこう重宝されている。それでもおれと柳生が親友だという事実は変わりなかった。寝ても親友だ。お互いがそう思ってさえいれば。

　ガタガタと電車は動き出し、窓の外を真っ暗な景色が流れた。暗くて、黒くて、よくわからないんだがそれはちゃんと流れていった。景色の手前にあるガラスに柳生のぶすくれた顔が映っていた。

「言っとくけど、俺けっこう傷ついてるよ」
「そうですか」
「おう。俺らセフレじゃけど、そんでも黙って会いにいくとかどうかのう、元カレんとこ」
「セフレならいいんじゃないですかね」
「あっそう。じゃあ、お前の彼氏じゃないせいでこんな思いするんじゃったらもういっそつきあってくれ」
「仁王くん」

　ガラスに映った柳生がまっすぐにおれを見て言う。表情は見えないし、見えたところでこいつの表情などたかが知れているが、考えていることなら手に取るようにわかる。結局はそれだからおれはこいつだし、こいつもおれがいいのだろう。

「もし貴方と正式におつきあいをしていたら、私は言うでしょうか、これから昔の恋人に会いに行ってきますと」
「行かんっちゅう選択肢はないの」

　柳生の表情は少しも変わらなかった。ひとつ息を吸って吐くだけ黙って、こう続けた。

「行きませんよ。貴方とおつきあいしているのなら」
「あぁあぁ、未練がましいのう」

　言えばいい。『まだ好きなんです、会いたいと言われてうれしかったんですよ、わかっていたのに、自分でも止められなかったんです。好きなんです彼が、だから仁王くん、貴方とはおつきあいはできない』。そんでおいおいと身も世もなく泣いてくれたら、もうものっすごい甘い優しいやりかたでなぐさめてやるのに。こんな時につかわないで何がセフレかよ。

「つーかお前、それだから振られたんじゃ。メソメソしくさって鬱陶しい、そのくせ可愛げもないわ、厭味言うわ、ねちっこいだけか取り柄は」
「仁王くんは男が好きなのではないじゃないですか」
「この後に及んで俺のせいか。ほんだら俺がホモだったらつきあってくれるんかのう」
「おかしいですよ、貴方が私とつきあいたいみたいになってます」
「そう言っとらんか」
「では訊きますが、キミは私を愛していると言うんですか」
「そうよ。愛してるよ」

　柳生はしらけた顔をして、それからこっちを向いてにこりと笑った。なあ充分じゃろ。おれは柳生がすきで実際セックスもして、ふつう告られたらつきあうし告ってほしそうにしてたら告ってもいいくらいすきで、勝手に元カレと会われて傷ついたしイラッときたし、イラッときた理由はお前がたぶん今日その男とヤッたと思ったからだし、だから今の愛してるを嘘だと言うことはお前にもできないんだろ。

　でも柳生にとっては、おれが自分のなにかしぐさとか顔とかを不意に『かわいい』と思ったかとか、夕焼けがきれいで自分がいないことが悲しくて泣けたとか、そっちのほうがどうしても大切なのだ。況しておれのためには、それを捨てる気が更々ない。

「有難うございます。でも私のほうが何倍も貴方を愛していますよ」

　おれは面倒になってそれきり口を開くのをやめた。黙っていても、こいつが永遠にいなくなったりおれを必要としなくなったりはそれこそ死ぬまでない。また同じことがあったら、どこかの駅までかばんに靴を忍ばせて迎えに行けばいいだけのこと。

　しばらくすると、仁王くん、とおもむろに柳生が呼び、

「観覧車に乗りたいです。明日、連れていってください」

　身を乗りだしぎみにしてそう言った。柳生の好きな観覧車がこの季節、何時ごろいちばんきれいな景色が見えるか、おれはふと考えて少しだけ胸をちぎられた。風呂の湯のように痛みをためられたらいつか柳生がおれだけのものになるのかと、思ったが水に流れていってしまうのでやはりあきらめた。




