forget-me-not

2008年09月29日(月) 悪夢ノツヅキ

・・ああお腹が痛い。

昨日、閉店間際のスーパーで買ったパック寿司にあたったのだと
思っていたけど、どうやらそれだけでもないらしい。

昨日の夜中は、嘔吐に腹下しにもう大変だった。

同じ寿司を食べたりんこさんは平気だったのに、
のた打ち回るような痛さで何かの悪夢の続きかと思った。

救急車を呼ぶ寸前だったけど、なんとか薬が効いて眠りに落ちて、
今日もなんとなく痛いお腹を抱えて会社へ。

出血もあるし、もしかしたら手術の関係もあるのかもしれない。


・・先週の土曜日は、水子供養で有名なお寺に行ってきた。

供養をする会場を囲むようにしておいてあった
水子の位牌、骨壷のおびただしい数にびっくり。

今までたまたまご縁がなかっただけでつらい経験をしている
お母さんは、この世にはゴマンといるのだ。

年の離れた、わけあり風のカップルもいた。

供養の間、私と同じように、エコー写真を住職さんに差し出して
声を殺して泣いている女性もいた。

つらいのは皆一緒なんだ。。。


不謹慎だけど、家にいるとヒマさえあれば死にたいと
思っている。

・・思っているだけで行動には出さない、タチの悪い
「死にたい病」だ。

私には仕事があって本当に良かったと思う。

先週末は口を開けば死にたい死にたいといって
普段、仏並に穏やかなりんこさんを激怒させてしまった。

それに比べたら、今日は本当にまし。

事情を知る会社の親しい人は、私のことを「強いですよねー」と言う。

強くなんかない。

強いふりでもしていないとやってられないから、
他に選択の余地がないから、毎日やるべきことをやってるだけだ。

今度という今度は、カウンセリングを受けようと思い、
ネットで流産した人たちのサポートグループをいろいろ探したけど、
開催日時が平日の昼間のものばかり。

何時間もネットを徘徊したけど、私の居場所はどこにもなかった。

がまんして、歯を食いしばって
仕事を続けながら耐えるしかないのだ。

仕事を持っていて、喉から手が出るほど人の助けを求めている人たちは
みんな自分を追い込みながら、それでもなんとか自力で乗り越えてきているのだ。


・・明日は、もう10年来お世話になっている占い師のところに
りんこさんと一緒に行ってくる予定。

私に、来年の春までは何があっても妊娠してはだめ、と何度も警告を
してくれていた彼女。

どんなに大切にしても私とも夫とも縁がなくて、子どもは
離れていってしまう、と言っていた。

彼女の言うことが、ずっと頭にあったにもかかわらず
真に受けなかった私。。


もう悔やんでも悔やみきれない。







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2008年09月26日(金) それでも今を生きなければ。

今日は退院2日目。

なんとなくひたすら寝ていたような一日。

みな、流産直後ってどうしているのだろう?

とにかく安静に、とは言われるものの、時間ばかりを持て余してしまう。

テレビはつまらないし、本や雑誌を読んでも頭に入らないし、
ネットを見てももう何度もアクセスした流産のサイトばかりみてしまうし、
お金を使おうにも胸に空いた穴はふさがらないし、
起きていてもなんとなく寂しくて、大してお腹が空いてもいないのに
とりあえず手近にあるものを食べてしまう。

何をしても満たされることがないことほど
不幸なことってない。

りんこさんも昨日の夜の私を見て、魂の抜けた抜け殻みたい
と言っていた。

医者は来週一杯まで仕事を休んで、と言っていたけど、
こんな生活を来週一杯まで送るなんてとても無理。。

有休も限られているし、まわりにも迷惑をかけられないので、
来週月曜からは復帰する予定だ。

・・でもなんとなく、涙が湧き出てくる回数が減ってきた。
精神的に安定してきた証拠なのかもしれない。

今回の妊娠で、子宮頸がんの可能性があることもわかった。

実際の精密検査は一ヵ月後と言われているけど、
確かあのZARDや向井亜紀もかかってた病気だったっけ。

今年1月に検査をしたときは異常なしだったから、おそらく早期だろう
との話だけど、なんだか今はもうそれどころではない。

人間なんていずれ死ぬのだから、それがいつ、どのタイミングか
ということだと思う。

与えられた天命は一生懸命まっとうして、
万が一の時はあの世であの子のお母さんになってあげたいというのが本音。


明日は水子供養に行ってくる予定。

今できることは全て行う、

それが私のモットーだから。






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2008年09月25日(木) 果報者

昨日入院して、今朝退院した。

稽留(けいりゅう)流産だ。

生まれてはじめての入院、生まれてはじめての点滴、
生まれてはじめての麻酔、生まれてはじめての手術。

麻酔は、一般的には非合法とされる麻薬を使用すると聞かされていたが、
あの麻酔中に見た光景は一生忘れられないだろう。

うねうねとしたモノトーンの幾何学模様というのか、まだらでちかちかした
ロックな部屋に次から次へとぶんぶんローラーコースターのように
移送される感覚。・・いつだかMTVで見たテクノ系のPVにそっくりだった。

