2002年11月28日(木) 「運命」の2単語

FATEとDESTINY

FATEは運命、DESTINYも運命。

あるひとがなれそめの話をしています。

When I saw him, I thought it was fate.(彼を見たとき、運命だと思った)

とはどうでしょう?

これは次のことを考えましょう。

It was fate.は不吉な致命的なともいえる運命。

It was destiny.は吉の前向きの運命。

違いをしっかり押さえましょう。

You are my fate.

は、あなたとはボロボロになるまでどうしようもない運命。

You are my destiny.

は、あなたこそわたしの運命の人。待っていた人・・・。

I thought it was fate.とI thought it was destiny.

すばらしい人にめぐり合ったときの気持ちを思い出しているのは上のどちら?

向かって・・・・・・・・・・・・・左・・・・ではなく・・・右ですね。

ではベートーベン第5番の「運命」は英語では?

答えは次の要領で英語検索でチェックしてみましょう。
Bethoven No.5 Fate
Bethoven No.5 Destiny
では、ジャジャジャジャーン!




2002年11月12日(火) ノックノックジョーク募集

最新刊『遠山顕のクロスワードの謎』が発売されました。

そこでクロスワードパズルクイズその2

1 クロスワードパズルが世界でビッグバンを起こす直前まで英米をはじめ世界で大人気だった遊びとは?

a. Mah-jonng b. Monopoly c. Bridge d. Hmm, good question!

2 クロスワードを発明したのは?

a. アメリカの新聞記者 b. 秦の始皇帝 c. ルイ14世 d. Are you talking to me?

答えは両方ともa。歴史と謎、言語遊戯、ボキャビル、英米文化、そしてもちろんクロスワードに興味のある方や大好きな方たちの知識欲を満たす楽しい本と自負しています。日本初のクロスワードのボーナスもありますよ。どうぞご覧ください。


さて今回は前回に引き続きジョークの話と募集です。

ジョークは場面を作るのが半分、場面を意外性でくつがえすのがもう半分の作業です。

せっかく作ったものをひっくり返す。これは作ったものから見ればとんでもない「悪さ」ですが、でも本人がやるのですから、それほどでもないかも知れません。

それに、ジョークは「聞く」という行為が含まれます。聞き手は(話し手がうまくやった場合)いつのまにか一緒に場を作る作業に加わってしまいます。
そこまで行けば半ば成功。そしてその場をどうひっくり返すか、それが話し手の「技」になります。

このジョークの構図を端的に表したものが、ノックノックジョークというタイプのジョーク。フォーマットが決まった、聞き手参加のジョークです。

これはなんと、聞き手が話し手と掛け合いをして、オチの直前までジョークの場作りを手伝うのです。
以下がそのフォーマット例です。

ジョーカー: Knock, knock! (トントン)
聞き手:   Who’s there? (どなたですか?)
ジョーカー: 稚内. (稚内です)
聞き手:   稚内 who? (どちらの稚内さん?)
ジョーカー: 稚内do for you today? (ワッカナイドゥーフォユー)

★最後は稚内とWhat can Iをかけたオチ。オチのほうがネタ(稚内)より長いのがよいです。

英語ネタのものを。
Knock, knock.
Who's there?
Agatha.
Agatha who?
Agatha bad feeling about this.

★I got a bad feeling about this.(いやな予感がする)

もうひとつ。
knock, knock.
Who's there?
Doughnut.
Doughnut who?
Doughnut open till Christmas.

★Do not open till Christmas.(クリスマスまで開けないで)

ただ、英語のものは出尽くすほど出ています。
そこで日本語で参ります。

では北海道の町をもうひとつ。
Knock, knock!
Who’s there?
宗谷.
宗谷 who?
宗谷hoo's doing okay?(で、Yahoo社はうまく行ってるの?)

★So Yahoo's doing okay?

思いつきでよいです。
Knock, knock!
Who’s there?
明治.
明治 who?
明治 you think, didn't I? (考えさせたでしょう?)

★Made you think, didn't I?

身近な食べ物から。
Knock, knock!
Who’s there?
うどん.
うどん who?
うどん know what soba is. (あなたは蕎麦が何たるかを知らない)

★You don't know what soba is.(You Don't Know What Love Isというジャズのスタンダードがありますが。)

会社名も。
Knock, knock!
Who’s there?
HONDA.
HONDA who?
HONDAstand what I'm saying?(私の言っていることわかります?)

★Understand what I'm saying?

もひとつ。
Knock, knock!
Who’s there?
SONY.
SONY who?
SONYer, and yet so far. (とても近いくせにやけに遠い)

★So near, and yet so far.(決まり文句)

無理なものも無理矢理。
Knock, knock!
Who’s there?
会うは別れのはじめ.
会うは別れのはじめ who?
How are Karen and Jimmy doing? (苦しい! しかし読み方によってはピタリ!?)

knock-knock jokesは英語ジョークの伝統のひとつで、英語ネタのものはゴマンとあり、インターネットで検索して愉しむことができますが、ぼくのホームページでは日本語ネタを募集します。
ひっくり返しがオモシロイものをKENNISMSで掲載し、のちにページを作ります。
本名かペンネームを付けてどしどしお送りください。(最後に完全英文も付けてください。)

最後にもうひとつ。
Knock, knock!
Who’s there?
明るい.
明るい who?
明るい something.

★I got to eat something.(何か食べないと)

これでほんとうに最後。
Knock, knock!
Who’s there?
セミ.
セミ who?
セミ your knock-knock joke.