■ドリフターズ■


　駅へいくと仁王くんは改札の向こうの、店仕舞いされた宝くじ売り場のところにすわっていた。まるでミュージカルのワンシーンのように、スポットライトを浴びて闇に浮かび上がっている。あるいはドガの絵を私は思い出す。彼が私という人間を見、感じることができるなんて嘘のように、彼には私が映っていない。スケッチであるはずの踊り子たちの姿にまったく画家の影が差さないように。

　私はそんなふうに仁王くんが好きで、ずっと見ていたかった。けれどもしかするともう立っていられないほどひどくやられたのかもしれないと現実的な問題を考えてすぐ改札を出て声をかけた。

「済まんかったな」

　仁王くんはのろのろと立ち上がり、じっとりと倦んだ目で私を見た。顔はきれいなものだった。ビンタの痕、爪の痕ひとつない。それでも一応私は、仁王くんの顔をつかみ、口をあけさせて中を確かめた。

「虫歯はないよ。ちゃんと歯みがきしとるけぇ」
「ではその大事な歯を落っことしてきたりしないでくださいね」
「足りんの？」
「ぜんぶありました。‥‥少々、ここにいたまえ」

　券売機はがらがらに空いていた。来たときと同じ料金のそれを二枚買って、仁王くんのところに引き返した。差し出すと彼は少しもったいつけてから、それを受け取った。

「財布だけ投げてよこせば良かったのに。そしたらお前、改札を出ずに済んだじゃろ」
「知りませんか？　そういうのを“きせる”と言うのですが」
「引き返せばそうなるのう」

　受け取った切符の印字をじっと見つめながら呟く。どこまでが嘘で本気かさっぱりわからない切れ長の目は、たぶんまぶたの辺りで私の非難がましい視線を受け止めながら、しらじらしくそれを無視していた。

「どこへ行きたいんですか、仁王くんは」

　うまいこと哀しげな声が出せたので、そのままつづけた。

「私は帰りたい。どうしても今晩のうちに、貴方と」

　仁王くんはようやく無表情にこちらを見て、今日はやらんよと静かに告げた。

　電車はすぐにきた。上りはだれも乗っていなかった。空いた七人掛けのど真ん中に私と仁王くんは並んで掛けた。確信があって、きっと仁王くんも私と同じことを考えているだろう。中三の冬、私がうまれてはじめてそして生涯一度きりの家出をして、その帰り道のことだ。あれは傑作だった。意を決してとても遠くへきたつもりが、知らない町の道ばたでダブルス相手とばったりだ。

　仁王くんはとにかく私にとって間が悪い相手と言えるだろう。悪意はないのだが、どうして今というタイミングで現れてくれたり消えやがったりする。そんなところも含めて私は彼を彼と認識しているので、彼の方でもまったく好き勝手に私を呼んだり追い払う。恋人だった女性に身ぐるみはがされて蹴り出されたのを迎えにこさせたり、性欲処理と称して意味のわからない行為をやらせたりして、けっこう重宝してくれているようだ。それでも私と仁王くんが親友だという事実は変わりなかった。言ってしまうが、寝ても親友だ。お互いがそう思ってさえいれば。

　ガタガタと電車は動き出し、窓の外を真っ暗な景色が流れた。暗くて、黒くて、真偽のほどは怪しいが「景色」と呼ぶしかないようなものが、なんとか流れていった。その手前にあるガラスに仁王くんのぶすくれた顔が映っていた。

「勝手な言い分かもしれませんが、こう見えて私は今、傷ついているのですよ」
「そうですか」
「そうとも。昔の恋人を訪ねるのに、一言の断りも必要ない関係なのでしょうか、私たちは」
「必要ないからセフレなんじゃろうが」
「それでは仁王くん、私と正式におつきあいしてください。これまではセフレ結構と思ってきましたが、」
「柳生」

