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2004年10月13日(水) |
スーパーマンへのオマージュ |
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スーパーマンを演じてスクリーンのヒーローになり、落馬して脊髄を痛め麻痺のまま車椅子で闘い続けたリアルライフヒーローが亡くなった。 Christopher Reeveさん(1952-2004)。 May he rest in peace and fly in heaven.
僕は彼の前のGeorge Reevesの演じるテレビのスーパーマンとともに育った。 1950年代で、日本語の吹き替えである。 始まる前にイントロが毎回あった。 あの、「弾よりも速く・・・」、である。
テレビのReevesさんは、番組終了のあと、謎の自殺をしている。 映画のReeveさんは、大きな事故にあっている。 スーパーマンの役には何かが憑いているのだろうか。
僕は「弾よりも速く・・・」を暗誦した。周りの子供も皆できた。 大人になって英語版を調べたら思わぬことを発見した。
以下英語版だ。((at)はその前のラジオ版のイントロのようだ)
Faster than a speeding bullet! More powerful than a locomotive! Able to leap tall buildings in(at) a single bound!
Look! Up in the sky! It's a bird! It's a plane! It's SUPERMAN!
Yes, it's Superman, strange visitor from another planet, who came to earth with powers and abilities far beyond those of mortal men; Superman, who can change the course of mighty rivers, bend steel in his bare hands; and who disguized as Clark Kent, mild-mannered reporter for a great metropolitan newspaper, fights the never-ending battle for truth, justice, and the American way!
最後のパラグラフは日本語ではこうだった。
そうです、スーパーマンです。遠い星から地球へやって来た奇跡の男、人間の能力をはるかに超えたスーパーマン。川の流れを変え、鋼鉄をひねりつぶすぐらいは朝飯前。彼はクラーク・ケントと名乗り、メトロポリスの新聞社デイリープラネットの記者となって正体を隠し、正義と真実を守るため、日夜戦いつづけているのです!
よく覚えているなあ。(違うところがあったらご指摘ください。) で最後の「正義と真実を守るため」のところだが、原文では、 for truth, justice, and the American way である。 最後の「アメリカの道のために」が和訳の際に削られた。
アメリカの何人の人が、外国へ輸出したスーパーマンテレビのイントロのthe American wayが省かれていることを知っていたか。 外国の何人の人が、自国語の訳にthe American wayが省かれていたことを知っていたのか。 僕がスーパーマンをよく見ていたのは、彼がアメリカを守るからではなく、人を守るからだったわけだけれども、いつもイントロに、地球にの上に立った彼が出てくるとき、あそこに立って見たい、マント(cape)をひるがえして、と思ってしまったものだ。そして最後に今度はバックに星条旗入りでもう一度立つが、あきらかにプロパガンダだったのだけれどもそこにも立ってみたかったのである。
こうしてイントロをキーで叩いて読み返しながら、ReevesとReeveの両氏がどんな気持ちでスーパーマンという役を演じていたかを想像すると、なんだかしんみりしてしまう。 混じりけのない気持ちで演じる瞬間があったのだろうな。 Reeveさんは、悪役なんかも『死の罠』などで上手だったから、このヒーローをやるときは、なりきっていたに違いない。 Reevesさんもそうだろう。
そういう純な気持ちがコミュニケートしたからこそ、僕は、近所の連中と、首に風呂敷を結んで、町内を「飛び」まわったのだ。
poetic justiceとは、「勧善懲悪の思想」の意味で、夏目漱石の『坊ちゃん』の主人公などはその信奉者なのであり、老成した人間なら、成長する際の通過点の思想だと呼ぶかも知れないが、たとえそうであっても、あの子供のころに風呂敷ハタハタで遊んだあの時間は、スーパーマンが僕にくれた、夢のような、「正義が勝つ」時間だった。
Thanks, man. Thank you, Superman.
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