カルモチン

2003年02月25日(火)  コヒステヤマ

「あちらに見える低い山の、そのまた向こうに

 こひすて山というのが在ります。

 皆、置いていかれるのをわかっていながら、

 華奢な指で 口元を隠して、上品に笑って

 ハンケチで額をせわしく拭きながら、後をついて登って

 あとは、ただ、じっとしているのです。」




手紙の裏に書いた、そんな、文を読み

キミは真っ赤になった。


長い睫を、ちちちと震わせ


「非道いヒト!」


僕の腿をぴしゃりと叩いた。

僕はニヤけて、表へ、飛び出す。






仕合せである、そう、思いたい。







誰かに、僕を見てもらいたいってね?

そう思えるから、言葉を紡ぐのです。

ほんとは、ね。



『キミが好きです。』と書いて、キミが

「まあ、嬉しい」と笑ったら、それで、いいのだけれど。



だけどそれぢゃあ、あまりにも、僕ってやつが

可哀相だから。





ココロザシ 云々。


作家なんていうのはね、たぶん

恋するひとに威張りたい奴が、なるものなんですよ。


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