　ガラスに映った仁王くんがまっすぐに私を見て言う。表情は見えないし、見えたところで心情を読ませる彼ではないが、考えていることなら手に取るようにわかる。結局はそれだから私はこの男で、彼もまた私がいいのだろう。

「仮にお前さんが俺の彼氏だとするよ。それでこういうことか、俺に、彼氏に向かって『今から元カノんとこ行ってくるけん』って言えと」
「こういうことです、行かないという選択肢はありませんか」

　仁王くんの表情は少しも変わらなかった。ひとつ息を吸って吐くだけ黙って、こう続けた。

「行かんよ」
「ええ。仮定の話ですからね」

　言えばいい。まだ好きだと。会いたいと言われてうれしかったと。わかっていたのに、どうしても知らないふりはできなかったと。俺は情けない男だ、だから柳生、お前とは一緒になれない。そんな都合のいい御託を並べてめそめそと惨めたらしく泣いてくれたら、これ以上ないというだけ甘い優しいやりかたでなぐさめてやるのに。身体だけというならそういう時にこそ求めればいい。

「仮にだのセフレだの、逃げ道を作っているつもりかもしれませんがそういう隙があるから他人にもつけこまれるんです。甘ったれるのはやめにしたらどうです」
「何遍も言うなセフレとか。第一俺はホモじゃなか」
「この後に及んでその言い訳が見苦しいと言っているんですよ、仁王くん、貴方、私以外の男性とだって寝て」
「ちょ、知っとったんかよ、つーか知ってて黙ってたの、うわー、マジでひくぜよ」
「話の腰を折らないでくれたまえこのホモ野郎」
「あーもー、お前何のつもり、でもとにかく俺はホモじゃないけん、お前とは無理、ぜったい」
「私が、貴方を愛していると言っても？」

　仁王くんはしらけた顔をして、それからこっちを向いてにやりと笑った。そうだこんなことになるならば、中学の時から馬鹿正直に彼に恋の相談などしてこなければ良かった。はじめから見抜かれている嘘をつきとおす糞度胸も、それなりには持っているが彼とでは分が悪すぎる。嘘をつかない彼が相手では。

　こんなやりかたでも私たちは確かに繋がっている。充分に深く、固くだ。それを思えばこの先、手ざわりのいい身体に手を伸ばすことがなくなったって、あの肌とか湿った息とか上げる声だとかそんなものを恋しく思い出すことはないだろう。はじまった時から、忘れることを私たちは自分に許していたのだ。

「私の方こそ、その何倍も貴方を愛しているのですよ」

　丁寧に私の声音と口調をなぞって、仁王くんはそれきり口を開くのをやめた。私はリュックサックの中に詰めてきた予備の靴をちからいっぱい投げつけてやりたいと思った。彼は笑ってくれるだろう。どこかでいつも、彼がもっとひどい目にあえばいいと思っていることを私は否定しない。

　しばらくすると、ああ、と思い出したように低く呟き、

「観覧車見たい。どうじゃ、明日」

　窓に頭をもたせかけたままそう言った。もしかして今度乗りに行こうと言っていたあの観覧車のことだろうかと思い、明日は平日なのでいつものところで勘弁してくださいと、言おうとしたら銀色の髪が肩にことりと着地した。突然視線を感じて、顔を上げると、向かいの窓に銀縁の眼鏡の男がいた。明日の新幹線のことなんかを考えだした私を嘲笑っているようだ。




（終）

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観覧車に乗りぐせのある仁王と柳生。
ドキサバで得た新しい萌え＝観覧車、仁王と柳生は親友

話的には私が28に転んだかなり初期からずっと持っていた私の28イメージが1本目、そのネガが2本目です。
まったく同じ展開で役割を入れ違えて書こうというのが、数パターンの同じシナリオをたどる恋シュミ的展開の模倣だったのですが、書いているうちに『役割をまったく入れ違えて成立するのが28の萌えの神髄』と気づいてなおのことテンションがあがりました。

2010年04月03日(土)