2002年10月28日(月) SHAREと水平感覚
日本では、師匠志向・弟子志向があり、これが独特の文化を形作っていて、英語でプレゼンテーションをやってもらうと、どうしても、「難しいことを教えてやる」、あるいは「不肖ながら・・・」といった上下感のあるスタートを切り易いのが日本人です。

スタートの印象など二番手、三番手、あくまで内容が勝負なのでうるさいことを言うつもりはないのですが、知識や情報を与えたりする際に、TEACHやGIVEが頭に浮かんでくる方は、スタートがこんなふうになります。

まずTEACHですが、

(?)Now I'm going to teach you how to make miso soup.(それでは皆さんに味噌汁の作り方を教えます)

これはTEACHが高飛車です。SHOW(見せる)とやればしっくりします。

(!)Now I'm going to show you how to make miso soup.

次はGIVEですが、

(?)Today I'd like to give you some new information about teaching children English.(今日は皆さんに子供に英語をどう教えるかについて新しい情報をGIVEしたいと思います)

ざっくばらんな関係の相手ならよいでしょうが、なんだか「情報を与える」「情報をやる」といった印象が強い。

英語でこうしたことを伝えるとき、話者が心を砕くのがこの動詞の部分で、よく使われるのがSHAREなのです。

share ...(・・・を分かち合う)

share ... with 〜 (・・・を〜と分かち合う)

このパターンを使い、相手と自分の間に、話学で名付けるところのgrade(勾配の意味あり)が存在せぬように配慮するのがポイントです。

で、SHAREを使うと、上の英語が次のようになります。

Today I'd like to share with you some new information about teaching children English.

At this time I'd like to share with you the results of my research.

SHARE(分かち合う)というと何となく「偉そう」という感じや「偽善的」という印象を抱く方もいるかもしれませんが、「分け与える」のではないので誤解なきよう。

ちなみにこのSHARE、軍隊ではまず使われません。

ただ、クラスルーム、情報交換、研究発表などで常識的に使われています。

I'll be happy to share my knowledge with you.(喜んで私の知識をあなたと分かち合いましょう=何でもお教えします)

Thank you for sharing your knowledge with us.(あなたの知識を私と分かち合ってくれて有り難うございます=いろいろ教えて頂き有り難うございます)

<( )内の=マークの前が直訳、=マークの後が和風訳です>

この「与える」のでない、「分かち合う」という水平でフレンドリーなイメージを目指したSHAREの表現ですが、くれぐれも「分け与える」のではないということを肝に銘じて活用してください。


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