★Send me your knock-knock joke.(ノックノックジョークを私に送りましょう)

宛先:iwashere@kentoyama.com







2002年11月05日(火) 世界一面白いジョーク

まず四択クロスワードパズルクイズからどうぞ。

1.クロスワードは世界のどのくらいの新聞に載っていると思いますか?

a. 50%  b. 75%  c. Over 90%  d. Are you talking to me?

2.ではその頻度はどのくらいでしょうか?

a. Every Sunday  b. Every weekend  c. Every day  d. Who cares?

答えは最後に。dを連続で選んだ方は別ですが、その他を選びながら興味が湧いたという方は、11月9日発売『遠山顕のクロスワードの謎』(NHK生活人新書)をぜひお読みください!


「意味は分かるのですがどうしてもこれが世界一面白いとは思えません。何か裏の意味があるのかもしれないと思いそこはジョークの世界的権威の遠山先生に聞かなければと思いました。是非うがった見方でも屁理屈でも何かこねていたでけないでしょうか? よろしくお願いします。」   (兵庫の方よりメール)

Yahooのトピックスの欄に世界一面白いジョークが掲載されているがなぜ面白いのですか、という上のような質問を何通か頂きました。サイトは以下のところです。

http://www.laughlab.co.uk./


一番人気だったのが、ニュージャージー州の二人のハンターの話とあります。
狩りをしていた二人のうちの一人が急に倒れ、息をしていない様子で白目をむいているので、相方が携帯を取り出すや電話で救助を呼ぶという設定。

ピントハズレの人々はどこの州にもいるわけですが、ニューヨークに隣接するこのニュージャージー州は、結構ジョーカーたちの毒牙にかかることが多く、これもそのひとつです。
美しい自然と「ヌージョイズィー」というアクセントで有名。ま、欧米の水平感の表れは名指しで互いを笑い合うという現象にも見られます。国際関係には危険、自国の場面に移し変えるセンスが必要。

それはともかく、これは和訳至難な英語表現をうまく(?)ひねったもの。
英国はマンチェスター在、31歳の精神科医作とのこと。
この手のジョークはパフォーマンスもうまさが必要で、また近隣の州でのスナイパーの連続殺人事件もあり、これは読むのが安全だと思います。

で、男は電話の向こうのオペレーターに「友達が死んでしまった。どうしよう」と息を切らせて尋ねる。オペレーターは落ち着かせるためになだめるような声で「あわてないで。私の言うことを聞けば大丈夫よ。まず、死んでることは間違いないですね?」と言うと、沈黙がしばしあって、それからバンという音がし、男の声が「間違いないです、で次は?」

途中で重要人物が消えるのは、ヒッチコックの『サイコ』以前に、ジョークの世界にはあった“手”です。たとえば古典、ダメ男と蚤のジョークは我が愛する小話のひとつ。(これは5分ほどかかり決定的な動きもあったほうがよいのでいつか実演の席で?!)

さて本題のジョークですが、これは、男のパニックした様子と、オペレーターがなだめる際の英語独特の抑揚が対照的に演じわけられれば「うまく」いくでしょう。最後の真剣そのもの男の様子をつかむのも重要なポイントになります。
なので、このインターアクションがビビッドに耳に浮かんでくると、このジョークは結構面白いかもしれません。(この手のジョークは趣味でないという人にはいくら頑張っても効果はありません。ジョークの宿命です)

これがその原文。(ジョークは現在形を基本に書かれていることが多いので留意のこと。そうです、話すときも結構現在形中心なのです。Here and now感を出すために。)

A couple of New Jersey hunters are out in the woods when one of them falls to the ground. He doesn't seem to be breathing, his eyes are rolled back in his head. The other guy whips out his cell phone and calls the emergency services. He gasps to the operator: “My friend is dead! What can I do?” The operator, in a calm soothing voice says: “Just take it easy. I can help. First, let's make sure he's dead.” There is a silence, then a shot is heard. The guy's voice comes back on the line. He says: “OK, now what?"

これが作者のコメント。

"I like the joke as it makes people feel better, because it reminds them that there is always someone out there who is doing something more stupid than themselves."
世の中(out there)には、自分より間抜けなことをやる人間がいるんだということを人々に思い起こさせ、気持ちを楽にしてやるこのジョークが気に入っている、とのこと。

Let's make sure he's dead.

は「彼が死んでいるかどうかを確認しましょうね」という意味もありますが、あわてれば「彼が間違いなく死ぬようにしましょうね」とも取れる(?)わけで、ここがキーポイントです。

救急にすぐつなげばいいのに、おせっかいをするオペレーター。それを上回るハンターのエラー。Put form to idea.は「アイデアを形にすること」ですが、Enact the form.(その形を演じる)のがジョークになりそう。Internalize the form.(形を内在化する)という究極まで行けばさらによいでしょうが。

個人的には、2位のホームズとワトソンのジョークがよいです。これも間の抜けたエラーの話。エラーをしたくない人間の心理を和らげるのがジョークのひとつの役目のようです。

最後にクロスワードクイズの正解: 1,2ともc。
現在世界の9割を遥かに超えた数の新聞が毎日クロスワードを掲載しています。最初は、世界で1紙のみ、それも日曜のみという状態が10年続き、それが突然世界に広まりました。その経緯もぜひ拙著で!


 < BACK  INDEX  NEXT >
 遠山顕 HOME