ああそうか。
ハイになった世界をモチーフにああいうPVが作られたんだ、と確信した。


気がついたら口のまわりにプラスティックのカバーがあたる感触がした。

「終わりましたよ。お部屋にかえりますよ。」

足が台に下ろされて、手術台から可動式ベットにごろりと
転がされる感覚がした。

あれ、私今どこにいるんだっけ。


・・そうだ、午前中に入院手続きの順番待ちしている間に
母がいきなり乱入してきて、実家に置きっぱなしだった山のような
古い靴や、自分が作ったという緑色のかなり大きなパジャマを持って来たんだ。

ちょっとやめてよ、そんなウェストの大きなズボン履けないよ!

りんこさんが午後からしか来られないのを知って、あえて早朝に
実家を出て病院中を探し回って私のところにきてくれた母。

手術室に行く前に握ってくれたりんこさんの温かく湿った手。


手術が終わったんだ。


・・病院は陰気くさくて厭なところだと思っていたけど、赤の他人から
沢山の愛情と温かいケアを受けて本当にありがたい場所だなと思った。

今回は、りんこさんが気を利かせて高い個室を手配して
くれたんだけど本当に個室で助かった。

手術後、思いのほかお腹が痛くなり、座薬を入れてもらい、
さらに血で汚れた手術着やシーツを替えてもらわなくてはならなかった。

カーテン越しに臨月の妊婦さんがいたら、軽く発狂してたかもしれない。

なんで私だけ、私の子供だけこんな目に遭わなきゃならないのよ。
私が何したっていうのよ。

あんたなんかより、よっぽど今まで頑張ってきたし、
よっぽど人様の役に立ってきたのに、なんで、なんでーーーーーーーーーー。。


何はともあれ、無事に退院できてよかった。

体はなんともないけど、やっぱり心の傷が想像以上に深いし、
いえるまで時間がかかりそうだ。

普段は、「自分>かなしみ」でコントロールして、
医者や看護士、りんこさんや母の前では全く泣かないようにしてたけど、
ひとりになるとだめだ。

しかも思わぬ瞬間に、「自分<かなしみ」になって
発作的にとてもコントロールできない巨大なかなしみにつつまれる。

例えば、病室にあった小さな金庫にねじこんだ財布がなかなか
出てこなくて引っ張り出してるときとか、洗濯かごから洗濯物を出す時とか
あまりの喪失感で涙が止まらない。

ネットでも、流産経験をした人が皆書いていた。
体の傷はいえても、心の傷がいえないって。。


しかし、これも宿命なのだ。

つらい経験をすればするほど、人にも優しくなれるし
もっと強くなれる。

沢山の友人たちが気遣ってくれたし、愛想はないけど
親身になって何度も病室に足を運んでくれた主治医がいたし、
何より、血や手術という言葉だけでも貧血を起こしてしまうくらい
やわなのに、必死に私の側についてくれたりんこさんがいた。

こんな結果になってしまったけど、

傷は当分癒えないけど、

・・私は果報者である。






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2008年09月17日(水) 別居婚夫婦の春

妊娠しました。

別居婚のりんこさんと私に、待望の赤ちゃんが。。。と
狂喜乱舞したのも束の間、どうやらあまり経過が良くないらしい。

明日、大きな病院で見てもらうのだけど、
うまくいけば妊娠続行、最悪、手術&入院と言われている。

神様が決めることだから、というお医者様の言葉が
何度頭を巡ったことか。

お医者様からの宣告があってから、何度も今までないくらい
悲しみの淵をさまよったけど、最近はようやく落ち着いて
何があっても現実を受け入れよう、という気になってきた。

伊達に33年生きていない。

しかし、妊娠してからというもの世の中にはまだまだ自分の
知らない辛さ、喜びがあるんだなと実感。

おとといの出勤途中の電車内での、吐き気、悪寒、冷や汗の
ひどさといったら。。我慢強いはずの自分が、立っていられないほど
気分が悪くなれることに愕然とした。

もしもまだお腹に赤ちゃんがいて、あれがつわりだったら、
私は妊娠を、いや世の妊婦をナメていた。
ちょっとした気持ち悪さも、大げさに言っているのかと思っていたら
とんでもない。経験した人にしかわからない辛さってああいうことを
言うんだろうなと思う。

赤ちゃんが天国にいってしまったら、父も母もりんこさんもみな悲しむだろう。


今はそれを想像するのが


一番かなしい。






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菜穂香 [MAIL] [profile]

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